こんな状況は人生で初めてだし、この後の展開のさせ方なんてのは到底不利な話しで、向こうは圧倒的に有利だ。
パワープレー炸裂か。
こちらにはまだ気づかず、みんなで何かを話し合っているようだった。
その中でひときわ目立つ奴がいた。
身体はデカく角刈りの男。すぐにマフィアか用心棒だと気付いた。
ヤバい!
すぐにその中から女を見つけ、100元を渡そうとしたが、何か叫びながら受けとらない。
すると用心棒がこちらに気づき、怒鳴りながら俺の腕を力強く掴んできた。ここで自分でも予想外の行動に出る。
キレたのだ。
なにしょんじゃごらぁぁ!!!と叫び掴まれた腕を振り払い相手を強く突いた!
その時タイミングよくエレベーターが開いたので、隙をつき急いで乗り込んだ。
中には掃除のおっちゃんがいたが追い出し、エレベーターの閉まるボタンを人生で経験した事ないほどの連打をした。カチャカチャカチャカチャカチャカチャ
閉まる瞬間に100元札を女に投げつけドアが閉まった。
興奮はしていたが、冷静だった。
あんなに人数がいるなら、逃げられた時の為に一階で待ち伏せをしてるんじゃないのか、それなら二階で降りて、そこから階段で一階に降り他人のフリをして逃げるか。
いや、そのタイムロスは追いつかれるリスクがある、さっきも勢いで相手を突き飛ばせた、もしいたら今度もそれで逃げよう。
そして一階に着きドアが開いた瞬間ダッシュで走った。
予想は外れ誰もいなかったが、とりあえずダッシュしてタクシーをつかまえた。
そして乗り込んだタクシーに豫園行きを告げる。
この状態でも豫園に行く自分が逞しくて少し可笑しかった。
冷静になり、腕をみると掴まれた跡と爪がめり込んだのか血が少し出ていた。
息を整える。
この時の方が頭はまとまらなかった。
この運転手も悪いやつなのかと疑心暗鬼になるが無事、豫園に到着。
人間の心理なのだろうが、ただ目的地に運んでくれただけの行為が善に見え、大した額ではないがお釣りはいらないといった。
ザワついた心を豫園で癒し、帰宅。
お姉ちゃんに事の顛末を語ると「気をつけや、凄い経験したな」と言われたのだが、気を引き締めるとか、気をつけるのとか今考えると、ピンときてなかったような気がする。
(中国編が終わったのにまだ)続く。
明日はタイに向かいます。