シリア国内でロシアの戦闘機を撃墜させたのはトルコではなくCIAだとロシア政府が警告を発する

Moscow Warns CIA, Not Turkey, Downed Russian Fighter Plane Over Syria
11月25日http://www.whatdoesitmean.com/index1946.htm より翻訳





昨日、シリア上空でロシアのスホイSu-24M爆撃機が撃墜された事件について、ロシア国防省作成による新しい報告書が今日、ロシア政府内に配布された。


ロシア国防省作成の報告書の内容について

この大事件が起きた時点で航空写真偵察の任務についていたとされるトルコ空軍所属のF-16戦闘機を「統制・操作」させていたのはアメリカ合衆国のCIAであり、この事件はCIAによる意図的な行為であった。


シリア国内における軍事作戦における軍用機の飛行を提供し事故を防止するための、ロシアおよびアメリカの各国防省相互間の相互理解に関する覚書(仮訳)」という合意書については10月20日に概要が説明されている。

そしてこの同意書の諸条件に基づいてシリア国内のレバント戦闘地域における航空圏の戦闘任務の指揮を取っていたのは、トルコとシリアの国境付近で活動をしているトルコ空軍のF-16であったと、昨日トルコのインジルリク空軍基地の外部で活動するアメリカ空軍航空管制官が通告している。



(地図 ウィキペディア「レバント」


米空軍航空管制官は同国航空部隊の相手方に対し、同トルコ空軍F-16機の飛行の「目的・任務」をさらに明確にしている。

それによれば、このフライトは定期的な諜報活動目的の航空写真偵察を目的として行われたものであると同報告書は続けており、さらにこの諜報活動は、シリア国内でISIS反乱軍がトルコからの武器の積荷を監視する任務を負うCIAの指揮の下で行われるのが常である。

ロシアのSu-24爆撃機は、CIAが作動させていたトルコ空軍F-16戦闘機に対しては脅威としては考えずに、スホイSu-30戦闘機二機のエスコートと共にシリア空軍基地に戻るところであった。燃料の低下が原因で自らの基地へと速度を上げることは「認可され」ており、地上からのミサイル攻撃を防止するために手順として定められている通りに飛行高度を6,000メートルまで高めていた。

Su-24が高度6,000mに到達するや、CIAが指揮するトルコ空軍F-16は即座に極超音速(ハイパーソニック)に入り、Su-30が応戦できる前にロシア空軍の「標的」に向けて空対空ミサイルを発射。これによりロシアの爆撃機が破壊され、二人のパイロット、オレグ・ペシコフ中佐と機長のコンスタンチン・ムラフチン大尉は身の安全のために空中に緊急脱出することとなった。





しかし二人のパイロットは破壊された爆撃機から安全に脱出したものの、地上近くに到達した際にISISのテロリストに銃撃された。テロリストのかかる行為(落下中の兵士に攻撃を加えること)は深刻な戦争犯罪に該当する。そして中佐は殺害され、攻撃者は彼の死を祝っていたのだ。


一方で機長のムラフチン大尉は、戻ってきたエスコート機Su-30が援護射撃を行ったために無事に救助された。またSu-30機は彼の救出のために飛行していた救助ヘリのためにも援護射撃を行っている。

ムラフチン大尉の救助にはヘリコプター3機が出動したが、国防省の専門家によれば、ISISのテロリストによって発射されたアメリカのミサイルによって破壊され、海軍歩兵のAlexandr Pozynich氏が殺害されているという。

ロシア国防省の衛星画像によると、撃墜された時のSu-24M爆撃機はシリア領空内の約1,000mであったことが明らかだ。





ロシアのSu-24Mは、17秒に渡り2.19kmまでトルコの領空圏を侵害しており、機種方位を変更するように10回に渡って警告を発していたという「ばかばかしい」主張をしている。しかし通常の航空機から航空機への「通信の伝達」は一回につき少なくとも45秒は必要であるため、トルコ政府の主張は不可能なものだ。

また2012年には、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は「短時間の国境の侵害は、攻撃の理由になることは絶対にありえない」と述べているのは理解しがたいことである。

さらに昨日、トルコ政府が国連安保理に宛てた書簡の中では、トルコ政府がSu-24を撃墜させたばかりではなく、落下したパイロットの救助作戦に対しても攻撃を命じたということを明確に認めてさえいるのだから謎は深まるばかりである。

エロドガン大統領は未だにプーチン大統領に直接の連絡を取ってはいないものの、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相はトルコのメブリュト・チャブシオール外相と会合を行い、トルコ外相はロシア政府との友好的な関係を維持することを望んでいると伝え、それに対しロシア外相はロシアはトルコに対する戦争は計画していないと返答している。


しかしロシア国防省の分析から、ロシアのラブロフ外相は「この行為が意図的ではなかったということはとても信じられません。事前に計画された挑発のように強く思われます」と述べているという。


またロシア国防省の諜報部の専門家たちは、トルコの撮影班がこの撃墜を撮影していたのは偶然ではなく、正しい場所で正しい時間にいるようにという密告があった可能性が高いと、アメリカ人の監視員でさえ認めている事実を指摘し、ラブロフ外相の発言を裏付けている。


さらに、この大事件が起きたのは、トルコ政府当局がロシア政府に対してISISのテロリストに対する「軍事作戦を即座に中止するように」と警告を発してからわずか数日のことだということも非常に重要なポイントだ。




そして11月23日のこの報告書の中でプーチンは、ISISは「完全敗北の寸前」と宣言し、NATOによる戦争は「完全な嘘」であると警告し、露国防省の深刻な懸念について次のように言及している。


「この報告書が警告している通り、アメリカ合衆国が主導するNATOが、彼らのISIS という同盟軍が完全敗北しないように保護しようと介入し、ロシア・中国との間で世界第三次大戦のリスクを犯そうとするのであれば、ロシアは今、答えられて いない最大の疑問に直面していることになます」


さらに大規模な戦争を誘発しようと、トルコ国内で特定の要因をCIAが企てているが、プーチン大統領は今朝、アメリカとの上記の合意については一時留保するとの命令を下している。




さらに大統領は、非常に恐れられているS-400の防衛ミサイルシステムがシリアのHmeymim空軍基地に配置されることになると宣言。このミサイルの射距離は250km(一番近いトルコの国境までは80km未満)であり、Moskva海軍巡洋艦がもたらす領空防衛と組み合わさることにより、トルコ・CIA・NATOの航空機がロシアの戦闘機を再度、標的にしようと試みた場合には、確実な死を意味すると警告を発している。




(翻訳終了)



*****

【コメント】
11月25日付のRTの記事より


「トルコは(領空侵害の)方法をよく知っているようだ」
・・・トルコが2014年だけでも、ギリシャの領空圏を2,244回侵害していた件

‘They know how it’s done’: Turkey violated Greek airspace 2,244 times in 2014 alone
https://www.rt.com/news/323429-greece-turkey-airspace-violations/
 




ツイッターのグラフは、トルコがギリシャの領空に侵入した回数を示したものです。



****


【追記】


(画像 Wikipedia2015 Russian Sukhoi Su-24 shootdown より)


トルコ軍とロシア軍によって、主張しているSu-24の航空経路もかなり異なるようです。

灰色の線がトルコの主張する航空経路、赤色の線がロシアの主張する航空経路です。






****




「どうやらクリスマスには、Turkeyをいただくことになりそうだ」



ロシアとトルコの緊張感が高まる中、プーチンのTurkeyネタのミームが続出しています。Turkeyはトルコと七面鳥という意味があります。

ヘリコプターが墜落した周辺のISISはすでに壊滅状態だそうで、さらにシリア国内に大量の地上戦展開の準備も始めているようです。

ロシアはシリアのアサド大統領と昵懇の仲で充分な情報は得ているかと思いますが、それでも民間の犠牲者がこれ以上出ないように祈るばかりです。