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『ヘリコプターマネー①』三橋貴明 AJER2016.8.23

https://youtu.be/1UzK-Gn-vpU
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 経済界から「あなたの常識を論破する経済学 」が刊行になりました。

 うう・・・、土曜日だというのに〆切が四つもある・・・。なぜだ・・・。

 それはともかく、実質賃金が「もしかしたら」底を打ったかも知れません


『実質賃金6カ月連続プラス 7月、2.0%増 
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF05H01_V00C16A9EAF000/
 厚生労働省が5日発表した7月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比2.0%増加した。伸び率は6月の確報値と同じで、6カ月連続で前年を上回った。ボーナスの増加などで名目賃金が増えたほか、消費者物価指数(CPI)の下落傾向が実質賃金を押し上げている。
 名目にあたる従業員1人当たりの現金給与総額は37万3808円と、前年同月比1.4%増加した。名目の給与総額のうち、基本給にあたる所定内給与は0.4%増の24万1518円。ボーナスや通勤費にあたる「特別に支払われた給与」は4.2%増の11万3150円だった。
 実質賃金の増加は給与の伸びが物価の伸びを上回っていることを示す。7月のCPI(持ち家の帰属家賃を除く総合)は前年同月比0.5%下落し、実質賃金の伸び幅が名目より大きくなった。実質賃金は6年ぶりに2カ月連続で2%台となった。ただ所定内給与の伸びは依然小幅で、物価下落の影響も大きいことから、所得環境の改善が続くかどうかは見通せない状況だ。』


 対前年比2.0%増というのは、現金給与総額です。わたくしが注目している「きまって支給する給与」は、対前値比+0.8%でした。第二次安倍政権が発足して以降、最も高い伸び率です。

 もちろん、日経が書いている通り「物価下落の影響」もあります。とはいえ、実質賃金計算に使用する「持家の帰属家賃を除く総合」の物価指数は、対前年比▲0.4%でした。物価下落と、名目賃金の上昇が、ちょうど半分半分ずつ負担をし、実質賃金を0.8%押し上げたのです。


 ちなみに、16年4月から6月までの物価指数は、▲0.3、▲0.5、▲0.4でした。
 それに対し、きまって支給する給与(実質ベース)の方は、+0.3、+0.4、+0.4でございますから、名目賃金が全く上がっておらず、単に物価下落により実質賃金がプラス化したことが分かります。


 とはいえ、16年7月は違います。決して大きくはありませんが、名目賃金の上昇の影響も入っています。


 もっとも、何しろ日本国民の実質賃金は、野田政権期(2012年)と比較し、最悪月(15年5月)には、何と6%超も下がってしまいました。安倍政権は日本国民を6%以上も「貧乏」にしたのです。


【日本の実質賃金指数(左軸)と対前年比(右軸)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_54.html#Jchingin


 ひと月、実質賃金(きまって支給する給与)が対前年比+0.8%になったところで、全く安心できませんし、しかもこんなペースでは、安倍政権下における下落分を取り戻すのに、何年かかることやら・・・


 ちなみに、内閣府の最新統計によると、今年の4-6月期のデフレギャップは年率で約5兆円。ネットの国内資金需要から計算すると、15兆円ですが、いずれにせよ政府ですら「デフレギャップがある」と認めています


 需要不足が続いている割りに、失業率は3%と、2%台突入目前になっています。

 何度か書きましたが、現在の日本は、
「安倍政権の緊縮財政で、デフレギャップが埋まらない」
「生産年齢人口比率の低下により、インフレギャップ化が進む」
 と、二つの現象が同時並行的に進行するという、まことに珍しい状況にあります。すなわち、安倍政権の失政による「景気の悪化」と、人口構造の変化による「人手不足」が追っかけっこをしているイメージです。

 本来、需給ギャップが拡大している(16年1-3月期と比較すると、0.1%悪化)以上、人手「過剰」になるはずなのです。ところが、現実には失業率は改善し、実質賃金も「名目賃金の十分な拡大」により上昇。


 人口構造の変化が、安倍政権の失政を上回っている可能性があるのです(現時点で、断定はできません)。


 いずれにせよ、臨時国会で補正予算が組まれ、デフレギャップは縮小の「方向」に進みます。6兆円の真水では、デフレギャップを埋めるには不十分でしょうが、多少は景気が良くなり、人手不足感が進むはずです。


 そうなると、次なる問題は、景気が上向いたと思ったら、緊縮財政に舵を切ってしまう「ストップ&ゴー」を繰り返すことにならないか、です。財務省は間違いなく、「ストップ」に舵を切るタイミングを探っているはずです。

 というわけで、日本が完全にデフレから脱却し、「国民が豊かになる日本」を取り戻すためにも、
「安倍政権がなぜ、デフレ脱却に失敗したのか?」
 について国民が正しく知り、政治家に声を出さなければなりません。


 デフレ完全脱却の日まで、財政拡大を継続せよ、と。


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