欧州に新たなプロリーグ「ユーロリーグベースボール」を創設へ | 欧州野球狂の詩

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 欧州球界全体をにぎわせる、超ド級のビッグニュースが久々に飛び込んできました。現地時間の昨日、オランダ・アムステルダムにて欧州各国のトップクラブの代表者たちが集まり、欧州各国を横断する新たなプロリーグを統括する新連盟の創設を決定したのです。


 欧州プロ野球協会(EAPB)と名付けられたこの組織の立ち上げには、ウィム・バンデンハーク氏(会長兼創業者)、ヤン・ヴァンデルサンデ氏(広報官)、ヤン・マールテン・コップス(創業者)の各氏に加えて、T&Aサンマリノ・タイタンズ(サンマリノ)からマウロ・マゾッティ氏、ルーアン・ハスキーズ(フランス)からオーウェン・オザニックとキーノ・ぺレスの両投手、ヴァッセン・パイオニアーズ(オランダ)からコー・ハスペルス氏とピーター・ファンクルースター氏、キュラソー・ネプチューンズ(同)からジェリー・ヴァンデンオーバー氏が参加。2016年シーズンからのオペレーション開始を目指すこと、新リーグの名称を「ユーロリーグベースボール(ELB)」とすることも発表されました。発表されたリーグラインナップは以下の通り。


・T&Aサンマリノ・タイタンズ

・ルーアン・ハスキーズ

・ヴァッセン・パイオニアーズ

・キュラソー・ネプチューンズ

・ベースボール・バルセロナ(スペイン)

・セナート・テンプライアーズ(フランス)

・レーゲンスブルグ・レギオネーレ(ドイツ)

・C.B.サンボイ(スペイン)

・UGFフォルティチュード・ボローニャ1953(イタリア)※

・ハイデンハイム・ハイデコッフェ(ドイツ)※


※現時点では正式な加盟メンバーではないものの、近日中のサインアップが確実視されるクラブ


 ミーティングにおいては、ストラクチャー、各球団のロースター枠の拡大、予算、運営戦略といったリーグのフォーマットについての話し合いが行われました。越えねばならない壁は山ほどあるものの、参加者たちは欧州球界における新たな進化の道筋の必要性を実感しているとのことで、今後さらに熱のこもった議論が展開されるものと見込まれます。また、今後は各国連盟や国際競技連盟(総本山であるWBSCもおそらく含む物と思われます)に対して、この新構想について具体的に説明する意向とのことです。


 こうした国家を横断した形でのプロリーグ創設のプランは、一見すると突拍子もないもののようにも思えますが、実は欧州球界にとっては何年も前からくすぶり続けていた構想です。その背景には、「野球版欧州CL」としてこれまで続けられてきたヨーロッパカップが、必ずしもヨーロッパ野球の地位向上につながっては来なかったこと。そして数多くのファンや現場の選手たちが、プロリーグの創設を長きにわたって求め続けてきたことがあります。過去にもこのアイデアは複数回取り上げられてきましたが、今回持ち上がったELB創設構想はその中でも特にシリアスなプランとなっています。


 無論上述したとおり、ELB創設にあたっては数多くの課題をクリアしなければなりません。プレゼンを行うに当たっては、次に列挙するような質問にきちんと答えを用意する必要があります。果たして各国、大陸、そして世界連盟はこのアイデアを支持するのか?それぞれのベストチームを欠くことになる各国の国内リーグには、何が起こるのか?プロジェクトの中には、人々をスタンドに呼び込みELBというコンテンツをテレビ、インターネット、新聞といった媒体に露出させる手腕にたけた、メディアエキスパートは存在するのか?選手の年俸と遠征費は誰が負担するのか?現時点で参加チームとなっていないクラブに、今後参加できる権利が与えられる可能性はあるのか?


 そして何より重要なことは、プロジェクトチームのメンバー全員が政治的利害を超えて、協働でリーグを立ち上げ運営していくことができるかどうかです。この点に関しては今後も注視していく必要があるでしょう。もっとも、国境を超えたリーグ戦や主要な国内リーグから独立した形での選手権は、欧州においては目新しいものではありません。クロアチアやスロバキア、ハンガリーといった東欧諸国では、東欧地域国際リーグが長年にわたって行われていますし、2010年代に入ってからはアメリカの大学サマーリーグをまねたコレジエイト・ベースボール・リーグ・ヨーロッパ(CBLE)も始まりました。イタリアでは、イタリア野球・ソフトボール連盟(FIBS)傘下でリーグ参加費を払って活動することを良しとしないクラブによる、独自のリーグ戦も存在します。


 何はともあれ、欧州のトップクラブを揃えたこのリーグ立ち上げ構想(個人的にはチェコ勢が入っていないのが少々残念ですが…)が、今年から来年にかけて欧州球界全体を大きく「かき回す」ものになることには疑いの余地はありません。賛否両論ありそうなこの動きに関しては、今後も当ブログでは注視していきたいと思います。もちろん、このプロジェクトが少なくない課題をクリアし、予定している2016年4月からのオペレーションスタートを迎えられることを心から期待します。今後に注目ですね!!


ソース一覧

http://www.mister-baseball.com/european-association-professional-baseball-founded-amsterdam-friday/

http://www.mister-baseball.com/rumor-european-pro-baseball-league-2016-planned/