みなさん、こんばんは。ムラタです。
今日も抜き稽古と通し稽古のレミ・カンパニー。
抜き稽古では、通し稽古を繰り返す中で細かな変更が出た"司教館"を皮切りに、バルジャンまわり、ジャベールまわりの修正稽古が行われました。

稽古場用の稽古道具が使えるのも明日まで。
帝劇に持ち込まなければならないものもあるため、4日にはいろいろな道具が稽古から姿を消します。
なので明日は、怒濤の、ホントに怒濤!の通し稽古2回!!
稽古場は、衣裳・ヘアメイク・マイク・照明などがない分、シンプルに自分たちの芝居と向き合える場、です。
そこでの最後の通し稽古、カンパニーはもう一度気を引き締めて自分たちのレミの世界に集中することになると思います。


今日の稽古終了後は、グランテールのお二人、菊地まさはるさん、丹宗立峰さんに直撃してみました(^^)
オリジナル版経験者でもあるお二人が、
「なんか、二人でこんな真面目な話、したことないかも?(笑)」
と言いつつ、がっつり真面目に語ってくれた "酔っぱらい"グランテールズの大真面目トーク、どうぞっ。



  グランテール役の丹宗立峰さん(左)と菊地まさはるさん



どうですか? 日々通し稽古が続いてますが。
丹宗 「再演って難しいな、って改めて思います。まず思い出す作業をして、そこからまた新しい感情を作っていくっていうのが、なかなか難しいですよね。ともすると、表面的な動きばっかり思い出しちゃって中身が伴ってこない」
今回、結構細かく細かく、色々なところが変更されてるじゃないですか。
グランテールに関してはどうなんですかね?
菊地 「僕としては、今まで自分が抱いていたグランテール像や前回演ったものとは割と違うな、というか。前回演じたのとは…まあ、見た感じとしたらお客様には同じ様に見えるかもしれないけど、恐らく違うものとして今、アプローチしてるっていうのは実際ありますね。原作と、前回の新演出版と、今回の違いを、ちゃんとしっかりやんなきゃいけないなって」
丹宗 「…うーん…」
菊地 「あれ? そうでもない? 俺はそうなんだけど f^^;」
丹宗 「ふっふっふっふっふっ(笑)」
笑ってますけど、丹宗さん?
丹宗 「より今回の方が、"考えてる" グランテールだなっていう作られ方をしてる。ね?」
菊地 「あぁ、そうだね!」
具体的にこういうとこ、とかありますか?
丹宗 「ともすると冗談まじりで歌ってるような歌詞、あるじゃないですか。それを今回はすごく…何て言うんだろ…ホントに心の底からそう言ってる、みたいな」
菊地 「そう。皮肉とかジョークが入ってると思ってたものが、少し真実味が強くなって来たって感じかな」
丹宗 「うん」
菊地 「あぁ、ホントにそういう気持ちがあるんだな、っていう。前は(心に)ないであろうことを笑い飛ばしてたような台詞の部分も、(気持ちと)直結したお芝居になってるかな。例えば、♪痛い目にあわせてやろう、っていうのを、(前は)戦う気が全くないのに言ってるって思われても良かったのに、今はそこに、原作とも違う、賛同というか…アンジョルラスにも革命に対しても前向きなものが増えて来たかな、と。まあもちろん、捉え方は、ね、そうじゃなくていいんでしょうけど、でも、そういったところが多くなって来た」

そういう変更を受けて、対ガブローシュとか対アンジョルラスとか対学生とかで、自分の向き合い方というか、アプローチを変えたみたいなとこってあります?
自分の気持ちの持ちようの問題なのかな?
丹宗 「うーん…」
菊地 「いや、でも、あるよね?」
丹宗 「あるね」
菊地 「今回はガブローシュと、前回ほどピックアップされてる感じではなくて。だから逆に難しいっていうか。絆は前回同様のものを見せなきゃいけないと考えると、なかなかハードルは高い、という…」
ABC(カフェの場面)とか見てると、グランテールとガブローシュって、あんまり接触してる感じしないじゃないよね、今回。
菊地 「してないんですよ」
丹宗 「前回は常に二人一緒に居たけど、今回はホントに、あんまり、ですね」
それでいて、バリケードで撃たれたガブローシュの遺体をアンジョルラスから受け取るわけだから、そこまでの経緯とか関係性を表現していくの難しいなって思うんだけど。
丹宗 「(目に見えて常に一緒じゃない分)どこかでポイントポイントを押さえていかないと、最後、何で急に抱っこしてるんだ?って、なっちゃいますよね。だから、演出でつけられてないところでも、ちょっとした…(例えば)目が合うとか、そういうのを入れていけたらいいなって思うんですよ」
そういうのを今、まさに試行錯誤中なわけですよね、通し稽古で。
丹宗 「そうですね」
菊地 「僕は…(これまで)ABCでは酔っぱらってて、でも真実を述べて…皮肉でもいいから発してるって思っていたものが、(今回は)酔いの方はちょっと置いといて、みたいな感じになっているので f^^;。酒を飲んでる一人の学生ではあるけど、原作通りというか、今まで踏襲されて来た、とにかく酒を飲んでいるのが前提のグランテールではないような感じになっていて。それが、ね、より僕の場合かもしれないけど f^^;、難しいな、ということは思ってますね」
丹宗 「そこは、ね(笑)。僕は前回から、あんまり酔っぱらってない造りだったんで(笑)」
菊地 「そうなんだよね~(笑)」
丹宗 「前回もよく話したんですよ。グランテールってどれくらい酔っぱらってるのか、とか」
どれくらいだったの、前回は?
菊地 「前回は、まだ飲めるぞ、くらいだったんですけど(笑)」
丹宗 「あはは(笑)」
菊地さんの "まだ飲めるぞ" っていうのは、どの辺なの?
菊地 「酔っぱらい始めて気持ち良くなって来た、くらい(笑)」
丹宗 「でも、ABC(カフェの場面)で地べたに寝っ転がるくらい気持ち良くなってたから(笑)」
菊地 「まあね~(笑)。でもそれは一応理由があって、アンジョルラスに見とれていて立ち上がらなかった結果だったりするんだけど。それはなかなか見えないからね、自分の中でしか。だから今回はそこまではいかないので、僕としては、帝劇で寝転んでやる~!みたいなのはないですね(笑)」

今回、ABCカフェでマリウスをからかって、ちょっともみ合って背中から倒れ込むじゃない?
あれ、怖くないの?
丹宗 「僕、まだね、ちょっと怖いですね。でもマサ(=菊地さん)は、結構あそこ(どーんと大胆に)いってるよね?」
菊地 「僕は(笑)…僕はそこは、クールフェラック信じるしかない(笑)」
クールフェラック(倒れ込むグランテールを受け止める役割)次第?
丹宗 「僕ももうちょっと、信じます(笑)」
クールフェラックも二人いますけど、人が違うと受け止め方とか違ったりするの?
菊地 「そこまでは。でもこの間、頭パコン!ってやられました(笑)」
丹宗 「クールフェラックの手が、ね。頭にパコーンっと(笑)」
菊地 「あれは、有りか無しかっていうと、きっと無しなんですけど(笑)、まあ、あれはあれでいいかな、と。稽古ですからね」

そんなお二人ですが、グランテール以外の部分では?
菊地 「メジャードモ(結婚式の場面に出て来る給仕長)も、盲人(テナルディエインの第2の旅人)も、見せ場だよね」
丹宗 「そうだね」
菊地 「前回以上に細かい演出がついてるので、やるべきことが多くなったんですよ。(前は)フリー演技で自由でいいですよって言われてたところも、細かいディティールっていうか、繊細なところが増えて来た」
丹宗 「そうだね。最近、エイドリアンがよく言ってるんですけど、何かを"見せよう"とするなって。(見せようとしないよう余計なことを) "演らない" と、ただ "何もしない" だけになって、そうなると単にエネルギーが落ちちゃうじゃないですか。だから、演らない分、中をもっとしっかる創っとかないと難しいんだなって思ってます。グランテール以外の役でもホントに細かく作り込んでいかないと」
演じる上での "核" がないと、何か突発的なことがあってもオロオロするだけで、その "役" として対応出来なくなるしね。
丹宗 「例えばガヤひとつにしても、ホントに思ってないと、そのガヤ自体、何を言ってるか伝わって来ないんですよ」
形だけだと、ただウルサい声にしか聞こえないよね。
丹宗 「そう。だから、エイドリアンが求めてるガヤってそれじゃない、って(感じる)。その辺りを、どこまでみんなで共有して創っていけるか」
プラス、稽古場のこの空間と、帝劇の広い空間では芝居も変わって来るだろうし、さらにお客様が入ったらまた違うじゃないですか。
丹宗 「そうなんですよね。(地方へ行くと)いろいろ劇場も変わるし」
菊地 「良い風に変わっていけるといいよね」
丹宗 「(帝劇はシャッフルで日々キャストも変わるし)みんなで、たまにはぶつかりあったりしても面白いだろうなって」

では最後に、これは言っておきたい、とか、見所とかありましたら。
丹宗 「<暫く考え込んで…> グランテールは(ドモ=給仕長を演じる)結婚式の場面でワルツ踊ってないんですけど、ハケ際にちょっとだけステップ踏むので」
菊地 「そこ?(笑)」
丹宗 「その、華麗なステップ、を(笑)」
注目ですね、去り際!(笑) 菊地さんは?
菊地 「<こちらも暫く考え込んで…> わりとセリフ、っていうか歌がありますけども、紡ぎ出した言葉が、より自分の中で真実であり、その状況に合ったものであり…お客様に、その一片でいいんですけれども、伝わるような、真摯な気持ちで演っていきたいなと思ってます。それが、舞台も客席も共有出来るよう積み上げられるように。そこら辺がどうなっていくか、っていうところでしょうか」


みなさん、菊地さん、丹宗さんそれぞれの個性あるグランテール、本番をどうぞお楽しみに~。

それではまた~。