命短し、走れよ薫〜パラダイス馬入編〜 | Reach to Mars

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ちょうど去年の今頃、衝撃的なニュースが飛び込んできた。


柏レイソル 高山薫選手 移籍加入のお知らせ
http://www.bellmare.co.jp/115470


どこかで見た名前の選手だった。
目を疑った。
不意打ちのクリスマスプレゼントを喰らってから、明日でちょうど一年。




湘南から柏へ、柏から湘南へ。
本エントリーでは、心から尊敬し、応援する選手を追いかけ続けるサポーター目線で、
選手とのコミュニケーションの在り方についての考えを綴ります。


こちらに書かれているのは、湘南ベルマーレ Advent Calendar 2015へ寄せた、
個人の主観に基づく文章です。
必ずしも、すべての人に共感を得られる内容でないことは承知しております。
こういった考えの人もいるんだ、くらいに読み流していただければ幸いです。



最初に、簡単な自己紹介をさせていただきます。





こんな幕を出してる人です。
基本的にゴール裏にいます。

2012年のシーズン終盤に初めて湘南ベルマーレの試合を見て以来、高山薫選手のプレースタイルと人柄に魅せられ、今日まで応援を続けています。
「選手生命はチームの寿命より圧倒的に短い」という考えから、そのとき高山選手が所属しているチームを全力で愛し、応援するスタンスです。
2013年は湘南ベルマーレが、サッカーが、大好きになった年でした。
2014年は柏レイソルを応援し、移籍したのが柏でよかった、と思えるほど大好きになりました。

そして2015年、高山選手と共に、大好きな湘南へ帰ってきました。



ここからが本題です。
選手サポとして、他チームへの移籍を経験した自分だからこそ、みなさまへお伝えしたいことがあります。
「馬入のフリーダムさはヤバい」ということです。


自分が通っていたときの柏の練習場は、比較的ファンサービスを行うには親切設計となっていましたが、それでも一応柵が設置されていました(柵と柵の間を通り抜け、並んで写真を撮っても怒られない程度のささやかな防衛線ではありましたが)
また、ファンサービスゾーンが限定されており、クラブハウスへは基本的に近づけないようになっていました。
そんな環境で一年を過ごし、馬入に帰ってきて、その自由度の高さに改めて驚いたものです。
「ここはサポーターのみなさんの良心で成り立っている楽園である」と思いました。

だって、歩いている選手を自由に呼び止めて、写真を撮ったりサインをもらったりできます。
チームによっては、ファンサービスの日程が決まっていたり、特定の選手のサインカードが配布されるだけ、なんてところもあると聞きます。
それを思うと、サポーターにとって馬入ってなんて素晴らしい環境なんだろう、と。
湘南サポが他サポに誇れることのひとつといっても過言ではありません。


ですがそれは選手にとって、必ずしも良いことであるとは言えません。
サッカー選手の仕事は、試合のために全力を尽くすこと。
練習場でのファンサービスも、もちろん仕事の一環ではありますが、優先すべきことではありません。
湘南の選手たちは、サポーターの声に、いつも快く対応してくれます。
だからこそ、サポーターである自分たちは、彼らに敬意を払うと共に、いまの環境がとても貴重であることを忘れてはいけないと思うのです。
選手と接する時間を、いかにお互いにとって有意義なものにするか、ぜひ一度考えてみてほしいと思います。


例えば、会話の内容。
試合やプレーに関すること。この前のあれは良くなかった、らしくなかった、なんて否定的・ネガティブなことを伝えるよりも、どこがかっこよかった、なにがすごかったなど、お互い気持ちが盛り上がるような、楽しいこと・ポジティブなことを中心に伝えるほうが、有意義な時間の使い方という気がします。
マイナスなフィードバックは、監督やコーチから的確なことをもらっているだろうし、敢えて触れる必要はあまりないんじゃないかと思います。
それよりも、とにかく選手の気持ちを前向きに、次の試合を頑張ろう、って思えるような言葉をかけてあげるのが、サポーターだからこそできる、大きな役割だと思っています。

また、選手にサインや写真を求めたり、会話を試みるのは、練習後をおすすめします。
練習前の選手を呼び止めることで、選手本人の集中を切らしてしまったり、ファンサービスを行うことで時間に遅れてしまったりすれば、チーム全体の士気にも影響を与えかねません。
練習後でも、メディアの取材や、地域のイベントへの参加などが入っており、時間に限りがある選手もいます。満足な対応をしてもらえなかった、と感じることもあるかもしれません。
ですが、ファンサービスはあくまで「サービス」であり、主要な業務ではありません。
このことを心に留めておくことが、とても重要だと思います。
選手は、選手である前に一個人でもあります。対応に関しても、できることできないことがあるのは当然ですし、その日の気分や体調によって、差が出てしまうことも残念ながらあると思います。
「選手なんだからファンサしてあたりまえ」という気持ちを無意識に持ってしまいがちですが、むしろ「サポなんだから選手のこと大事にしてあたりまえ」だと考えれば、そういったことにも仕方ない、と折り合いをつけられると思います。



このエントリーは、馬入での選手とのコミュニケーションを制限する主旨ではありません。
ただ、与えられた環境の自由さに甘えることなく、自分から一線を引き、選手をリスペクトして接することの大切さを、多くの人に知ってもらいたい気持ちから綴ったものです。
湘南ベルマーレというチームが強くなり、選手の知名度が上がることに比例し、サポーターの数も増えていきます。それはとても喜ばしいことです。
ですが、数の多さは、制約の多さにも繋がっていきます。
馬入を訪れるサポーターの振る舞い次第で、いまは自由な馬入にも、いつかはファンサービスゾーンが生まれるかもしれません。望ましいことかもしれないと思う一方、やっぱりいまの自由さを無くしたくはないのです。


選手へ直接気持ちを伝えることは、とても大切なことだと思います。
冒頭の自己紹介で述べましたが、選手生命は非常に短いものです。
移籍、怪我、引退。いつ、なにをきっかけに、大好きな選手のプレーを近くで見られなくなるのかは、誰にも予測することができません。
大好きな選手が大好きなチームでプレーしているということは、それだけで奇跡であると、自分は思っています。

たとえば高山選手がいつかまた湘南を離れるとして、通える距離のチームへ移籍する保証はありません。そこから再び湘南に戻ってくるなんて幸運なこともないでしょう。
サッカーの歴史に詳しくないので断言はできませんが、いまの自分のような状況は空前絶後級のレアケースなんじゃないかなと感じています。
だから自分は一試合でも見逃したくないし、一日でも多く馬入に行きたいです。
少しでも前向きに、気分転換になるように、色んな話をして、次の試合に向けて激励をしたいです。
グッズを買ったらサインを貰ったり、写真を撮らせてもらったり。ときどきは一緒に写ってもらったり。自分のためにもたくさんの思い出を残したいです。
(選手サポらしさを出すべく、ここで高山選手のすてきなところをひとつご紹介しておくと、彼はなにかをお願いしたとき、対応できる、できないをわりとはっきり言ってくれるうえ、できることに関しては試合と同様いつでも全力でやってくれます。ありがたいです)
選手を応援しに行っているはずなのに、なんだかんだで自分が貰うものの方が圧倒的に多くて申し訳ないのですが。


緊張しちゃう…とか、何度も行ったら迷惑かな…なんてためらう時間はもったいないです。
会える時に、会えるうちに、会いに行ってください。
そして、何度でも伝えてほしいと思います。応援している自分の気持ちを、まっすぐに。

あなたのどんなプレーが魅力的で、自分はそれがもっと見たい。
心から応援している。だからがんばってほしい。
サポーターの言葉は、選手のモチベーションになるはずです。


きっとそれが、2016年の湘南ベルマーレの大躍進につながっていきます。



最後までお読みくださり、ありがとうございます。
どうかあなたが、大好きな選手と、心が豊かになる時間を過ごせますように。

yuka

2015.12.23