1番目 | ばいばい

ばいばい

遥か望む彼方の光
君を照らし出さなくていい
狂おしい花びらを舞い散らせて
堕ちる桜を抱いて 眠る

まあ、昔話でもしてやろう。

おれサマは、子猫だった。

母ちゃんは一番強いおれサマを

兄弟の中から咥えて

連れ出した。

そこから、おれサマの一生を左右する

事件が起きた。

誘拐。

母ちゃんは必死でおれサマの、

もう覚えていない名前を呼んだ。

おれサマは悲しくなって

みいみい鳴いた。