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 『若年層失業率が世界主要国最低の国①』三橋貴明 AJER2016.9.27
https://youtu.be/4EupfftcyPY

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 国民は生産者として働き、モノやサービスという付加価値を生産し、別の誰かに消費・投資として支出(=購入)してもらい、所得を稼ぎます。この所得から、国民は「誰か」として別の生産者が生産したモノやサービスに対し支出し、所得が創出されます。


 所得を稼いだ生産者は、誰かとして別の生産者が生産したモノやサービスを購入し、所得が創出されます。


 上記、所得創出のプロセスの「回転」が終わりない形で回っていく現象が「実体経済」なのです。


 実体経済における「生産」の合計が国内総生産、つまりはGDPです。とはいえ、所得創出のプロセスにおいて「生産」「支出」「所得」の三つは必ずイコールになります

 とういわけで、GDPとは「生産面」「支出面」「(所得の)分配面」の三つの面の統計があり、三つの面のGDPは必ず一致します。これを「GDP三面等価の原則」と呼びます。GDP三面等価の原則からは、誰も逃れられません。


 そして、国民は生産者として稼いだ所得から「税金」を支払います。税金とは、国民から政府への所得の分配なのです。


 税金は、「所得 x 税率」で徴収されるため(所得税は累進がありますが)、政府の租税収入と「所得の合計」である名目GDPは相関関係にあります。名目GDPが増えれば、租税収入は増え、名目GDPが減れば、租税収入は減ります。(※三橋は、税金は「所得」から徴収されるべきという価値観を持っています。そのため、所得ではなく消費x税率である消費税や、固定資産税は【邪税】だと考えています)


 というわけで、政府の支出(例:社会保障)が増えていくならば、必要なのは名目GDPを拡大する、すなわち所得創出のプロセスの「量」「回転数」を増やすことなのです。所得創出のプロセスの「量」が拡大し、「回転数」が早まれば、名目GDPは人口とは無関係に拡大していきます。


 そして、GDP(厳密には実質GDP)が拡大することを「経済成長」と呼ぶのです。


 もちろん、「量」「回転数」が増えるとは、需要が拡大するという意味です。需要が拡大すれば、生産性向上がない限り、やがては供給能力が制約となり、経済成長率は抑制されます。というわけで、インフレギャップ(需要>供給能力)の環境下での課題は生産性向上になるのですが、今日は「需要=名目GDP=税収の源」の話です。


消費税10%では社会保障を賄いきれない=石原経済再生相
http://jp.reuters.com/article/ishihara-tax-idJPKCN1250VJ
 石原伸晃経済再生相は5日都内で講演し、消費税は「10%に引き上げても社会保障は賄いきれない」と指摘し、今後、順次引き上げる必要を「国民に問いかけて選挙しないといけない」と強調した。
 安倍政権の財政規律について、海外から誤解があるとして「財政規律は重要」とけん制した。(後略)』


 財務官僚の「ご説明」の攻勢を受けたのでしょう、石原「経済」再生担当大臣が、社会保障を賄うために消費税を10%超に引き上げなければならないという、「経済の『け』の字も知らない」講演をしました。


 消費税を引き上げたところで、国民の需要が縮小し、名目GDPが減れば、税収は減ります。社会保障を「賄う」こともできなくなってしまいます。


 要するに、石原大臣の頭の中では、国民経済が「引き算」になっているわけです
「社会保障の支出が増える。だから、消費税増税で税収を増やさなければならない」
 という話なのでしょうが、まずは消費税を増税したところで、名目GDPがマイナス成長になると、租税収入は減ります


 さらに、国民経済や税収は引き算ではありません。足し算です


 「民間最終消費支出+政府最終消費支出+総固定資本形成+純輸出」こそが名目GDPであり、名目GDPが政府の租税収入になります。政府の税収が増やしたいならば、「足し算」される各需要を拡大すればいいのです。


 消費税を増税すると、「民間最終消費支出」という需要が減ります。結果、名目GDPは抑制されることになります。すると、税収も伸びません。


 加えて書くと、石原大臣の頭の中には「経済成長する」という大前提がないようです。名目GDPが増えない、税収も増えない、という前提に立っているからこそ、上記の発言なのでしょう。


 そして、石原大臣に代表される「経済成長しない」という発想こそが、各種の支出(消費・投資)を抑制し、デフレを長期化させ、日本国民を貧困化させ、名目GDPと税収を抑制しているのです。国民経済は引き算ではなく「足し算」であるという、経済の「け」の字くらいは、せめて政治家に知ってほしいと思うのです。


 それにしても、経済の「け」の字すら知らない政治家が、「経済」再生担当大臣を務めているわけです。これが、日本の現実なのです。


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