「人を誰かに紹介する」というのは非常に難しい。
一番あるあるなのは、「友人を友人に紹介したら」大人の関係になってこじれる……というやつ。
結婚して離婚したとかなったら、どっちとも仲が良い手前面倒臭い(笑)
こういうのは良くありますよね。
そして一番困るのが、友人に友人を紹介したら、片方の友人が詐欺師になっていたみたいなパターン。
なぜそんなことになるかというと、人は状況によって変わるから。「魔がさす」なんてことは普通にあるわけです。
よって、自分と付き合いのあった10年間では素晴らしくとも、ここ最近あまりあってないな…となってからの3ヶ月とか、コロナの2年間で苦しくなり、詐欺師になった…みたいなことは十分あり得ます。
つまり、「人の紹介」ほど難しいものはないのです。「紹介した」のはいいけれど、その後のその人の変化にまではなかなか責任を持てるものではないのです。
↑ここまでは、大人の人であれば「わかるわー」となると思います。でも子どもたちにはピンとこないでしょう。
あなた(学生)にとって今の「親友」「生涯の友」「最愛の人」と思っている人が、10年後に「詐欺師になっている」なんて全くピンとこないし、「そんなわけないじゃん」と思いますよね。まぁ、今の時点で「ピンときたら」怖いので、それはそれで良いと思います。
とはいえ、「大学生」とかになると、もうそういう人間関係の入り口に入ってきてますからね。ボーッとしてたら騙されます。
何が言いたいかというと、「友人同士を紹介する」のってかなりリスキーなんですよね。
でもね、「これは絶対すべきだろ!」という紹介というのがあるんです。
それは、「ここを掛け合わせたら、10年後、20年後にとんでもない輝きになるはず」と信じられる未来が見える紹介です。
簡単にいえば、「大天才と大天才」の掛け合わせです。
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数ヶ月前に、友人夫妻と食事をしました。
その中で、夫妻の小学生の長女の話になりました。
僕も良く知ってるAちゃん。
今まだ10歳?とか11歳?の小学生ですが、彼女は将来「作家」的なものを目指しているのです。
ご自宅にお招きいただいた時に、彼女の読書感想文や作文を何本か読ませていただきました。
もうね、キレキレ。
隠そうとしても、原稿用紙から才能がミシミシ音を立てているんです。
語彙、表現、視点が明らかに突出しているのですが、そして何よりも「文章を書くのを楽しんでいる感じ」が伝わってきます。
僕自身、「塾の先生」として小学生から高校生までの読書感想文や、入試用の小論文の添削をこれまで相当な数やってきました。
「年齢別の子どもの文章のレベル感」や、「こうしたらいいよ」という指導もそれなりにできると自負しています。(ついでに言えば、塾の先生として読書感想文や小論文指導している方で自分自身もミリオンセラー本を出したことある人ってどれだけいるんでしょう。もちろん数多くの編集者の方ともお会いしてきました。)
と言うわけで、「目は肥えている」はず。
その目線で見て、明らかに異常値。
最近、Aちゃんが脚本家のスクールに通っているという話を聞き、「とはいえ、本人は小説家になりたいみたいだし…本人のやる気や能力をうまく導くにはどうしたら良いのだろう?」という話の流れになりました。
そこで、
「んじゃ、やっぱりその道の超一流に話聞くべきじゃないですか?分かりました。相談してみます」
と答えました。
現在『世界で』500万部以上売れていて、今度ハリウッドでも映画化されることが決まっている大ベストセラー、「コーヒーが冷めないうちに」(サンマーク出版)の担当編集池田るり子さんに連絡しました。
少し、話は逸れるんですが、昔、メガネのオンデーズの田中社長に「坪田さんは娘さんにどんな学校に行かせたいんですか?」と聞かれた時に、「ぶっちゃけ、勉強は普通で良いですが、先生たちは僕が超一流と思う方に特別授業にガンガンきてもらうのが良いです」と答えました。どんなジャンルでも「超一流」の実績を出している人と子どもの時に触れることができるのって最高ですよね。
「小説家になるには今から何をすれば良いのか」
それを聞くなら、現在進行形で世界中で売れてる小説の担当編集に聞くのが一番良いんじゃね?
ということです。
とはいえ、普通に考えたら、池田さんにお願いするのも気が引けます。
めちゃくちゃ忙しくて、第一線で活躍してる人に、「まだ何者でもない」ともいえる子どもに教えてやってくれってあまりに乱暴なお願い。
しかも、池田さんとはなんだかんだで仲良くさせて貰っているのと、めちゃくちゃ優しいので、多分断られない。
これを一つ引き受けると、「じゃあうちもお願いします」「え?わたしの子どもいいですか?」なんなら、「うちの40歳になる引きこもりの息子が作家になりたいと言ってるので」みたいな話も来かねないでしょう?
まじ面倒臭いじゃないですか。
「いや、そういうんじゃないねん」
みたいな。
あくまで、僕と池田さんの関係性の中で生まれるお願いです。
大事なのは、僕自身が、
「この二人を掛け合わせたら、すごいことになるんじゃない?」
と未来を信じられることができるというこの一点だと思うんです。
(そしてもちろん、それが池田さんのためにもなると確信を持てることが大事)
というわけで、休みの日に、Aちゃんとそのご両親、そして池田さんがお会いされたんです。(なんで、坪田はそこに同席してないんだ?!と一部、常識人の方は思われるかもしれませんが、そこは目を瞑ってください笑)
僕からしてみたら、未来の大小説家と、その恩人となる編集者の「最初の出会い」じゃないですか?(もう妄想はかなり膨らんでいます)
また話が逸れるんですが、僕は、子どもの頃から「世界史の教科書に載る」と決めているので、
例えば、ホテルのチェックインで書かされる用紙も結構丁寧に書きます(一級の資料になるはずなので笑)
そういう視点で見ると、今この瞬間こそが「歴史」なので、ちゃんと記録をとるべきです。
ご両親に、「ぜひ、池田さんの講義を動画に撮っておいてくれ」とお願いしました。(だって、Aちゃんが将来大ベストセラー作家になって、「歴史」になった時に、彼女のドラマで出てくる瞬間でしょ?絶対記録するべき)
池田さんも事前に彼女の作文や小説作品に目を通し、プレゼン資料をちゃんと作ってくださっていました。
僕はその動画とプレゼン資料を拝見して、震えました。
「何てとんでもないことを依頼してしまったのだろう」と。
そうだ。超一流の人に何かをお願いしたら、「期待以上のこと」を必ず投げ返してくれます。
ちなみに、池田さんに後でお礼のメールを送ったら、こんなふうに返事が返ってきました。
ーーー
わたしなりに考えてることを
めちゃくちゃ真剣にお伝えしたつもりだったので
(年齢などぬきで、
原稿を挟んだ作家と編集者として話をしました)
先生にそう言っていただけて
すごくすごくホッとしています……!!!
でも何より○○さんに響いたのは
「
その場にいるみんなが信じてたことなのかな、と
個人的に感じています。
未来を一緒に信じるってことが
じつは1番大事だったのかな……と。
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これ、素敵すぎませんか?
世界的なベストセラーを担当している編集者がですよ、
休みの日に、小学生に「自分なりに考えていることをめちゃくちゃ真剣に伝える」。
「年齢抜きで原稿を挟んだ作家と編集者として話す」
「ダヴィンチコードみたいな本を書こうと思って本気で目指していいんだよ」と伝える。
さらに、「本人も、両親も含めてみんながそれを信じる。」
いや、素敵すぎでしょう。
これ、ドラマ化してくれ!!!!!!
てか、なんでもそもそもその場に坪田はいない?!
僕ね、そういうところあるんですよ。
なんなんですかね。
でね、これ結局何がポイントなんだろう?
って考えた時に、
やっぱり「準備」だと思うんですよね。
Aちゃんって本気で小説家になりたいと思ってる。それは僕もわかる。
そしてすでに原稿もたくさん書いている。
だから、「どうにかしたい」と周囲の人間が動きたくなる。
さらにそれが伝わるから、一流の編集者も「本気になる」。
Aちゃんが長い間準備をしてきたからこそ、こういう化学反応が生まれるんだよなと。
それこそ、「ビリギャル」の話の中で、ずっと反対していたというか全く信じていなかったお父さんが、
僕とお会いするたびに「先生、僕はね、確かにクソ親父だったかもしれない。でも、あのさやかを見ていたらとても信じられなかった。
でもね、先生、お正月におせちを食べて、すぐ、ダラダラせずにじゃあ勉強してくる!とスッと席を立つさやかをみて、あれ?これはひょっとしたらひょっとするぞ?と思ったんですよ」という逸話を話してくださいます。
さやかちゃんが「慶應を目指す(だから塾代を出してくれ)」と言ったときは「明らかに準備不足」に周囲から見えた。
そこから準備を進めていく「本気の姿」を見せることで「周囲の目が変わった」。
そして、それが結果を伴ったら「いやいや、元々頭良かったんでしょう」「ビリギャルじゃなくてトップギャルじゃねーか」と言われるようになった。つまり、本気の姿、本気の準備が、周囲の評価を180度変えた。
そういうことだよなと思いました。
でも、この「本気の準備」って、まずは身近な誰か「一人でも」いいから信じてくれるところから生まれるんですよね。
鶏が先か卵が先か、という問題なんですが、
別にどっちが先でもいいじゃないですか。
めちゃくちゃ準備することで周りが感化されるパターンもあれば、周りが信じることで感化されて本人が準備するパターンもある。
いずれにせよ、この出会いが、将来「あの出来事が世界を変えた」と言われるようなものになるといいなぁ。
池田さん、本当にありがとうございました!