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『世界の歴史はイギリスから動く①』三橋貴明 AJER2016.10.25

https://youtu.be/2Ywfmm4KoJs

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Make America Great Again!(アメリカを再び偉大に!)」

 上記のスローガンは、1980年の大統領選挙において、ロナルド・レーガンが使用したのが初出になります。
 2016年の大統領選挙において、出馬表明時は「泡沫候補」としてメディアから嘲笑されていたドナルド・トランプが、「Make America Great Again!」の商標を出願。選挙運動の初期に、上記スローガンが書かれた帽子をかぶり続け、自らのキャッチフレーズと化すことに成功しました。


 さらに、ドナルド・トランプは共和党の予備選の時点から、アメリカ国民の利益を最優先する「アメリカ・ファースト」(アメリカを第一に)を基本にすると表明。


「ブリテン・ファースト(イギリスを第一に)」
「アメリカ・ファースト(アメリカを第一に)」

 常に先頭を切るイギリスに続き、アメリカでもまた、「自国を第一に」の叫びが選挙で勝利しました


米大統領選 トランプ氏が勝利 「驚くべき番狂わせ」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161109/k10010762331000.html
 アメリカ大統領選挙は過激な発言で話題を集めてきた共和党のトランプ氏が民主党のクリントン氏に勝利し、アメリカメディアは「驚くべき番狂わせだ」と伝えています。トランプ氏は「分断の傷を修復し、ともに結束していくときだ」と演説し、次期大統領として激しい選挙戦で分断された国の融和をはかる考えを示しました。
 アメリカ大統領選挙は8日、全米で一斉に投票が行われました。
 アメリカのABCテレビによりますと、トランプ氏は28州を制して、当選に必要な過半数を超える278人の選挙人を獲得し、民主党のクリントン氏に勝利しました。
 過激な発言で話題を集めてきたトランプ氏は、「アメリカを再び偉大にする」というスローガンを掲げ、現状に不満を抱く有権者から支持を得ました。(後略)』


 トランプの勝因は、わたくしが見ていた限り大きく二つありました。一つ目は、ポリティカル・コレクトネスをものともせず、「白人」に支持を訴えたことです。


 過去三十年、アメリカの政界は共和党も民主党も、共に白人労働者階級の取り込みには慎重でした。理由は、白人階級にアピールし、アメリカ国内で増加中のマイノリティの有権者が離反してしまうことを恐れたためです。さらには、ポリティカル・コレクトネスの概念が広まり、政治家が白人階級にダイレクトに訴えかけることがタブー化されてしまいました。


 11月8日の大統領選挙では、選挙人29人を数えるフロリダ州をトランプが獲得。フロリダ州は、ヒスパニック系の割合が少なくなく、トランプは勝てないと言われていたのです。ところが、フロリダ州北部の白人階層が一斉にトランプに票を投じた結果、予想が覆ってしまいました


 二つ目は、かつてアメリカの重工業や製造業が集中した地域、すなわちラストベルト地帯で、反グローバリズムの姿勢を明確化し、繰り返しグローバル化を批判したことで、民主党の地盤をひっくり返してしまったことです。


 ペンシルベニア州、オハイオ州、ウィスコンシン州、そしておそらくはミシガン州も(まだ結果が出ていないですが)、労働組合の力が強く、民主党色が濃い地域で、トランプはヒラリーを破りました。結果的に、最終的な勝利につながります。 


 トランプはアメリカ政府の通商政策がグローバル化を促進させ、米国の製造業の雇用を失わせたと主張。16年6月29日には、ペンシルベニア州で演説した際に、グローバル化を批判すると同時に、
「我々の政治家は積極的にグローバル化の政策を追求し、我々の雇用や富や工場をメキシコと海外に移転させている」
「グローバル化が金融エリートを作り出し、その寄付によって政治家はものすごく裕福になった。私もかつてはその1人だった」
 と、発言しました。


 グローバル化故に、アメリカの労働者(特に白人労働者階級)が貧しくなっている。直球のグローバル化批判が、サイレント・マジョリティと化していた人々に届いたわけです。


 興味深いことに、NHKは開票番組では、
トランプのグローバル化批判が、ラストベルト地帯の白人労働者階級の支持を集めた
 という事実を、繰り返し、報道していました。


 投票が行われる前は、その手の情報がマスコミで流れているのを、わたくしはほとんど見かけませんでした。623ブレグジットの際に、離脱派勝利が明らかになった後に、移民問題がクローズアップされ始めたのを思い出しました。


 カリフォルニア大学サンタバーバラ校の調査によると、アメリカの有力紙100社の内、民主党のヒラリーを支持しているのは「ワシントン・ポスト」や「ニューヨーク・タイムズ」など57社に上りました。それに対し、トランプを支持しているのはわずか2社でした。アメリカのメディアは、疑いなくヒラリーに肩入れをしていたのです。


 投票日二日前には、アメリカのメディアは一斉に「クリントン勝利90%」といった見出しを掲げ、ヒラリーを支援しました。ところが、結果は敗北。


 ブレグジットにせよ、アメリカ大統領選挙にせよ、メディアは予測を外しまくりました。グローバル化に対する人々の不満の高まりは、グローバリズムの先兵たる大マスコミをも上回っている、あるいは上回り始めたというのが真実なのかも知れません。

 明日に続きます。



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