大学ほど休みが多い機関はない。

春期に2か月、夏期に2か月、

年末年始に半月と、

実に1年の3分の1以上が休暇である。



その分、学生はバイトやサークル活動を通じて

“社会勉強”する時間に恵まれるのだが、

私たちのように教える側の人間は、

そうそうのんびりしていられる訳ではない。

休み明けの講義の準備をしたり、

ゼミの学生たちの面倒を見たり、

自身の研究を進め、論文を書いたり、

学会に出席したりと、

むしろ講義がある時期の方が余裕があるくらいだ。



とはいえ、天才にも気分転換は必要である。

私の場合、脳の活動効率を落とさないために

無理にでも休みを取るようにしている。

では、私の夏休みとはいかなるもので、

実際どのように過ごしているか……。

ここでその一例を挙げよう。



“夏休み”といえば、やはりだろう。

しかし、一般的に“観光旅行”や“家族旅行”

などと言われるものと、私の旅は少々異なる。

私の旅は慰安を目的とするのもではなく、

さらなるベストを尽くすための修行の場である



時に、下町で起きた殺人事件を解決し、

時に、飲料水からエコを訴え、

時に、世紀末の荒野で悪党の秘孔を突く……

といった具合に、

旅先で様々なアクションを起こし、

ベストを尽くすと共に自分を磨いてきたのだ



ただ、私は自分の活躍を

ひけらかすような人間ではない上、

非常にシャイな男である。

各地でどんなに優れた功績を残そうとも

「上田次郎」の名を告げることはなく、

その度に仮の名を名乗ったのだった。



諸君の周囲でも、

「悪代官が名もなき侍に成敗された」

「仮面の男が宇宙人を追い払った」

といった救世主伝説のひとつやふたつ

あるのではないだろうか?

それは、私が旅先で尽くしてきた

ベストの一部かも知れない。


上田次郎オフィシャルブログ「天才の私から君へ」by Ameba

余談だが、研究室には旅先から持ち帰った
国宝級の資料の一部が保管されている