モジリ兄とヘミング

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「モジリ兄とヘミング」@中野 劇場MOMO


100席に満たない極小空間で、濃密で耽美なSFを食らわされる。
小説にしろ絵画にしろ演劇にしろ、芸術の行き着く先は所詮エロスだと見せ付けられる。そういう感覚は正直苦手。けれども絶妙なラインで笑いを挟み込み、喜劇に昇華。
登場人物全員が脚本を信じて演じているから、傍観者の観客は存分に「悲劇的な喜劇」に浸れる。あー、これ、私が好きなやつ。チェーホフの「かもめ」に通じる感覚。そういう感覚に出会いたくて、今も演劇に浸ってる。

主宰のG2さんは専ら大劇場の商業演劇を手掛けていたそうで、100席未満の小劇場での公演は初とのこと。それにも関わらず、大きな劇場では成り立たない、小さな空間を生かした作品を生み出せる熱量に感服。


幸田尚子さんと中丸シオンさん。仲良しが高じてお笑いコンビ「幸丸事件」を結成するまでに至ったお二人が念願の舞台初共演。劇中での社長とエビちゃんの掛け合いそのままにご挨拶に応じて下さる姿に、「親友」の意味深さを感じさせられる。

ほとんどの役者が2~3役の兼ね役だった今作。配役の妙が効いていて、なるほどと唸らされた。
そんな中でも奇異な異彩を放つ幸田さん。久々に遠慮容赦ないモンスターぶりを発揮されていてお腹いっぱい(笑)

2月28日まで上演。大人のための極上芸術を目撃せよ。