講座2回目~失敗しないキーボードの選び方~ | OCEAN'S SOUNDS

講座2回目~失敗しないキーボードの選び方~

 長年楽器を触っていると、その楽器を選ぶポイントやこだわりが見えてきます。
しかし、初めてやほとんど経験がないという人の場合、どれを選んで良いのか
分からないものです。
今回は、そんな方の役に立つ選び方についての講座です。


【鍵盤数で出来ることが変わる】
通常のピアノの鍵盤数は88鍵盤です。
これは白い鍵盤と黒い鍵盤の合計が88個あるという意味です。

そして一般的なキーボード(電子系鍵盤を以降こう呼びます)の鍵盤数は
32~37鍵盤・41~49鍵盤・61鍵盤・76鍵盤・88鍵盤
のいずれかに属していることがほとんどです。

この鍵盤数によって演奏できる音域、つまり低い音から高い音までの幅が変わってきます。
鍵盤数が多いほど、より低い音から高い音まで幅広い高さの音が出るわけです。
しかし、88鍵盤もあってもなかなか全て使う事は稀です。
クラシックピアノを演奏するような場合で無い限り、88鍵盤も必要ありません。

では、鍵盤数の少ないものでよいのか?というとそれもまた違います。
例えば32~37鍵盤や41~49鍵盤の場合を考えてみます。
鍵盤楽器の演奏は右手と左手の両方を使います。

小学校で習った、いわゆる「真ん中のド」の音付近から右側を右手で
左側を左手で演奏することになりますが、これらの鍵盤の場合
左手で演奏できる範囲も、右手で演奏できる範囲も狭すぎるのです。
特に32~37鍵盤のほとんどは、右手のみの演奏目的か、子供のおもちゃ
というものばかりです。
41~49鍵盤になれば、若干マシにはなりますが、どうしても演奏に幅が無さ過ぎて
表現が貧弱になってしまい勝ちです。
迫力のある音を出そうと思った時には、低い音をドーンと効かせたりするのですが
その低い音が鍵盤数が少ないがために、最初からないのですから
当然曲の途中で「ここぞ!」と迫力ある音を出したくてもそれができないのです。

ですから、61鍵盤、76鍵盤のどちらかのモデルを選ぶのが妥当という結論がでます。
弾き語りをきっかけに、鍵盤の演奏を続けていく中で、こだわりが出てきた時に
他のモデルを考えれば十分です。
最初の入門モデルとしては、この61鍵盤、76鍵盤の両者どちらかがベストといえます。


【音色は好みの問題】
長年キーボードをやっていると「どのキーボードが一番良い音がしますか?」
といった質問を受けることが多いのですが、これは「好みの問題」です。
例えば、普通のピアノでも、メーカーによってはもちろん
機種によっても可愛いもの、同じモデルでも微妙に音が違います。
電子キーボードの場合、同じモデルならば同じ音がしますが
それほどに実際の楽器というのはシビアに音が違うものですから
ピアニストによって好みもばらばらです。
柔らかい音、硬い音、キンキンする音、篭ったような音
ピアノだけでもメーカー、機種によって全く違う音がします。
「一番美味しいマク○ナルドのメニューは何ですか?」
人によって違うとしかいえません。
普通のハンバーガーが一番美味しいと思っている人が、普通のハンバーガーと答えて
それを鵜呑みしても、後日照り焼きバーガーを食べてみたら
「そっちのほうが美味しいじゃないか!」
となることはいくらでも有り得ます。
ですから、自分が良い音だと思う音色が良い音色なのです。


【機能あれこれ】
キーボードには様々な機能や特徴があります。
その中でも、必須と言える機能・特徴は3つだけです。

・トランスポーズ機能(移調機能)
・最大同時発音数
・タッチレスポンス(演奏強弱)


トランスポーズというのは、カラオケでいう「キー設定」です。
弾き語りをする上でも、楽譜の通りの演奏では
歌の高さが合わないということが日常茶飯事です。
そんな時に、楽譜を書き直すというのは大変な労力ですし
頭の中で書き換えながら演奏するというのもなかなか大変です。
そんな時に、この機能を備えていると非常に重宝することになります。

最大同時発音数というのは、鍵盤を何個同時に押さえても音がちゃんと出るのか
ということです。
おもちゃのキーボードですと最大同時発音数4といったものもあり
左手で2つ、右手で3つの鍵盤を同時に押さえようと思っても
どれか一つ音がでないことになります。
これでは演奏に支障をきたす恐れがあります。
また、ダンパーペダル(サスティン)を使うようになると踏んでいる間
前の音が伸びています。
そんな状態のまま、新たな音を押さえるということがあります。
これは時に最大同時発音数を10や20ぐらい軽く超えてしまうことも珍しくありません。
ですから、最大同時発音数は普通でも32
理想は45~64(またはそれ以上)が望ましいということができます。

最後にタッチレスポンスですが、これは鍵盤を押さえた時の押さえた強さによって
音に強弱を付けることが出来るかどうかというものです。
通常のピアノですと押さえる強さによって音の強さが変化します。
これがないと、大きな音を出したいとき、小さい音を出したいときに
全て同じ大きさの音が出ることになってしまいます。
演奏に表情がなくなってしまうことに繋がるわけです。



【結論】
・61~76鍵盤数
・好みの音色
・最低3つの機能・特徴(トランスポーズ、最大同時発音数、タッチレスポンス)
この3つを満たしたものを選ぶのが、初心者にとって失敗の無いキーボード選びの
ポイントになる
と言えます。
値段はこだわる必要がありません。
入門モデルとして購入する場合は特にそうですが
中古でも構いませんし、1万~2万円前後のもので十分です。
何万、何十万円とするようなキーボードを買う必要は全くありません。
それは、この先続けていくにあたって、もっとこだわりを持ってから改めて
購入してください。



《次回予告》
『正しい姿勢の大切さ』
演奏を正しい姿勢で行うことは、演奏のしやすさ、変な演奏癖を付けないといった
様々な理由から非常に大切な事です。
また、姿勢の中には腕の角度、椅子の位置、手首の状態、指の形
というものも含まれています。
次回はそれらについて学んで生きます。