今日、父を誘って映画を観てきた(^.^;
父と映画を観るなんて、うまれて初めてのコト(笑)

一緒に観た映画は「洗骨」。








3回目のナンカスーコー(三七日ミナンカ)を過ぎた昨夜、
twitterみてたら洗骨を観た方のツイートが目に入り、映画のコトを知ったワタシ。

とっさに横にいた父に映画のコトを知ってるか聞くと、知ってると答えた。

。。。ふぅん。。
良さげだから明日、観に行こうかな。

そんな風に思いながら眠りについた。






目が覚めて、なんとなく父に
「今日ワタシ、洗骨観に行くけど。。。一緒に行く?」と聞いてみた。

正直、この時まで父を誘うつもりなんて無かったし(笑)
誘ってもきっと断られるんだろうなと思ったんだけど。。。

答えは意外にもYESだった(笑)





最近、「人生はむなしい」と呟くことが増えた父。
特に弟との関係に悩んでるらしい。

母を亡くしてまだ一か月経らず。
いろんな思いに人知れず悩んでるんだろう。

映画を観ることが少しでも気分転換になればいいなと思いつつ、
実家から近いシネマライカムに出かけた。
















映画館に来るのはなんと、40年以上ぶりの父(笑)

小説も読まなければTVドラマも観ない。
作り物のお話にまったく興味がない父だけど、
葬儀屋を創業し、母を亡くしたばかりというタイミングもあって、
この映画は気になっていたんだろう。

記憶の中にある昔の映画館とはまったく異なる現代の映画館に目を見張りつつ、
一番上のシートに座る。




父は一体、どんな気持ちでこの映画を観るんだろう。。。




そんなコトを考えながら、
父と並んで映画館に座ってる自分になんだかウケた(笑)

この映画に関する予備知識はほとんど無かったワタシ。
沖縄出身のお笑いコンビ、ガレッジセールのゴリさんが監督だということだけ知っていた。






映画が始まると粟国島が舞台ということで、
スクリーンいっぱいに見慣れた沖縄の風景が広がる。

奥田瑛二扮するお父さんが久米島の久米仙を飲み干すグラスは、
沖縄のおじー・おばーの家には必ずあるといっても過言ではない
紺碧のオリオンビールのロゴが入ってるものだったし。

壁に掛けられていたハエ叩きや海亀の飾り物、古民家には不釣り合いなソファなど、
映画のセットに使われた家も含めて全部、
さすがうちなーんちゅのゴリ監督らしく細部に至るまでリアルな沖縄が見て取れた。

それらの沖縄が強烈に胸に迫って、オープニングから涙がポロポロのワタシ(笑)

沖縄がめちゃめちゃ大好きで、
沖縄から出て暮らしたいと一度も思わずに生きてきたんだけど、
昨年の1月に初めて東京に遊びに行って、
その時にbonoboとUNITの音場を初めて体験して、
生まれて初めて東京で暮らしてみたいと思ったんだよねぇ。。。

そしたらありがたいコトに本当に今、東京に暮らしてる(笑)





でも、沖縄を忘れたことは一日もない。

東京の太陽の柔らかい光を浴びては
沖縄の強烈な太陽の光を思い出し、

東京の乾いた風に吹かれては
沖縄の湿った風をいつも思い出していた。

スーパーに入ればその品揃えの違いを、
季節の変わり目には季節がない沖縄を思い出していた。

母が亡くなって49日までは沖縄にいるんだけど、
正直このまま沖縄に帰ってきたいなと思っているくらい(笑)
本当に沖縄を愛しているのだ。




物語は、亡くなったお母さんが棺に納められたところから始まる。

このしょっぱなから、リアルに母の姿と重なる。

家族それぞれが抱える事情と思いと、悲しいまでにすれ違う現実。

憎しみに似た感情を遠慮なくぶつけたり、
やりきれない思いをどうする事も出来ずにアルコールに逃げたり。

一生懸命に生きているからこそ、相容れないという現実にぶち当たったり。

この映画で展開された家族の悲喜こもごもはそっくりそのまま、
今現在のリアルなワタシの実家でもあって。。。

こういう怒りと悲しみ、やるせなさといったものこそ、
家族の死という場面で如実に現れるものなのかもしんない。





映画を観終わった父に感想を聞くと、
「観てよかった。。。自分と重ね合わせてみていた」と呟いた。

生前の母とは、あんなに仲違いしていたように見えていたのに、
亡くした後の父を見るとやはり、それなりに愛していたんだなぁと思う。

一日三度のお供えする食事の際には遺影に話しかけたり、
お墓に飾るものや仏壇に用意するものなど、
母が亡くなってからの父の行動は、母を手厚く弔うコトに集中している。

確かに父はかなりの変人で(笑)
人づきあいもなければ趣味も奇妙というしかないのだけど(笑)

変人なりに母を愛し、今でも思っているんだなぁと感じるとなんだか偲びない気持ちになる。

人知れず、眠れない夜中に涙を流しているんだろうか。。。





映画の予備知識をほとんど持たずに観たけれど、
観終わってみれば洗骨という儀式に対して崇高なものを感じたワタシ。

するとyoutubeのタイムラインに、リアルな洗骨の番組が上がってきた❗






与論島で行われた、あるご家族の洗骨の儀式に密着したドキュメンタリー番組。

火葬後の拾骨とは違って、
土葬後の洗骨はもっと生々しい感じがする。

生々しいという言葉がワタシの感じてるものに適切かは自信が無いけれど、
人間存在の終焉というものをリアルに感じさせる。

怖いといった感じはなく、むしろ崇高さを感じる。





人間が生まれては成長し、
人生のドラマをそれぞれに演じ、
そして息を引き取ったあと、
遺された家族が後片付けをする。

その後片付けを経験することで、
見えてくる生がある。




死を理解するのは難しいけれど、
直視することはできる。

同じように、
生を理解することは難しいけれど、
直視することはできる。




母が息を引き取るまでを見せてくれたおかげで、
命が芸術だということが分かった。

そして今、家族の悲喜こもごものドラマを演じることで、
家族というものがこれまでより分かりつつある気がしてる。




父に対して激しい怒りの炎を燃やしたのもワタシならば、
今日みたいに映画館に連れ出す親孝行のワタシもいる。




誰か何を言ったとか言わなかったとか、
何をしたとかしなかったとかを超えたところで、
こうして父と娘、家族の時間がある。







帰り道、ふと思った。
これはきっと母の粋な計らいなんじゃないかと。。。

この映画を観るキッカケも、
父を誘ったいきさつも、
思い返せば母が取り計らったものとしか思えない(笑)




なるほどね〜🎵
毎日父が母を思ってる事に対する
母なりのお礼なのかもね(*^^*)



まだまだ修行は続く!