トンデモ・シネマの開祖

トンデモ・シネマの開祖

トンデモ・シネマな日々を綴る

大木ミノル
MINORU OHKI

そんな少し奇妙な映画世界がここにあります。


「機動戦士ガンダム劇場版」上映当時の思い出



金持ちの時計屋の息子に「一緒に着いてきて欲しい。君なら理解できると思う」というので、行ったら「機動戦士ガンダム劇場版」の一作目だった。
後で思うと、彼は僕の事を生粋のオタクだと考えたらしい。
まあ、遠からず近からずというところだが、その予想通り、僕には興味深い映画だった。

映画は2日目だったのに三分の一も入っておらずバブル期では異例のガラ空きと言っても良い状態だった。

劇場版の出口ではやしきたかじんのマネジャーさんが直接レコードを売っていました。
今でも覚えています。
「やしきたかじんが歌います。ガンダムのテーマ、レコード販売しています」と僕ら中学生にまで声を掛けてくださいました。
勿論、僕はお金はなくパンフしか買いませんでしたが、時計屋の息子はレコードも買ってました。

その後、すぐにプラモで人気になり、時計屋の息子は何故か僕にプラモを自慢してましたが、僕はあまり羨ましいとは思いませんでした。

第二作「哀・戦士」は前作と違い、大幅な書き直しシーンが加えられて上映され、プラモで儲かったのがよく分かりました。
映画館では、前作の映画とは違い『昔からファンだった」と名乗る人達がカメラのフラッシュを焚くので観れたものではなかったです。
そうです。当時は映画館で写真撮影はOKだったのです。

特にランバラルのシーンは真っ白でした。

ただ、感度の高いフィルムでフラッシュを焚かずに撮影しないとスクリーン真っ白で映らなかったはずです。
当時はデジタルではないので、その場でフィルムをチェック出来なかったのですが、家に帰って真っ白なスクリーンの写真を見て愕然としたでしょう。
今も昔も迷惑な人は多かったという事です。

『スター・ウォーズ ジェダイの復讐』

スター・ウォーズ・ファンって目が節穴だと思うんだよね。

 

だって、誰がどう見たって一番面白いのは「EP6 ジェダイの復讐(のちに帰還に変更)」なんだよ。

実際、後のシリーズは本作の構成と手法のアレンジ版にしかすぎない。

 

「EP4 新しい希望」では、偶発的に作ったシリアル・シリーズだった為、ストーリーがくだらない上に、自主映画の様にダラダラと長い。
展開も遅く、みんなで劇場で寝たのにも関わらず大ヒット。

ジョージ・ルーカスも「続編も前作もあるんだ」とは言ったものの、こんな映画がヒットするわけがないと思い、ハワイに逃亡。
後に「インディアナ・ジョーンズ」でコンビを組むスピルバーグに出会って、スター・ウォーズの事を忘れようとしていた。

そんな中、ヒットしたので続編を作らされるが、アイデアが全く浮かばない。


おかげで「EP5 帝国の逆襲」面白そうになりそうで、全然、意味不明の変な映画。

映像に催眠効果があるらしく、未だにこれが名作という人が多い。

しかし、ヒロインが浮気するという前代未聞の展開に、ラストでは悪役が「実は俺が親父」と言われて、主人公は何の役に立たないという、どうでもいい身内ネタまで超退屈。

そもそも途中から始まって途中で終わる映画が面白いわけがなく、面白いという者も論理的に説明できない有様。

 

 

上の2作に比べ「EP6 ジェダイの復讐」はテンポアップしており、前編と後編は全くの別物。

 

しかも前編ではヒロインのビキニのような衣装で化物に奴隷にされて、日常的にベロベロ舐め回されるなど、完全に性的暴行を受けた後の様なシーンまで含まれており、これまでになく大人。

 

さらに後半では白かった柔道着が真っ黒のスリム作務衣になり、スタイリッシュな主人公ルーク・スカイウォーカー。

前作の浮気は浮気でなく、主人公とヒロインは兄妹だったという強引な展開はあるものの、変なちっこいクマみたいな民族と共に世界平和を取り戻す。

 

特にラストでは、ルーク・スカイウォーカーの描き方は見事だ!

 

宗教や政治、倫理観も持たず、恋人もおらず、仲間さえ無視して、ただひたすら意味なくロンリー。

【アイツ嫌い】という『フォース』という名の『カン』を感じたという理由だけで、敵国の皇帝と闘う!

こんな意固地なヒーロー像は後にも先にも全く存在しない。

まさに、これぞ、オタクの希望の星。

 

こんな意固地なヒーロー像は後にも先にも全く存在しない。

まさに、これぞ、オタクの希望の星。

なのに、評判が悪いなんて考えられない!

『善き人に非ざれば良き書を作ること能はず 』
善人でなければ、良い本を書く才能は身につかない。



先日、田中貢太郎「奇談哀話」の冒頭に、中央公論の編集者で滝田樗陰(瀧田哲太郎)のこの金言が載っていた。

昔の人の心掛けというモノは実に説得力がある。というのも瀧田は当時大作家だった夏目漱石、森鴎外を引き入れ芥川龍之介を見出した。その彼の言葉だ。

映画監督も漫画家もアーティスト、その他、全ての人に当てはまる。



反対に言えば、悪しき人の書いたモノは一時的に人気を得たとしても、良きモノとは言われなくなり、この世に残らないだろうという事になる。

欲に狂いし者は人生という時間を無駄に過ごす事になる。
そう読み取れない事もない。



ハマー・ホラーは目で語る映画



「僕はハマー・ホラーが好き」と云っても皆ポカーンとする。
別に嘘ついてるワケでなくイギリスのハマー・フィルム社が製作した一連のホラー映画の事。
当時はB級作品だったが、時間の流れ共に再評価されている。

50年代から60年代初頭に全盛期を迎えたユニバーサル・スタジオのドラキュラやフランケンシュタインを70年代向きにカラー化したハマーは当時子供だった我々にホラーの面白さや人生の教訓を教えてくれた。

ハマーの映画は多くが古典的な伝統を受け継いで、起承転結が明確である。
初めは身近に起きる謎の事件から発展し、それがやがて謎の解明に繋がる。
後半は解明されたはずの謎が恐怖に変化して加速する。



ハマーを代表する「フラケンシュタインの逆襲」では、ピーター・カッシング扮するフランケンシュタイン博士が死刑になる寸前で神父に告白する処から始まる。
子供の頃から生命の復活に執着する天才博士は、その性格が故に研究の為にモラルを失う。
知り合いの著名な教授を殺し、その脳を遺体とつなぎ合わせて生命体に生命を吹き込む。
しかし、生命体は怪物となり、暴れ回り、無惨な死を遂げる。
生命を弄んだ博士は逮捕され、死刑に処される。
という話で、一見、よくあるフランケンシュタイン伝説だ。

しかし、違うのは、その細やかな描写だ。
例えば、最初の教授を殺すシーンでは、実にリアルに殺人というものを演出する。
階段から老人を突き落とすが、その瞬間まで観ている我々でさえ、突き落とす事が予見できず、突然のように感じる。
しかし、その後、何の表情の変化を見せないフランケンシュタイン博士を観て、我々視聴者は全てを悟ると同時に恐怖する。

彼は冷酷な殺人鬼的一面を持つサイコパスなのだと一瞬で理解するのだ。



このピーター・カッシングの演技は、低予算と言われるB級ホラーに一流の演技を持ち込んだ最初の演出と言えるだろう。

本来、ホラーは当時、子供向きなので、分かりやすく説明されていた。
ユニバーサルのフランケンシュタインでは、すべて台詞を通して、自分の行動や心理を話してくれる。
しかし、ハマーのこの殺害シーンでは、セリフは一切使わない。

ただ、映像だけは雄弁に語りかける。

殺した後も瞬き一つしないフランケンシュタイン博士の顔にスーッと影が斜めに落ちてやがて全てを影が覆う。
コレはピーター・カッシングが後ろに下がっただけと思う人もいるが、心理描写の基礎なのだ。
ただ、演劇では照明を調整する事で演出するが、映画では照明に大げさな変化を入れると、リアリティを損なう為、あえてピーター・カッシングが行動する事で照明の効果を醸し出している。

勿論、カラー時代だから出来た演出で、ユニバーサルのモノクロ時代では、それをするにはフィルムは暗すぎるし、照明も大き過ぎたのだろう。
ハマーは基本、台詞芝居で舞台を撮影したような古典映画に、近代的なリアル志向のホラー演出を持ち込むのだ。



その後、80年代に入り「13日の金曜日」に代表される、より過激なリアルな殺人シーンをメインとしたスプラッターホラーが主流になり、ハマーは衰退する。

しかし、我々がハマー・ホラーを特別視するのは、映画の作り方だ。
今のテーマパークのような映画でなく、古典的な要素やストーリー展開を重視しながらも、映像で見せる演出を織り交ぜた職人技こそホラー映画の本質だと教えてくれるからだ。

単に視聴者の興奮度のみに執着し、派手な血だらけの近代ホラーとは違い、低予算でも、ギリギリの品質を重視して、役者の演技とそれに伴う演出が最大の見せ場になりうる事をハマー・ホラーは証明している。

最近では、コンプライアンスがうるさくなり、派手な血糊を嫌がる傾向にあり、ハマー・ホラー的な演出重視のホラーも増えているのは、喜ばしい。


「妖怪剣客」

此処一週間7回だけのレビューの【続き】です。

なんかの宗教じゃないです。

本当のお客様の声です。

ありがとうございます♪♪

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週刊にも載りましたが、内容は権利上、載せてません。





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業界紙にも載りました。