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『世界の歴史はイギリスから動く①』三橋貴明 AJER2016.10.25

https://youtu.be/2Ywfmm4KoJs

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一般参加可能な講演会のお知らせ。

11月18日(金) 平成28年度 東ト協ロジ研第2回オープンセミナー  

限定二十五名様のみ、弊社からお申し込み可能です。

https://ws.formzu.net/fgen/S55219779/

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 明日は文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」に出演します。

http://www.joqr.co.jp/tera/


 いよいよ、アメリカ大統領選挙です。


米大統領選挙きょう投票 接戦州で最後の訴え続く
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161108/k10010759461000.html
 アメリカ大統領選挙は、日本時間の8日午後8時から各州で順次投票が始まる予定で、選挙戦が激しい争いとなるなか、民主党のクリントン候補と共和党のトランプ候補は、投票日前日、勝敗を左右する接戦州で最後の訴えを続けています。(後略)』


 アメリカでは、所得上位1%が全体の所得の22.5%を得ています。所得上位10%になると、約50%です。


 現在のアメリカの所得格差は、前回のグローバリズムの終着点であった1929年と同じ水準です。


 資産の方は、所得以上に格差が拡大しています。


 2014年、アメリカの資産上位1%の超富裕層が所有する資産合計が、資産下位90%の国民が所有する資産合計よりも多いことが公表され、世界に衝撃を与えました。


 世界最大の小売サービスであるウォールマートの創業者、故サム=ウォルトンの一族が所有する資産額は、何と1486億ドル(約15兆円)。「一族」とはサムの子供たち六名になりますので、平均すると一人当たり3兆円弱でございますね。


 なぜ、資産の方が所得よりも格差が拡大しがちかといえば、当然ながら資産は「相続」されるためです。


 サム=ウォルトンの子供たちは、別にウォルマートを創業したわけではありません。偶々、サム=ウォルトンの子供として生まれた結果、兆円単位の資産を相続したのです。


 わたくしが「グローバリズム」「自由競争」「自己責任」といった論調に疑問を感じるのは、そもそもスタートラインが同じではないためです。


 自由な市場で各人が努力し、フェアに競争し、勝ち組と負け組に分かれ、結果は自己責任


 何しろ「フェア」に競走した結果なのだから、仕方がないではないか。
 と言われても、例えばサム=ウォルトンの子供たちと一般庶民では、
そもそも、スタートラインが違うだろ!
 と、反論したくなってしまうのです。


 当たり前ですが、同じ「資本利益」を稼ぐというゴールがあったとして、兆円単位の資産家と、特に資産を持っていない人では、端から勝負になりません。さらに、トマ・ピケティが指摘した通り、資産利益は所得を上回りがちです。


 r > g なのです。


 すなわち、資産家の子供たちと、一般庶民の子供たちとでは、所得(※資産利益含む)についても差が生じざるを得ないのです。この「差」は、ほとんど覆すことが不可能です。


 さらに、アメリカは(最近では日本でも)教育費が高騰しています。


 所得下位層の子供たちであっても、高等教育を受け、中間層、所得上位層に上るという道までもが、塞がれてしまっています。両親の所得という、本人にはどうにもならない事情で教育に「差」が付き、スタートラインが変わってしまうわけでございます。


 無論、奨学金という手段がないことはないのですが、アメリカでは奨学金も「ビジネス」です。巨額な有利子奨学金という「負債」を背負わなければ、大学を卒業できないのでは、やはりスタートラインが違います。(最近では日本でも有利奨学金が問題になりつつありますが)


 民主党の予備選で、バーニー・サンダースがあれ程までに若者の支持を得たのは、
「公立大学の学費無料化」
「奨学金ローン対策」
 といった政策を訴えたためなのです。


 さて、結論ですが、現実にはスタートラインが異なるにも関わらず、あたかも「フェアな競争」が繰り広げられているかの如く装うグローバリズムは、大きな欺瞞を抱えているという話です。人間は、平等ではありません。本人の能力や努力はともかく、「両親の所得と資産」はどうにもならないのです。


 この手の「どうにもならない格差」を解消することに成功したのが、戦後からサッチャー登場までの西側諸国だったわけです。サッチャリズム、レーガノミクス以降、世界を欺瞞に満ちたグローバリズムが席巻し、
「スタートラインが同じなのだから、結果は自己責任」
 という嘘が、まことしやかに語られていたわけですが、この「嘘」が暴かれつつあるのが、現在のイギリスであり、アメリカなのです。


 さて、アメリカ国民はいかなる結果を出すのでしょうか。


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