エマちゃんのおじいちゃんは、ビスキュイ村で唯一の食料品店を経営しています。
その食料品店の屋根裏部屋が、エマちゃんとターガちゃんのお気に入りのあそびばです。
そこには、壊れたトランクや穴の開いたバケツ、バネの飛び出したソファーなどが無造作に置かれていて、大人たちにとってはガラクタに見えるこれらの中から、材料を集めては、色々な物を手づくりするのが大好きなエマちゃんとターガちゃん。
毎日、学校が終わると2人はここで、昔のアルバムを見たり、古いドレスを着てファッションショーをしたり、お菓子の空き缶に入ったボタンでおはじきをしたりして過ごしています。

今日は、鍵の壊れたトランクから、おじいちゃんが昔着ていた軍服を見つけました。
胸のところに、色んな形の勲章がたくさん付いた軍服です。
おじいちゃんが若い頃、今は平和なこの国でも、大きな戦争がありました。そこで、たくさんの人を助けたおじいちゃんは、戦争が終わると偉い人からこの勲章をもらったそうです。
学校のお友達やターガちゃんとケンカをしただけで、とっても嫌な気持ちになるのに、おおぜいの人たちが傷つけあう戦争が二度と起こらないで欲しいなあと、エマちゃんは思いました。
その横で、ターガちゃんは軍服とダンスを踊るようにクルクル廻ります。窓から射し込む夕方の陽は、勲章にあたってキラキしたラ光りを、ターガちゃんの顔に映し出しました。
「キレイだね、キレイだなあ」
ターガちゃんは息を弾ませながら、自分の洋服もこんなキレイな勲章でいっぱいにしたいと言い出しました。
でも、この勲章は、おじいちゃんのだから勝手にターガちゃんにあげることは出来ません。
エマちゃんは少し考えると、おばあちゃんからもらったお裁縫箱を取り出しました。
そして、リボンの端きれや古いドレスのレースを使って、ターガちゃんに勲章を作ることにしたのです。
小さな手を器用に動かして布を重ねていくエマちゃん。メダルの部分のかわりに、欠けたボタンやビーズを付けたら出来上がりです。
それを、洋服に付けてもらったターガちゃんは、大喜びでピョンピョン飛び跳ねました。
それから、二人は夕飯の時間まで、たくさんの勲章ブローチを作ったのです。
ターガちゃんの作ったブローチは、オモチャの動物や七面鳥の羽根が付いていたりと、面白いものになりました。
そして、このブローチを付けた二人は、この勲章は、とってもステキだけど、もう二度と争いが起こらない世界になることを願ったのです。


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これから、少しづつですがビスキュイ村のお話しと一緒に作品を紹介していきたいと思っています。お話しのない作品や製作風景などもあるかも知れません。出来上がった作品は、ミンネやショップで販売する予定です。つたない文章とざっくりした作品ではありますが、ビスキュイをどうぞよろしくお願いします。