どーも!しょっぴーです!
よろしくお願いします( ´ ▽ ` )ノ
前回までの内容はこちら^_^
「空を見ろ。」
第二章~影~
この世の中には光と影が存在する。
光があれば必ず、影もある。
人も同じだ。
表の顔と裏の顔がある。
人は誰しも、
人には絶対言えない秘密を持っている。
ミーンミンミン。
ミーンミンミン。
汗が永遠に止まる気配をみせない、そんなある夏の日。
「翼、早くしなさい。もう行くわよ。」
「はーいはいはい。」
だるそうに答える翼。この時14歳。
「はいは一回にしなさい!」
「はいはい。」
よくある親子の会話だ。
「暑いから避暑地に行こう。」という父の一言で家族旅行に行くことになったあの日。
楽しい車内。
目的地まであと10キロといったところか。
高揚感で溢れている。
カーブの多い山道を走っていた。
その時だった、
突如辺りが暗くなる。
突然の雨。
突然の雷。
突然の土砂崩れ。
空中に投げ出される車。
「え?」
先程までの楽しい車内の雰囲気から一転、
青ざめた表情を見せる一家。
「死」という恐怖に駆り立てられる。
人生の終焉を迎えるのか。
今までのそれぞれの人生が走馬灯のように流れる。
それぞれの魂が「死」を覚悟し、天に向かっていこうとしている。
「やだ!死にたくない。まだ14歳だよ?高校行きたい。大学行きたい。好きな人と結婚したい!死にたくない。」
その中で、翼だけが諦めることをしなかった。
「死にたくない?」
「死にたくないよ!」
「生きたい?」
「生きたいよ・・・え、誰?誰なの?」
「あなたの希望。」
「どういうこと?」
「あなたを助けてあげる。」
「え?」
「ただしこれは絶対に人に言ってはいけない秘密。誓いを破ればあなたは命を落とすことになる。」
「え!?どういうこと!?」
「・・・。」
「ねー教えてよ!!」
答えはなかった。
「・・・・え、何これ。」
その時彼女は気付いた。
彼女の背中に羽が生えたという事実に。
「ガシャーン!!!」
驚きと共に目を覚ます翼。
「あー、またあの夢みちゃったな。」
そう言いながら立ち上がり、
割れた窓からグラウンドを見る。
バットを振り切っている雅樹。
グラウンドにいる全員の目線は翼の方に向けられている。
一瞬時が止まる。
次の瞬間、
「わー!!ナイスバッティング!!」
そう、ホームランだ。
なんと、
高校野球ナンバーワンピッチャーとの呼び声が高い真中から特大のホームランを放ったのだ。
雅樹は右手拳を強く握り、
「よっしゃー!!」
高々とガッツポーズを掲げる。
7回裏、
0を積み上げていったスコアボードについに「1」という数字が刻まれた。
学校が揺れるほどの盛り上がりを見せる一年生ベンチとは裏腹に、
目つきを変える2、3年生。
「よっしゃー!俺も続くぜ!」
勢い良くバッターボックスに入ったのは、
レギュラーチームを未だ無失点に抑えている祥人。
この時はまだ誰も気付いていなかった。
悪の魔の手が、
祥人に襲いかかろうとしているということを。
自信満々でバットを構える祥人。
それを優しく見守る雅樹。
教室に転がっているボールを見つめる翼。
不敵な笑みを浮かべる真中。
それぞれの想いが交差する中、
全てを知っているのは空だけだ。
空には雲が広がり、
グラウンドには陰がかかり始めていた。
【とかげノベルズ】
【Ustream番組配信中】
Ustream番組
「とかげベイベーのうきうき☆ベイベー」
隔週水曜日に配信中。
次回は2月5日!!