製造業の末端で働く男達のブログ | 株式会社ハナオカ

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ビッグに成る男のブログ

こんばんわ。

大阪府和泉市で、バフ研磨工と溶接工をしています。

毎日あり得ないぐらい忙しくて幸せですが、製造業の末端で働く人達と共に日本を支えて行けるか、最近は将来に不安を感じています。

地元から離れて15年、泉州の暮らしにも慣れ、こちらの方々とも仲良くさせていただき、歴史あるだんじり祭にも参加させてもらえていますが、今年はこの忙しさと経営状況により、100%の参加はできない状態です。


少し仕事から話が外れますが、だんじり祭には寄合と呼ばれる会合があり、およそ町によって決まった日程、決まった時間帯で、祭までの時間を友達や諸先輩方、後輩や地元の子達と共に過ごし、テンションを上げていくのが寄合です。
昔は寄合に参加しないと許さない、仕事よりも祭やろう的な流れだったそうですが、今はその考え方も大きく変わり、気持ちはそうであっても家族や生活の為に仕事優先で仕方ないと理解してもらえます。
ただ、僕は今年は若頭という組に所属して、1年目の【日の出】と呼ばれる立ち位置にいるので、寄合でもそれなりの雑用仕事があって、そのほぼ全てを少ない同級生達に押し付けている申し訳なさで辛いです。
仕事でもスポーツでも祭でも何でもそうですが、楽しい本番を迎える為には、自分も含めた裏方の準備が必ず必要ですね。


さて、話は仕事に戻りますが。
何故久しぶりにブログを書こうと思ったのかと言いますと、その祭の寄合に休みの日曜だけ顔を出させていただいた時に諸先輩方から、『めちゃくちゃ儲けてるらしいやん』と聞いた時に、ふと考えたからです。
いや待てよ。
確かにお給料めっちゃ持って帰ってますが、持って帰れてるのは時間給で月に300時間以上は軽く働いているからであって、それとは逆に会社は全く儲かっていないと。
ん?
僕がこんなに仕事しててお給料沢山でも、会社は全く儲かってないってどういう事……?


そうなんです。
それが今の製造業の現実。

僕はこの仕事をやり始めて25年ぐらいで、世界はまだまだ広くて僕の知らない技術が山程あって、高慢かもしれませんが、大阪ではそこそこ名前が売れるぐらいにはなってきたバフ研磨屋です。
だからこそ、僕にしかできない技術職があって、今のお客様はその僕に加工して欲しくてそれなりの単価をお支払いして下さいます。
でも、ここまで来るのには並大抵の時間では到底無理で、親にも健康に産んでもらい、研磨屋を営んでおられる身内にも恵まれ、今まで出会ってきたお客様にも恵まれたからこそ、ここまで来れました。
ここまでといっても終わりではなくて、勿論これからも技術向上するつもりです。

ですが、僕ももう42になり、20代前後の若い子達にこの素晴らしい職業を教えて行きたいのに、とにかく単価が安い。
この安さの1番の理由はわかりません。
輪廻転生というか、僕らにお金を支払う大元のメーカー様も、結局のところそのメーカーのユーザーは僕たちであって、どこにどうアクションを起こせばこの単価が高くなるのかわからないです。

この先、僕が70歳ぐらいまで1人で研磨屋をやる覚悟なら、何も問題ないでしょう。
でもそれではいずれバフ研磨工は誰もやらない時代がやってきます。
これは研磨屋に限った話ではないと思います。

僕は、60〜70歳で仕事ができなくなって生活保護などを受けて国に迷惑をかけたくないし、ウチの若い子達にもそうなって欲しくない為に、今年は思い切って法人化しました。
ところが、例えば時給1,500円の社員がいてると仮定して、社保・有給・賞与・福利厚生などのしっかりした会社経営をしてゆく場合、その社員の時間チャージは4〜5,000円は必要ですが、今の研磨屋のチャージは熟練工でさえ2〜2,500円がザラにあります。
このチャージでは到底、株式会社の経営はやっていけません。
だからこそ、僕1人でも遅くまで残業して少しでも会社の売上を上げているんです。
それでもやはり1人の力は小さいので、こんなに忙しく幸せなぐらい仕事をいただいているのに借金が増える現状をどうすれば良いのか、盆明けからずっと悩んでいます。
一緒に現場で頑張ってくれている若い子は、今よりはるかにお給料持って帰ってもらって当然の仕事ぶりなのに、其れ相当の額を与えるとたちまち経営が立ち行かなくなるという。
恐らく60〜70歳の今1人で研磨業をされている方は、それがよくわかっているから1人なんだと。
人を雇って経営できる様な職種ではないのだと。


こんな僕でも、昨年は少し現場から離れていた時期もあつたので経営という物が少しは分かります。
同じ経営者さまなら良くお分かりでしょうが、本当に1番しんどいのは現場から離れて社長業をしている時なので、これだけ毎月300時間超えて残業していても、不思議とカラダはまだまだタフに戦えています。
なのでもう暫くは持ち堪えれる状態です。
この負のスパイラルを脱出する為に常にチャンスを伺いながら、今日もひたすら磨く毎日ですね。




続きはまた話します。
次回のテーマは、
《なぜ時間チャージがこれ程までに安いかを考える》