紀伊半島滝旅 2024春 #6


矢ノ川峠の東側のエリア。

江戸道、明治道、昭和道で結ばれて、廃道、素掘り隧道、日本初の旅客用ロープウェイ遺構、そして滝。マニアさんは魅惑のエリアです。


引用:魅せます!尾鷲 (尾鷲商工会議所女性部)

デンガラ滝から戻り国道42号線を数キロ走れば、南谷の滝に通じる矢ノ川峠昭和道の入り口です。


千仭橋を渡るとゲートが開いていました。

開いているなら走行可能なのだろうと進入するも………

あまりの厳しい道路状況につき、100mほどでUターンして引き返しました。

ゲートの手前の路肩スペースに相棒を停めて、素直に徒歩で滝に向かいます。

路面は荒れていますが、歩けば気持ちの良い道です。

左側が南谷。所々で空が開けて、眺望と共に爽やかな空気が流れてきます。

この先が紅葉橋。

程なくして滝見橋。

繁みの向こうに滝があります。

滝見橋の滝
この日は木々と太陽光で、滝前まで登らないと上手く見えないようでした。

滝見橋を渡ると直ぐに谷への下降点。入り口からここまでゆっくり歩いて20分ほど。

出だしは急な斜面ですが、手掛かり、足掛かりは豊富です。

一度、尻餅をつきました。慎重に滝見橋の沢に向かうように降りていきます。

最後はその沢を埋める石を降りて沢に立ちました。

あとは上流側に遡行します。

水量はたぶん多め。とても澄んでいてキラキラと太陽光を反射していました。

岩壁が迫り、いかにも "滝があります" 的な谷の景色。滝音も響いています。

日影の滝つぼは青が濃く見えていました。

滝つぼの青。
これって本当に青なのか?

ひょっとしたら全く別の色なのに自分の視覚や脳が青と認識して青と言っているだけなのか。皆さんも青に見えているのか。不思議なヌマにはまってしまいます。

難しい事はさておき、純粋でとても綺麗だ。

白や黒と同様に青だって何百色とある。

南谷の滝
覆い被さるような狭い岩間。無作為な石積みを段々に落ちる滝。

奥行きがあって滝そのものの落ち方がよいなぁ。

滝と滝つぼの相乗効果で、密かな人気も納得です。

流れに足を取られないように、大きな石を背にして滝前に腰かけました。

水の勢いが強くて滝の正面に立つのも一苦労。対岸(左岸)に渡るのは勇気が必要でした。


どちらかと言えば暗い滝の先入観を持っていました。でも背後から日が差し込んで、真っ昼間の滝は清々しく感じました。

右岸側に移動。

うわ~!当たり前だけど……みずみずしい。

暑い日に独り占めできたら、あそこまで泳いで石段を登れるだろうか?

青に魅せられます。

太陽の動きで見る見る間に見え方が変化する。

滞在中も様々な変化や気づきのある、素晴らしい滝でした。

もう……虜になってしまいました。


滝つぼまで光が差し込んで淡い青に。

それを見届けて滝をあとにしました。

存在感の無いような水の流れに、滝でなくとも目が留まります。

降れた所は登れる………とは言え気を抜かずに取り付きました。

信頼できるのか、できないのか、確認しながら登っていきます。そして昭和道に復帰。

下降点の少し先から、南谷の滝の滝つぼを覗き見ることができます。

昭和道はこの先、素掘りを含む三つの隧道を経て、伝唐滝上流のデンガラ橋に繋がっています。もし伝唐滝⇔橋が進めるのなら、紅葉の時期に二つの滝を周遊するのも面白そうです。

斜面を登っている時、一台のオフロードバイクが疾走していきました。いいなぁ。

良い滝に会えた充実感を感じながら相棒に戻りました。

少し汗ばむ春の尾鷲の昭和道。


【まとめ】

◯2024.3.30 ひとりで。

◯天気は晴れ。

◯荒れた昭和道を徒歩で。

◯南谷の滝の青い滝つぼ。

◯キュービックな岩壁。


◯訪れた滝

○南谷の滝:三重県尾鷲市

○滝見橋の滝:同上