かーなーり久々の記事投下をしてみます^^;

といっても、以下の文章は、巡回先のとあるブログさんの記事へコメントしようとしたら、文字数制限食らって序文しか反映されなかったというアレなアレなのですが>< まあ、コメント投稿後に、「少し記事の内容にそぐわなくないか?」とも思っていたので、それはそれでよかったようにも思います^^;

そもそもこれだけ久々の記事になったのも、フォーゼ・ウィザードの時みたく総括記事上げようと思ったのに、あまりにも鎧武の魅力と汚点が混濁したカオス過ぎて、まとめて理路を通した文章が書けなかったからです><
まあそれだけ好きになった作品であるし、それ故にダメなところもよくわかってしまって、それらが表裏一体どころか複雑に絡み合っているからこそ、文章にしかねていたのですが。
ともあれ、ようやく脳内でまとまり始めていたところを、件のブログさんの記事がきっかけになってとりあえずのアウトプットができましたので、ブログ主さんに感謝の意を表しつつ、また改めてのまとめ直し・再アップを念頭に置きつつ、投下します。

------以下、コメント投稿したはずの文章--------



こりゃまた凄いスタンスの記事ですねぇ^^

以前ドライブの記事に書き込ませて頂いた者です。お久しぶりです。書き込みはご無沙汰ですが、記事は読み続けておりました^^; 最近スタンスに悩まれていたようで、どうされるのかな、と思っていましたが、突き抜けられましたね(笑)

さて、反対意見歓迎とのことで、武部P作品肯定派の鎧武ファンより、今更ですが、意見投下させて頂きます^^; むちゃくちゃ長文ですがどうかご容赦を><

まず、武部P作品も鎧武自体も、批判したくなる作品だというのはわかります^^; 引用されたブログの方の言い分も、今回の記事のご意見も、「まあ、そう言いたくもなろう」とは思います。
何故かというと、武部P作品て、基本的に、てんこ盛り過ぎるんですよね^^; 要素盛り過ぎの、まさに闇鍋状態(カレーの記事、秀逸な発想と思いました^_^ 閑話休題ですが)。その上、中核となる要素が、あまり客受けしづらい、子どもにはややハードルが高いものであったり(親子二世代の物語を同時並行だったり、2話完結を排した大河ドラマだったり)。それら盛り過ぎの要素を、脚本家も演出陣も取捨選択してやっているのですから、各要素に総じて不満点が出てくるのは、宜なるかなと。

その一方で、そうしたてんこ盛りの要素が組み合わさって起こる化学反応を、私は武部P作品に期待してもいます。どんな作品になるのかわからない、まさに闇鍋ゆえの魅力を、武部P作品には抱いているのです^^;
また、ハードルの高い要素は、それを扱うこと自体が挑戦的で、これも武部P作品の魅力の一つですね。平成ライダー初期作品も、人間ドラマ重視や怪人たちの残酷描写、一般的なヒーロー像へのアンチテーゼなど、子どもたちに対するハードルの高さで批判を受けていたと記憶しています。その意味では、(大いなるマンネリに至る過程で単なるマンネリに堕することのないような綱渡りを要する)2期平成ライダーにおいても、初期平成ライダーの魂・スタンスを受け継いでいるのが、武部P作品とさえ言えると、私は思っています^^;


さて、鎧武の話に移っていきますが、私の観方では、鎧武はただ初期平成ライダーの作風だけを真似た作品なのではなく、初期平成ライダーのテーマ性を必要以上に追求してしまった(それ故に批判されるような欠点を多く抱えてしまった)作品なのだ、と思っています。
そのテーマ性とは、先に挙げた「一般的なヒーロー像へのアンチテーゼ」としての初期平成ライダー(これは白倉P作品のみならず、高寺Pのクウガも同様ですね。「ヒーローの振るう力は暴力ではないか」なんて、まさにヒーロー像へのアンチテーゼですから。)という側面です。
その一つを具体的に言えば、例えば555で直裁に語られた、「敵となる者(怪人)たちをどう扱うか、彼らをただ倒すだけでいいのか」というテーマです。これは前述したクウガの「ヒーローの振るう力≒暴力」という観点から派生し、アギトでも人間でありながら異なる存在である超能力者やアギトの有り様・扱われ方が語られたり、龍騎では怪人ではなく仮面ライダーに置き換えてそのままのテーマが語られていたりと、初期平成ライダーに通底するテーマだと(そしてその後も密かに平成ライダーの根底に根ざしているテーマだと)、個人的には思っています。
言うまでもなく、鎧武の敵・インベスは、ヘルヘイムに侵食された人間や動物の成れの果てであり、アギトやオルフェノクと同種の存在と言っていいでしょう(人間的な心を失ったという点ではグロンギ的でもあるし、ゲームの駒的な扱いはミラーモンスター的な側面でもあると言えるかと)。そして、主人公の紘汰は、倒してきたインベスたちが人間であるかもしれないという現実に直面することになります。
紘汰はしかし、巧のように、皆を守るために敵を倒す罪を受け止めるといった決意を示すことはありませんでした。これは、紘汰がそれによって生じる犠牲を、インベスたちを犠牲にすることを、是としなかったからだ、と読むことができると、私は思っています。紘汰は自分以外の誰かが犠牲になることを徹底して拒むキャラクターとして描かれていて、特に批判の多いスカラーシステム破壊や、ネタ的に受け止められたユグドラシル絶対許さねえも、紘汰としては、例えそれで救われる人間がいたとしても、それによって犠牲となるものがあるのならば、代案が無くとも認められないという形で、やり過ぎレベルで徹底していたからです(と私は捉えています…一方で、自身の行動が同じような犠牲を孕んだものとなる矛盾に、当初は気付かぬままという青さ・愚かさを持っていたのも紘汰でしたが)。そんな紘汰だからこそ、巧のように割り切ることは、できなかったのだと思います(このあたりは初瀬ちゃんインベスとのやり取りや、貴虎にヘルヘイムの真実を突きつけられた場面などで顕著ですね)。
一方で、そんな紘汰だからこそ、最終盤で始まりの男となり異星への移住を選んだ際に、地球上のインベスたちをも共に移住させたのだ、と思います。裕也の真実を知り、自身も犠牲を出しながら進んでいたことに直面した紘汰は、それでもなお犠牲を出さない選択肢を探し求めることとなりました。その果てに辿り着いた答えとして、地球人類はもちろん、インベスたちをも傷つけない答えを、最後の最後で紘汰は見出すことができた。これは、犠牲を是として受け止めるしかなかった555に対して、そうではない結論もあり得るのだと示せた点で、鎧武が初期平成ライダーから引き継いだテーマを一つ語り切ったと言えると、私は思っています(同じ流れの中で、「ヒーローと自己犠牲」についても鎧武は面白い着地をしていますが、これはまたの機会に^^;)。
また、サガラについても実は同様で、「サガラを悪として倒す」というのは、イコール「サガラを犠牲にして問題を解決する」ということですから、紘汰がそれを自ら選ぶはずはないでしょう。サガラ/ヘルヘイムという一つの生物種を根絶して解決することが是か非か、という問題と捉えれば、例えばウルトラシリーズでは、ウルトラマンティガで怪獣ガゾートの被害を食い止めるために、その元になる生命体クリッターたちを種ごと根絶することが是か非かを問題とする一編があったりして、そんなことまで考えてみると、「サガラを倒さないことが問題である」というのは、そう思う気持ちはわかりますけど、それはそれでアレかな、とも思いますよ^^;(もっと言うと、まんま「サガラ絶対許さねえ」になっちゃいますしね^^;)
…鎧武がやり過ぎたのは、テーマを重んじるあまり、ヒーローものとしてのエンタメ性をスポイルしがちであったことだと思います(序盤のインベスゲームの辺りとかからしてそうでしたけど^^;)。ヒーローものの面白さって、やっぱりヒーローが人々を守るために悪い怪人をカッコよくやっつけるってトコですからね。555の巧の、人々を守るために罪を受け止めてオルフェノクを倒す展開とか、まさにこれですし。
鎧武はこれまで話したような怪人たちをも犠牲にしない方向性を密かに持っていたとは思いますが、一方で、怪人たちを倒してなんぼのヒーローものとしての面白さ・エンタメ性を、完全にないがしろにすることもできなかったのだと思います。それ故に紘汰は「インベスも倒さない」とは主張できず(虚淵さんがインタビューで言及していた「主人公の鎧武を活躍させる」というオーダーができなくなってしまうので><)、そのあたりは放置するしかなく、一度は対話を試みたオーバーロードも、結局は倒してしまうしかない、そういう描き方をするしかなかったのではないか、と感じています(この辺り、コラボ回や映画・OVを手がけた鋼屋さん・毛利さんは、わかりやすい敵役を据えてそれをぶち倒してなんぼの展開を描いてますので、虚淵さんが密かに持っていた方向性が、お二人には共有されていなかった/もしくはあえてスポイルしていたのではないかな、とも邪推しています^^;)。
…さてはて、虚淵さんの作家論だとか他の多くのキャラについてとか玩具展開とか、続ければまだまだ長くなりそうなので、この辺りで留めておきますが^^; かように鎧武も、単なる駄作でもヒーローもの風上にも置けないような作品でもなく、鎧武なりにヒーローものについて追求し、鎧武なりの答えを出して完走した、魂のこもった一作であると、私は思っています。
ブログ主さんからすれば、色々と不備の目立つ作品かと思いますが、それ故の独自性や新たな視点も持った作品だと、私は思います。
今後、クウガ~555までと鎧武の比較をされていくのだと思いますが、ブログ主さん独自の視点で語られる比較を、個人的にとても楽しみにしています。続きの記事を心待ちにしていますね^^ かなりの長文乱文、大変失礼しましたm(_ _)m