フェデラルホールの前を通る。
ここには3回も来ている。
さすがにカメラでシャッターを切る事はほとんどなくなった。
映画“ダークナイト ライジング”でバットマンがベインと最後の戦いに挑み、テロリスト集団とゴッサムの警官隊が衝突した場所である。
ニューヨークで映画の撮影地を歩き回るのは楽しいものだ。
そして、3回目のブルックリンブリッジを渡る。
今度は日本から来た研修生と一緒だ。
『空港に着いたら家の場所まではどう行ったら着きますか?』
と質問したところ
『・・・フィーリングっしょ。』
という目的地までの場所を精神世界で説明されて来た男だ。
ハートが強い。
だが、フィーリングで目的地まではつけない。
ここの公園は本当に落ち着く。
慌ただしいマンハッタンとは違い時間の流れがゆっくりだ。
今月で3ヶ月目に突入するが自分の思想や倫理体系といったものは何一つ変わっていない。
いや、変わるスピードが遅いだけなのだ。
変わらないものなど何一つない。
ボクが今もらっている給料は微々たるものだ。
家賃と交通費を差し引くと自分に残る金は日本円で2万6千円しかない。
『こんなんで生活出来るかよ!』
と物価の高いニューヨーク(この前買ったアルミホイルが日本円で1000円もした)で何とか生活をしている。
3ヶ月で18万円貯金できた事はまさにチップのおかげであろう。
チップなしでは生きていけないのだ。
チップを多く貰うための努力は全く惜しまない。
生活がかかっているからだ。
“腹をすかした若者は怒れる若者になれない”
という言葉がある。
誰が言った言葉か忘れたが、本当にその通りだと思う。
怒れる若者になるためにはまず生きなければならない。自分の主観的な経験など必要ではない。
ただ貪欲で泥臭い戦いが必要なのである。
そのために腹をすかしてる場合ではない。
この馬たちはどこに向かって走っているのだろうか?
結局は同じ円の中を永遠に走り続けているだけにしか過ぎない。
目的地が見つからないまま永遠に回り続ける。
その中に自分がいる。
それならば仕方ないので回り続けている間は精一杯楽しもうじゃないか!という気持ちで毎日を過ごしている。
最近の楽しみはダンキンドーナツで飲むアイスティー。
黄昏、日本編