アメリカがロシアとの戦争を警告した数日後、ロシア国内で「核の災害」を想定した訓練に4,000万人のロシア人が参加
40 Million Russians To Take Part In "Nuclear Disaster" Drill, Days After US General Warns Of War With Moscow

 

10月3日【ZeroHedge】
 

シリア国内でのロシアと米国間の代理戦争が過熱した結果、両国間の関係が崩壊しつつある。その緊張感のクライマックスのように今日、プーチン大統領がプルトニウム処理で米国との提携関係の一時停止を宣言しているが、直前の3日には米国国務省がシリアに関するロシアとの協議を打ち切ることを発表していた。

 

 

(画像 http://www.snopes.com/russians-drill-nuclear-strike/

 

 

そして明日6日には、4,000万人のロシア国民および20万人の「非常時救助部門」の専門家、そして50,000セット分の装備が動員されて4日間に渡る市民防衛や緊急時避難、災害対策訓練に参加するとロシア民間防衛省が同省のウェブサイトで発表している。

 

同省によれば、連邦および地方行政、地方公共団体が参加する「ロシア連邦国内の大規模な自然および人為的災害に対する民間による防衛システムを組織化」するといわれる全ロシア人を巻き込んだ民間防衛訓練がロシア領土全体で明朝開始され、10月7日まで続けられるという。

 

 

(画像 http://www.theeventchronicle.com/news/europe/40-million-russians-involved-annual-4-day-defense-drills/

 

 

この「人為的な災害」とは具体的にどのようなものを想定しているかについて同サイトは明示はしていないものの、災害訓練で4,000万人のロシア人が参加するということは相当の事態を想定していることが考えられる

 

さらにこの訓練のガイドラインに目を通してみれば、ロシアが何に「備え」ようとしているかより理解することが可能だ。

 

ロシア民間防衛省のサイトより:
「自然および人為的な災害に対応し、民間防衛の手段を実行全レベルでの民間防衛のための管理組織や部隊がどれほど準備できているかを確認するために、民間防衛が必要なイベントや非常時の管理や火災の対応の組織だった訓練を行うことが今回の訓練の主要な目的である」

 

民間防衛省の代表Oleg Manuilov氏によれば、「非常」事態に「災害」に国民がどのように反応するかをテストするための訓練であると説明している。そして4日間の訓練は3つの段階に分かれている

 

第一段階:民間防衛活動の組織化

この段階では、全レベルの民間防衛管理システムを配置させ連邦政府の高官および地方行政府、地方公共団体、民間防衛部隊への通告と招集を訓練し、民間防衛の通信および連絡システムの準備を整える予定となっている。

 

国家危機管理センターが管理用信号を送信した後、勤務中の全管理組織、国家の諸機関や部隊、組織、人民は利用可能な通告システムを通じて知らされることになる。

 

第二段階:民間防衛活動の組織化の計画
大規模な災害や火災に対応するために設置された民間防衛部隊および施設のチームを配置させる。

 

ロシアの各連邦管区で、災害救助および他の緊迫した作戦、民間防衛活動を実行し、領土内で軍の災害救助部隊や連邦の火災や救助に対応する師団をスタンバイ状態にするなど、特殊民間防衛部隊を配置する目的のため、可動式の省庁間共同である多機能民間防衛部隊・組織の配置を訓練することが第二段階の計画となっている。この段階では、関与しているチームが増強され、補助的な統制センターになるための備えを行い、民間防衛に関係する情報を収集・連絡しあう訓練を行う。

 

第三段階:民間防衛管理組織・部隊の活動を組織化

第三段階では、アンテナや可動式統制センターを設置し、国民を安全に避難させるためのルートを見直し、行政管理の領土内の閉鎖された施設などを含めた危険性のある施設で連邦火災管理サービスが消火活動や救助活動を実施し、生命維持に必要なサービスを組織化させる。

 

今回の災害訓練では非常に重要、かつ危険性のある施設で非常事態があった場合に、職員や国民を放射能、化学、生物(訳注:兵器)からの保護するための予行演習を行う。社会的機関および公共の建物における火災対策、民間防衛、国民の保護の点もまたチェックされることが計画されている。

 

放射能、化学、生物(兵器)の監視センターには対応部隊が配置され、非常事態のあった地域には救援用災害ポストが設置される一方で、実験的なコントロール・ネットワークがスタンバイ状態にされることになる。

 

 

(画像 http://www.mmo-champion.com/threads/2082976-MOE-will-conduct-training-for-civil-defense-with-the-participation-of-40-million-peop) 

 

 

「災害及び火災」に対応する民間防衛チームに課せられた対策の中に、「放射能、化学、生物(兵器)からの保護」が含まれているという事実を考えると、ロシアはおそらくは冷戦終結以降で最大の核戦争に対する演習を行おうとしていることは明らかである。

 

しかしなぜこのタイミングなのか?おそらくはロシアと西側の関係が急激に悪化し、冷戦時代と同レベルの緊張感となっていることも要因の一つである。しかしまた、先週、アメリカ統合参謀本部議長のジョセフ・ダンフォード大佐が米国連邦議会に対し、最近のジョン・ケリー提案のシリア上空の飛行禁止区域の決定やヒラリー・クリントンの外交政策の最重要項目を実施した場合には第三次世界大戦という結果をもたらしかねないと警告を発しているがそこに答えを見出すことも可能かもしれない。

 

先週のアメリカ合衆国上院軍事委員会開催前の宣誓の際、ジョセフ・ダンフォード大佐は、シリア国内で米露が停戦調停を崩壊させてから米国議会内で支持者を増やしている政策の変化が大規模な国際的紛争をもたらしかねないとし、自らはそれを支持する準備ができていないと警告を発していた。

 

停戦状態の停止から反乱軍が統制するアレッポ市内東部において、ロシア・シリアの空爆が激化しているという申し立てに対する反応として、ヒラリー・クリントンがシリア上空の飛行禁止区域の設定を提案しているが、ミシシッピ選出のロジャー・ウィッカー上院議員はこの提案について質問をした。

 

ウィッカー議員:「たる爆弾が落下されないように、(シリア)領空を統制するという選択肢についてはどうお考えですか」

 

それに対し、上院軍事委員会議長は上院議員殿、まさに今シリアの領空を統制するためには、シリアとロシアに対する戦争に突入する必要があります。これはあまりにも抜本的な決定であり、私にはかかる決断を行うことは決してありません」と答え、たとえ軍部上層部にとってもその政策はタカ派的すぎることを示唆している。

 

また2015年10月、ロシアがシリア政府の安定を維持することを目的に空爆作戦を開始した数日後から、ヒラリー・クリントンは飛行禁止区域の設定を強く主張している。

 

2015年10月NBCニュースのインタビューでのクリントンの発言:「地上および空中からの大虐殺を止めさせ、起きていることを評価するための方法を作り出し、難民の流れを取り除くため、私は今、飛行禁止区域および人道主義的通路を個人的に提案しているのです」

 

同議長の警告にもかかわらず、元国務長官で現在は大統領候補、そしてシリア国内の政権変更およびロシア関係の問題に関してタカ派的な立場で知られるクリントンは、自らの姿勢の提案を継続しており、ここ数週間で米国外交筋での支持者を獲得している。

 

しかしこの考えに立つのはクリントンだけではない。WSJが6月に報道していたように、米国の外交関係者50名以上は、議長に反対する悪名高いメモを支持し、オバマ政権がシリアの現政権に直接攻撃しないのであれば、飛行禁止区域を実行するなどアサド大統領に軍事的に反対する政策を採択することを要求している。

 

外交官の主張は、シリア国内の状況は米軍の直接的行動がなければ悪化し続けるというものであるが、国連安保理の決議を欠いたまま一方的に着手した場合はその合法性は疑わしいものである。しかしSputnik紙が報道している通り、アメリカの国連大使サマンサ・パワーはロシアは紛争の一当事者であるため、安保理決議に対するロシアの拒否権は無視されるべきだと主張し、賛否のわかれている国際法の「保護する権利」理論の下で基盤作りを行っている。

 

それに対しロシア側は、アサド政権が崩壊した場合には結果としてできる政権の空白状態をISISやアルヌスラ戦線を含むテロリスト集団が埋めることになり、シリアは国際的なテロリスト集団の避難所になりより荒廃するとして反論。

 

根本的にはシリアの紛争は根本的にはエネルギー源の輸送の問題であると言える。、つまりロシアがヨーロッパの天然ガス輸入を独占した状態を維持するか、あるいはシリア政権が退陣させられた場合には、カタールの天然ガスがシリア国内を通過して欧州へ移動させることが可能になる。

 

ロシアの核戦争演習については、そのような核戦争のほのめかしが増加してはいるものの、これらが純粋に理論上の範囲に留まることを期待するしかないだろう。

 

 

 

 

【参考】http://www.zerohedge.com/news/2016-10-03/40-million-russians-take-part-radiation-disaster-drill-days-after-us-general-warns-w

 

 

(翻訳終了)

 

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【コメント】

RTでもこのニュースは「ロシアの定期的な災害訓練」として報道されていました。ロシア政府の英語サイトに掲載されていたということは「ロシアは戦争に備えているぞ」という対外的な宣言をしたかったのかとも思われます。たしかにイギリスでは大手メディアでもこのニュースは報道されていました。

 

この動画はロシア国内での報道だと思われます。ロシア語ですが、英語の字幕が付いています。かなりの緊迫感です。

 

 

40 million Russians take part in evacuation drill

 

 

また7月22日付のニュースでは、「一部のロシア市民が第三次世界大戦に備えて食料品など必要品を備蓄している」という情報も流れていました(Wilson centre)。

 

CNNの国際部レポーターとして30年勤務している Jill Dougherty氏の記事より

 

「最近、モスクワ市内でタクシーに乗りました。運転手がどこから来たのかと尋ねるので、アメリカからだと伝えました。

運転手は『そこなら一度行ったことがあるよ。シカゴだ。とてもいいところだったよ』といい、続けて次のように言ったのです。『でも教えてくれないか?いつから俺たちは戦争に突入するんだね?』

その質問はあまりにも完全で正直なものだったので驚きました。『起こらないことを願うよ。戦争の好きな奴なんていないからね』と私は答えました。

 

モスクワ市内での労働者階級の市民の雰囲気はどのようなものか、ロシア人の従業員に尋ねました。彼によると年配の市民は塩やマッチ、『grchka(そば粉)』を開戦の場合に備えて備蓄しているということでした」

 

シリア周辺の軍事的な話についても、非常に緊迫したニュースが続いています。

 

 

 

 

 

 

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