毎年7月1日は『国民安全の日』という

記念日に定められているらしい。

一人ひとりが、事故や災害に備え

安全意識を高めるよう設けられたという。

ただ、常日頃から緊急事態を想定し、

万全の備えをしている私のような人間の場合、

記念日だからどうということもない。

「自分の身は自分で守る」という信念のもと、

私はすでに通信教育によって

空手ばかりか柔道相撲までもマスターし、

突発的な危機に備えているからだ。

ところで、読者の中には、

「格闘技を通信教育で習得出来るものなのか?」

との疑問を持つ者もいるのではないだろうか。

しかし、その疑問に改めて答える必要はないだろう。

実際、私が通信教育によってそれらを極め、

無類の強さを誇るのは

諸君も知っての通り事実なのだから。


では、具体的に通信教育で行われる

格闘技の指導とはいかなるものか、

ここで一例を挙げておこう。

立ち技最強との説もある相撲について、

私はわずか1か月という短期間で

通信教育の全課程修了してしまった。


唯一、苦労した点があるとすれば、

最終実技試験となる「ぶつかり稽古」だろう。

これは、通信相撲協会に電話をかけ、

手近な大木に体当たりをしながら

「どすこい!」という気合いの声を上げ、

その声量やぶつかる際の衝撃音をもとに

試験官である行司が合否を判定するというものである。

もっとも、幕内クラスの関取ですら、

合格率10を切ると言われるこの試験に

私の場合、一発合格してしまったのだが。

この事実から推察するに、

私は現在の横綱より相撲強い可能性が極めて高い。

ただ、ひとつだけ残念なのは、

肉体に関するある込み入った事情から

私にフィットする“まわし”が存在しなため、

大相撲への参戦を見合わせざるを得ないことである。


上田次郎オフィシャルブログ「天才の私から君へ」by Ameba

当時、携帯がまだ普及していなかったため
私は最終試験に近所の公衆電話を利用した。
難点は、受話器から大木まで距離があったため
より大きな声量が必要だったことである