プーチンの人気 (後編)
ロシア国内で高い評価と支持をうけているプーチン政権
しかしロシアの深刻な問題の一つである
地域格差の責任を問われたプーチンは
逆にこう尋ねました
緑、長い、ソーセージの匂い
これはなんですか?
詳しくは プーチンの人気(前編)→コチラ
こう問われても私にはサッパリわかりませんが
ワーニャにはすぐわかりました
というのも、ワーニャが言うにはこの質問、
ソビエト時代、モスクワに住む人たちの間で流行った
ジョークなのだそうです
緑で長くてソーセージの匂いのするもの、
それは…
モスクワ発の
下り電車
?????????
緑と長いは分かるけど
電車がソーセージの匂い??
しかもこれがジョーク???
答えを聞いても さっぱりわかりません
っつーか、ますますわからなくなったので
もう少し詳しく説明してもらうと
このソーセージの匂いというのは
1日でモスクワまで往復できる場所に住む人々が
週末、ソーセージや食品を買う為だけにモスクワを訪れ
その帰りの電車内に充満する匂いのことなのだそうです
モスクワは今でもさまざまな面で
特別な都市ですが
ソビエト時代はもっともっと特別でした
ワーニャが生まれ育った時代のモスクワでも
お店に商品が十分並ぶことはなく
欲しいものはめったに手に入りませんでしたが
モスクワ以外の都市に比べると、
いや、比べ物にならないほど恵まれていたのだそうです
例えばワーニャのおばあさんは
モスクワから電車で2日かかる町に住んでいました
その町でいつでも買えるものは決して多くはありません
食料品であれば
パンや卵、それからお酒はいつでも安く買えるけれど
誰もが毎日食べるであろう
バター、砂糖、肉等は
1家族が1ヶ月に購入できる量が
ギリギリに決められていました
ソーセージのような加工品は
購入できない月もあったし、
モスクワのお店にはあっても
その町には存在自体がないモノも
たくさんあったのだそうです
上記のものを購入する場合は
毎月発行される券を持ってお店に行き
それを冷蔵庫や冷凍庫で保存しながら
大事に食べるのです
このような生活は おばあさんが住む町に限ったことではなく
ソビエト時代はほとんどの人が
こんな風に生活していたのだそうです
例外はモスクワをはじめとする
わずかな数の大都市に住む人だけ
中でもモスクワは特別恵まれていたといいます
そういうわけで、週末になると
自分の住む町では買えない食品や生活用品を求め
多くの人々が電車でモスクワへやってきました
そして帰りの車内はソーセージの匂いでいっぱい
そんな様子を 特別の街:モスクワに住む高慢な人たちが
「緑、長い、ソーセージの匂い これなーに?」
とバカにしてジョークにしたというわけなのです
それにしてもどんだけ高慢でいやな人たちなんだ!!
資本主義になったロシアより
社会主義だったソビエトのほうがよかった、
という意見はたくさんあります
私もワーニャやその周りの人たちから
ソビエト時代の話を聞いて
社会主義のよかった面をたくさん知ることができました
しかしそういう人々の気持ちを代弁するふりをして
「ソ連はよかった!みんな平等で貧富の差がなく
競争もねたみもなかった!
どんな場所に住むどんな人にも仕事があり
全ての国民は生活が保障されていた!
なのにプーチン政権によって
地域格差が生まれ、生活できない人ができた!」
と自分を攻撃してくる発言者に プーチンは
と質問することで
「どうしてこんなジョークが生まれたんですか?
ソ連は平等ではなかったからです
誰にでも仕事はあったけど
がんばって働いてもバターやソーセージすら
手に入れられない人たちがたくさんいたからです」
と答えたのだということです
そんな話をプーチン支持者であるロシア人の友達が
熱く語ってくれているのを聞き、
なるほど、こういう理由でプーチンは支持されているのかー
なんて感心していたところ
隣で話を聞いていたワーニャが
おもむろにこう言いました