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 『若年層失業率が世界主要国最低の国①』三橋貴明 AJER2016.9.27
https://youtu.be/4EupfftcyPY

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 経済界「あなたの常識を論破する経済学 」が増刷になりました。ありがとうございます。

 「あなたの常識を論破する経済学 」は、まさに安倍政権によるデフレ脱却の「失敗」の原因を突き詰め、解説した本になります。


 わたくしは相変わらず全国を講演でぐるぐると回っているのですが、主催者側の希望があれば、聴衆からの質問を受けるようにしています。


 はっきり言って、同じような質問をそれぞれ何十回も受けている(人間には、それほどオリジナリティはありません)ので、どんな質問にもすらすらと対応できるのですが、さすがにウンザリする質問が二つ。

 一つ目は「いわゆる国の借金」プロパガンダに洗脳され、何とか「財政破綻するんだよ~っ!」という結論に強引に持っていこうという質問。最近のトレンドは、


「日本銀行が国債を買い取れば、確かに実質的な借金の返済負担は消えるのかも知れないが、日銀が国債を売れば国債が暴落して破綻する~っ!」

 というやつ。

 日本政府の子会社の日本銀行が、わざわざ親会社を困らせるべく、国債価格暴落を招く日本国債のたたき売りをする理由が、さっぱり分かりません。が、それほど心配ならば、日銀に国債の買い切り宣言をさせればいいでしょう。あるいは、青木泰樹先生が提唱しているように、無期限無利子国債と日銀保有の国債を交換してしまえばいい。


 それだけの話。なのですが、とにもかくにも「日本は財政破綻するんだ~っ!」という自己認識を否定したくない、つまりは自分が間違っていたことを認めたくない人が、懸命に知恵を絞って、陳腐なレトリックで質問してくるので、ウンザリするのです。


 とりあえず、暇で羨ましいです。


 あのね、先述の通り、人間には、それほどオリジナリティはないのです


「あ、これだ! このレトリックならば、財政破綻への筋道を説明できる!」
 ピコーンッ! ひらめいたっ! 的なレトリックは、過去に大勢の人々が考えつき、ロジックとして散々に潰されてきたレトリックなのです。


 二つ目のウンザリする質問が、
「日本人は十分に豊かで、買いたいものは買ってしまったので、もう成長しない」
 というレトリック。


 豊かなのは「貴方」であって、日本人ではありません日本人は、98年以降、ひたすら貧困化の道を辿っています。


 信じられますか? 東京の大手企業に勤めている正社員であっても、手取りは15万円前後の若者が大勢いることを。派遣社員は、更に酷い状況です。


 日本の実質賃金はピーク(97年)から13%も下がっていますが、これは「平均の数値」なのです。当たり前ですが、世代や職種により実質賃金の下がり方には「ムラ」があるのです。もちろん、より割りを食っているのは、若い世代です。


 日本で、車が売れない? 中間層向けのマンションが売れない? 当たり前です。本来、自動車や住宅の主力の買い手となるべき若い世代、中堅世代が、貧乏になっているのです。


 若い世代が貧困化し、車も買えない状況に至っているにも関わらず、
「日本人は十分に豊かで、買いたいものは買ってしまったので、もう成長しない」
 と言われると、ピキッピキッ・・・、となるのでございます。


 貧困化する日本国民は消費を実質的に減らし、日本国は再デフレ化への道を邁進しています


【日本の実質消費(二人以上の世帯)の推移(対前年比%)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_54.html#Jcom1608


実質消費支出、8月は4.6%減 天候不順響く 家計調査 
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL30H72_Q6A930C1000000/
 総務省が30日発表した8月の家計調査によると、2人以上世帯の消費支出は1世帯あたり27万6338円で、物価変動を除いた実質で前年同月に比べて4.6%減少した。減少は6カ月連続。QUICKが事前にまとめた市場予想は2.2%減だった。台風の上陸など天候不順の影響で全般に落ち込んだ。前年に比べて休日が1日少なかったことも響いた。総務省は基調判断を「弱い動きがみられる」で据え置いた。(後略)』


 日本国民は相変わらず実質消費を減らし続けていますが、今回は「天候不順の影響」だそうです

 それほど日本経済がお天気様の影響を受けるならば、安倍総理や国会議員たちは補正予算の審議に時間を潰すのではなく、雨ごいでもしていればいいのではないでしょうか
 あ、雨が降ると消費が減るのか。まあ、どうでもいいですが。


 いずれにせよ、物価、消費共に現在の日本は再デフレ化の道をひた走っています。
 消費が減っている理由について、
「もう十分豊かだから、買うものがない」
 といった妄想ではなく、
国民が貧困化しているから、消費を減らしている
 という、当たり前の事実に基づき、国民や政治家が議論する必要があるのです。


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