朝から暑い日だった。

 

窓を開けるとけたたましいセミの声とむわっとした空気が流れ込んでくる。この気怠い空気がこの日を暗示しているだなんて露ほども思わずに洗濯物を取り込んでいると、17時のチャイムが聞こえてきた。夏の暑さはうんざりするけれど、洗濯物が早く乾くのだけはありがたいよなぁ、なんて、呑気なことを考えていた。うららか、というには暑すぎるかな、とか、そりゃもうのんびりしたものだった。そりゃそうだ。この日はフェニックスオープンにて落札されたセットをしに行くだけ。落札者さん楽しんでくれるかなぁって、心配なのはそれだけだったのに。

 

会場は小川町にある麻雀オクタゴン。予定より少し早く着くと、すでに落札者さんとえみちゃんが座って楽しそうに話していた。落札者さんと挨拶し、ルールはどうしましょうねーなんて話ながら座ると、ふと、信じられない物が視界に飛び込んできた。

 

 

あれは…まさか…なぜあれがここに…。なんで…。

それは現実だとわかっていながら受け入れたくない。目の前にある現実を拒否したい。頭の中がぐっちゃぐちゃになった私にさらに衝撃のセリフが!

 

えみ『トータルラスの人はこれ着ることにしよてへぺろ

 

 

関西で過ごした日々が走馬灯のように駆け巡る。最初に参加したのは何年前だったかな。たこ焼き本当おいしいんだよね。最初の罰ゲームはこれじゃなかったんだよな。梅田駅が複雑過ぎてすぐ迷子。男の人はバニーだったな。そういやもうファブリーズ関係なくない?また関西行きたいな。みんな元気かな。

 

だるまの串カツ、会場の雀荘、551の豚まん。頭の中でスライドショーが開催される。くるくると変わる映像をぼうっと眺めていた私は、信じられないセリフで現実に引き戻された。

 

えみ『えみ、ちょっとこれ着たいな口笛

 

 

初音舞さん以外にこれを着たがる人がいるとは。もうすでにお分かりの方もいらっしゃるでしょう。結果をすでに御覧になった方もいるでしょう。そう、えみちゃんが手にしていたのは、変なおじさんだったのです!

 

 

なぜこれを見て私が関西のことを思い出したかというと、負けたチームのキャプテンが女性だった場合は変なおじさんコスプレして音楽に合わせて踊る、が罰ゲームの大会が関西で開催されていたからなのです。ちなみに男性キャプテンの場合は前述したようにバニーガールでした。私は数年このファブ杯にキャプテンとして参加していました。わざわざ東京から大阪まで罰ゲームの恐怖に怯えに毎年通っていました。実はマゾなのかなって思うけど、この大会が罰ゲーム以外楽し過ぎるのと、普段なかなか会う機会のない関西のみんなに会いたくて、つい参加するって言っちゃうんです。

 

でもね、私、本当に本気で変なおじさんやりたくないんです。私だけ変なおじさんじゃなくて振り込む度に血を抜くってルールにしてもらえませんかね?って本気で思うくらい嫌なんです。だから毎回罰ゲーム回避のために必死だったんです。こんなところでふわっといきなりできるような、そんな軽いもんじゃないんじゃーい!!!

 

そもそもそれプレゼントでしょうが。えみちゃんが好きそうだからって落札者さんが持ってきてくれただけで、こんな使い方をするなんて思ってなかったって言ってるよ。ていうかさ、着たいなら家に帰って着てくれよ。

 

 

 

しかし結局強く反対は出来ないままに対局スタート。こうなったら負けられない。負けるわけにはいかない。トータルトップを目指してやるつもりだったけど、これはもう天鳳みたいなもんだ。ラス回避。ラス回避ですよ。

 

一回戦、落札者さんが頭一つ抜けたオーラス。私は2着で跳満ツモればトップになる気もするけどそんなこと言ってる場合ではないっ…!ここは一刻も早くあがらなけれb…

 

 

 

ラス親の市井くんに2900点の放銃。ラス目だった市井くんに打ったということは、ラスか?と思ったがぎりぎり3着。次局上がれば、そう思った時、市井くんから衝撃の発言。

 

市井『2着であがりやめってありですか?』

 

決めてなかったー!今ので市井くんが2着になったけど、私と200点えみちゃんと400点しか変わらない。ルールで悩んだら落札者さんが普段やってるセットのルールに合わせるということにしていたんですが、面子によってどちらのこともあると。

 

市井『じゃあサイコロ振って奇数ならやめて偶数なら続行しますね。』

 

神も仏も細木和子も信じてないけど、自然と手を合わせていました。

 

 

結果は…7!奇数キタ━━━━ヽ(゚∀゚ )ノ━━━━!!!!

3着であることをこんなに喜んだことないんじゃないかっていう喜びよう。

 

前置きがどえらい長くなりましたが、結局えみちゃんの一人沈みにて終了。最後の半荘は何点上がればトータルトップになれるか計算してえみちゃんから見逃す余裕さえありました。着たいって言ってたえみちゃんが着る、平和な結果。いやもう、本当良かった。なぜかルンルンで着替えに行って、

 

えみ『鼻毛も描いたほうがいいかなーチュー?』

 

…なんでそんな楽しそうなのよ(-。-;)

 

ノリノリで写真撮影した結果がこちらです↓

 

 

変なおじさんじゃなくてただの変なかわいい女の子でした(´・ω・`)

こんな格好でもかわいいってどういうことなんでしょう。えみちゃんずるい。オクタゴンオーナーの小山さんも、かわいいからいまいち面白くない、とおっしゃっていました。

 

たぶん、きっと、私がやった方が面白いんだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

絶対やらんけどな(・∀・)

 

負けなくて本当に良かった(-。-;)