フラッシュフォワード[第5週]|事件とまるで関係のない“遠さ"
(再放送)2011年2011年4月11日 - 土曜0:30~ (米国初回)2009年9月24日 - 2010年5月27日 (日本初回)2010年7月25日 - 2011年1月9日 制作局 ABC 監督 Brannon Braga デヴィッド・S・ゴイヤー 原作 ロバート・J・ソウヤー『ハヤカワ文庫』(ハヤカワ文庫) * cast マーク・ベンフォード(ジョセフ・ファインズ) ディミトリ・ノウ(ジョン・チョー) オリヴィア・ベンフォード(ソーニャ・ヴァルゲル) ロイド・シムコー(ジャック・ダヴェンポート) ブライス・ヴァーレイ (Zachary Knighton) スタンフォード・ウェデック (Courtney B. Vance) ジャニス・ホーク (Christine Woods) アーロン・スターク (Brian F. O'Byrne) ニコール・カービー (Peyton List) サイモン・キャンポス(ドミニク・モナハン) ケイコ(竹内結子) ウダヤ(ショーレ・アグダシュルー) ガブリエル(ジェイムズ・キャリス) |
FBIロス支局の一同は、上院聴聞会に出るためワシントンDCへ。支局長はモザイク捜査継続のため大統領にバックアップを依頼する。支局長に昔の借りを返すため国土安全保障省長官に登用したいと持ちかける大統領。支局長と大統領を敵視する聴聞会議長のクレメンテは、マークの見たビジョンのあやふやさを指摘する。窮地に立たされた支局長は大統領に切り札を使ってクレメンテの攻撃を止めさせる。クレメンテは見返りとして副大統領の座を得る。しかしマークたちは暴漢に銃撃を受ける。一方、FBIではソマリアの衛星写真からガンワー地区に謎のタワーを発見。同性愛者のジャニスはマヤと付き合い始めるが、ジャニスが妊娠するビジョンをモザイクで知ってしまったマヤに付き合えないと断ったジャニスは、ロスで何者かに襲われ、重傷を負う…。
回を追うごとにB級の度合いを増していくのが興味深い。
フラッシュフォワード現象の謎を解くというメインストーリーは1回おきに背景に後退し、
なんというか、登場人物たちが送る、
いかにもアメリカ人的な日常への愛惜のようなものがクローズアップされ、
アメリカ人でない者にはなかなか理解しがたい部分が多くなる。
たとえば、ワシントンDCという場所のイメージからして、わかるようでわからない。
“政治的な場所"という、その“政治"のイメージが日本人とはまるで違うからだ。
この回の邦題は「不完全な真実」となっているが、
原題は「真実をくれ」というのを歌詞ふう(?)に記した「Gimme Some Truth」で、
グッゲンハイムともアル・ゴアともまるで関係ない。
ディミトリたちはカラオケバーで「Like a Rolling Stones」を歌っていたが、
これはこの40年間、アメリカ人が最も好み続けてきた曲である。
(「Gimme Some Truth」というフレーズはない)
その後起こる地下駐車場の銃撃戦で、ディランのでもストーンズのでもなく、
ディミトリたち自身のカラオケヴォーカルをBGMとして据える感覚は、
日本人には、とても共感できないものなのではないかと思う。
同じように、ゲイでない者にとって、ジャニスとマヤの関係もわからない。
ジュードーの試合で出会ったこの二人は、互いが同好の士であることを一瞥で見抜くのだが、
ベルクソンの言う“堅い林檎という真実”をキャッチしあうような、
繊細で傷つきやすいものとして、レズビアンの関係性を小説に描いた、
ドナルド・バーセルミの泣ける短編を思い起こさせる。
それにしても、モザイク掲示板というのはfacebookを思わせる。
アメリカではネットでは、やはり実名が基本らしいのだ。
☆他の回の「フラッシュフォワード」
第4回|「黒いジャガー」について
第2回|急にスケールが小さくなった?
第1回|日本人好みのリリカルな謎