僕は砂場で遊ぶのが好きだった。

とにかく楽しい思い出ばかりである。
中でも楽しいのは街を作る事だった。

道路の整備から始まり、城、ビジネス街、工場を友人と作った。
一度3時頃から夕飯まで(と言っても三時間だが)とにかく街を作った。

砂場がいっぱいになるまで夢中で作った。
そして王国が出来上がった時、滑り台の上から王国を見下ろした。

もう日暮れが近く、薄暗い中に砂場の王国はあった。
一緒に遊んでいた女の子が「ライトアップしたら綺麗だろうね」と言っていたのを今でも憶えている。
今の歳なら「キュン」として確実に惚れているが、当時は純粋にその言葉に感動した。

砂場の王国を残して公園で解散した。
おそらく6時か7時。

今の歳では「さ、飲みに行くか」と思うはじまりの時刻だが、当時は夕飯を食べて風呂入ってテレビ見て寝るだけだ(宿題やれよ)

時刻に対する意識は変わっていく。
砂場に対する意識も変わっていく。

今「砂場」と聞いて連想するのは赤坂にあるお蕎麦屋さんである。
めっちゃくちゃ美味しかった。

子供の頃はさほど好きじゃなかった蕎麦が好きになった。
今も砂場に行くのが楽しみである。