解答のない問題<第4章 その1> | 明日は晴れるよ

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「財務会計講義」「会計人コース」「会計法規集」を使って、税理士試験 財務諸表論の勉強を独学しています。

ブログ「税理士試験 簿記論 講師日記」の「解答のない問題」の答えを「財務会計講義」を参考に自分なりに考えてみました。


第4章 利益測定と資産評価の基礎概念


第1節 現金主義会計と発生主義会計


1 収益・費用の認識と測定

問4-1☆☆☆ 損益計算書の本質について述べなさい。

損益計算書は、一会計期間の収益と費用を対応表示して、その差額をもって利益を測定し、企業の経営成績を明らかにするもの。


問4-2☆☆ 収益費用アプローチとは何か簡潔に説明しなさい。

収益と費用を会計の中心概念として理解し、両者の差額をもって利益を測定するアプローチ。


問4-3☆☆ 資産負債アプローチとは何か簡潔に説明しなさい。

資産と負債を中心的な基礎概念として位置づけ、両者の差額として導出される純資産額の変動額が利益であるとするアプローチ。


問4-4☆☆ 収益とは何か簡潔に説明しなさい。

収益とは経済活動によって企業に流入した価値であり、つまり純利益を増加させる項目で、原則として資産の増加や負債の減少を伴って生じるもの。


問4-5☆☆ 費用とは何か簡潔に説明しなさい。

費用とは収益発生の過程で消費されて企業から流出した価値であり、つまり純利益を減少させる項目で、原則として資産の減少や負債の増加を伴って生じるもの。


問4-6☆ 費用と収益の「認識」と「測定」とは何かそれぞれ簡潔に説明しなさい。

「認識」とは収益と費用はいつ生じたものかを決定すること。

「測定」とは認識された収益と費用にいくらの金額を割り当てるかを決定すること。


2 現金主義会計

問4-7☆ 現金主義会計とは何か簡潔に説明しなさい。

収益と費用を、それぞれに関連する現金収入と現金支出の時点で認識し、その期間の損益計算書に計上する利益計算方法のことである。


問4-8☆ 現金主義会計の欠点を2つ簡潔に説明しなさい。

①経営活動の成果(収益)とそのための努力(費用)の対応づけが適切に行われていない。

②収益の計上が不必要に遅らされている。


3 発生主義会計

問4-9☆ 権利義務確定主義とは何か簡潔に説明しなさい。

収益は現金収入を待たず債権が発生したときに計上し、費用は現金支出だけでなく債務が発生したときにも計上するという収益・費用の認識基準のことである。


問4-10☆☆ 発生主義会計における収益と費用の認識について説明しなさい。

発生主義会計においては、現金収入支出の時点とは無関係に、収益は経営活動の成果と関連する重要な事実が生じた時点で認識し、費用は収益の獲得のために財貨やサービスを消費した時点で認識する。


問4-11☆☆ 発生主義会計の長所を簡潔に説明しなさい。

売上収益が当期の経営活動の成果をより正確に反映しているだけでなく、費用が経済的価値の消費の事実に基づいて、収益とより厳密に対応付けられることにより、より適切な利益を測定することができる。


問4-12☆ 収入支出額基準とは何か簡潔に説明しなさい。

収入支出額基準とは、発生主義会計における収益・費用の測定のために、過去・現在・将来の収入額や支出額を用いる方法のことである。


第2節 発生主義会計の基本原則


1 対応原則

問4-13☆☆ 対応原則について述べなさい。

対応原則とは、各会計期間の経営成績が適切に測定されるよう、経営活動の成果を表す収益と、それを得るために費やされた犠牲としての費用を厳密に対応づけて認識するという考え方のことである。


問4-14☆☆☆ 個別的対応とは何か簡潔に説明しなさい。

製品の売上高とその売上原価のように、特定の財貨を媒介として収益と費用の対応関係を直接的に認識する方式のことである。


問4-15☆☆☆ 期間的対応とは何か簡潔に説明しなさい。

売上高と受取利息のように、同一期間に計上された収益と費用は、それらがその期間の経済活動を通じて対応しているものと考え、会計期間を媒介として対応関係を認識する方式のことである。


2 発生原則

問4-16☆☆☆ 発生原則について発生の意味を踏まえて述べなさい。

発生原則とは、収益と費用の計上を現金収支の事実によってではなく、企業活動に伴う経済価値の生成や消費を表すような事実(発生事実)に基づいて行わなければならないという原則のことである。


問4-17☆☆ 発生原則の適用例を列挙しなさい。

・資金貸借に代表されるような継続的役務授受

・固定資産の減価償却

・退職引当金

・売上原価


3 実現原則

問4-18☆☆☆ 実現原則とは何か簡潔に説明しなさい。

収益計上の確実性や客観性を確保するために、財貨やサービスが実際に市場で取引された時点で収益の認識を行うとする原則のことである。


問4-19☆☆☆ 実現の要件を2つ簡潔に説明しなさい。

・財貨やサービスが相手に引渡されたこと。

・対価として、現金・売掛金などの貨幣性資産が受取られたこと。


問4-20☆☆ 実現の要件が要請される理由を簡潔に説明しなさい。

2つの要件が満たされることにより、収益の確実性や客観性を確保することができるから。


問4-21☆☆ 貨幣性資産と費用性資産とは何かそれぞれ簡潔に説明しなさい。

貨幣性資産とは、最終的に収入となって貨幣を増加させる資産のこと。

費用性資産とは、最終的に費用となる資産のこと。


問4-22☆☆ 実現主義と処分可能利益との関係について述べなさい。

収益を実現主義によって計上することによって、処分可能利益が貨幣性資産の裏付けを持つことになる。


問4-23☆☆ 実現可能性原則について述べなさい。

短期利殖目的で保有している上場株式などは、企業が事業に影響を及ぼすことなく、いつでも売却可能なため、売却のための引渡しが行われていなくても値上がり分を運用収益として計上する。この考え方を実現可能性原則という。


問4-24☆☆ リスクからの解放とは何か説明しなさい。

リスクからの解放とは、実現原則や実現可能原則を包括した考え方であり、投資にあたって期待された成果が事実として確定すること