2014 Best Books 10 | Rotten Apple

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今年あんまり本のレビュー書いてなかったので今年読んだ本でおもしろかった10冊を選びました。2014年発売じゃないのばかりですがあしからず。順不同です。あと読書メーターに読んだ本全部登録してるのでそちらも良ければ。



■横槍メンゴ「クズの本懐」


学校内の誰もがうらやむカップルが実は互いに叶わぬ恋に身を焦がす契約上の恋人だったという話題のマンガ。読み進めていくうちにこいつもクズかあいつもクズかというカオスな展開なんですが、全体的にはエロティックな純愛モノに仕上げてくるところが流石です。読み終わったあと誰かと恋愛トークしたくなりますけど、この話に共感するような女子はブラックな恋愛経験ありなので要注意です。



■倉金篤史「PiNKS」


性に目覚めた小学生の男女を描く思春期コメディ。男の子はどこか性に対していけないことをしているという認識からくる好奇心ですが、女の子は性行為は神聖なものだという認識からくる好奇心という男女の差をうまく描写したおもしろい視点の作品でした。単巻完結なのでお手軽にぜひ。



■石川博品「ヴァンパイア・サマータイム」


人間と吸血鬼が共存する世界の、普通の人間と普通の吸血鬼の恋愛小説。太陽の下に出られない吸血鬼は陽が沈んでいる間に学校や会社へと行き、人間の血を吸うことは法律で禁止されているなどという完成された設定の上で描かれる普通の恋愛小説です。人間と吸血鬼ではお互い感じている"好き"の先の感情(本能)にちょっとしたずれがあり、それによって悩む2人の心理描写が素敵でした。とりあえず絵がかわいいのでぜひ。



■紅玉いづき「青春離婚」


偶然同じ名字で同じクラスとなった2人が周りから夫婦と囃し立てられ憂鬱になりつつも親密になっていくラノベ。というあらすじだと普通の恋愛小説なんですが、自作アプリにTwitterの非公式botにSNSゲームというスマートフォンから生まれる恋愛を描いた現代感溢れる設定がおもしろかったです。紅玉いづきはファンタジックな「ミミズクと夜の王」で知ったんですが、この作品とか「ガーデン・ロスト」みたいな学園モノ書かせても良いですねおすすめです。



■犬村小六「とある飛空士への追憶」


All You Need Is Kill」に次いでラノベの名作と呼ばれているやつを今さら読みました。敵国の空域を突破して次期皇妃を1万2千キロ先へと送り届けるという無謀なミッションを課せられた若き飛空士の物語。傭兵と皇妃の恋愛と戦争という時代が絡むベタな設定の完成された一冊でした。元はと言えばリヒトの曲でこの小説を知ったんですが、完全にネタバレするんで読んだ後に聞いた方が良いですね(ネタバレしてても楽しめますけどね)。



■朝井リョウ「何者」


話題のサラリーマン作家朝井リョウの小説を今年は読み漁りましたね。「何者」は社会問題にもなっている就職活動にスポットを当てた作品。学生団体のリーダーや留学経験など聞こえの良い肩書きや経験を振りかざす意識高い学生を笑い、友人が内定した企業の悪い評判を検索して安心したりというリアルな心理描写が流石です。この作品では就活だけではなくSNS社会になったことによるしがらみも描いていて、小説というよりは作者が言いたいことを登場人物に言わせているだけのような気がしてくるほどです。
朝井リョウの他の作品だと、狭いコミュニティの地位にしがみつく中年女性を描いた「スペードの3」、廃校のため取り壊しが決まっている高校の卒業式を描いた「少女は卒業しない」、映画化もされていた「桐島、部活やめるってよ」がおもしろかったです。



■岸政彦「街の人生」


社会学者が少しマイノリティな道を歩いてきた5人に人生史をインタビューした本。外国籍のゲイ、ニューハーフ、摂食障害の女性、シングルマザーの風俗嬢、ホームレスの男性。著名人ではないものの他人の人生とはこれほどおもしろいものなのかと。社会問題という漠然とした捉え方ではなくて、隣人の言葉として捉えればもっと様々な問題が身近になるのかなと思わされました。



■黒川伊保子「キレる女懲りない男―男と女の脳科学」


脳科学的に男性脳と女性脳を解析した取扱説明書。唐突に昔のことを蒸し返したり共感を求め結果ではなく過程を重視するなどなど女性脳の話は本当ためになりました。。男と女は別の生き物だとよく言われますが、そもそも脳の作りが違うので分かり合うのは難しいけれど知ることが大事だなと。職場の人材活用や恋愛指南としても役立てられる本でした。



■尾原和啓「ITビジネスの原理」


Googleやマッキンゼーを経て楽天へと11職を渡り歩いた男性によるITビジネスの教科書。Googleが勝った理由、パズドラなどの課金ビジネスが流行っている理由を頭の固い幹部のおじさん達にも理解できるようにわかりやすく書かれています。ウェアラブル端末の普及によるハイコンテクストなコミュニケーションについて書かれていた箇所は読んでいてワクワクしましたね。



■猪又孝「ラップのことば2」


日本語ラップのつくり方を紐解く日本語ラップ読本第二弾。AKLO、泉まくら、KREVA、環ROY、SALUなど15名のラッパーへのロングインタビュー本です。KREVAの語る半笑い感の話や、泉まくらのオリジナルであれという考えに対するカウンター、AKLOやNORIKIYOが語るパーソナルな面ではなくリリカルな面へとシフトしていくべきだという話は特におもしろかったです。pt.1pt.2で少し引用しているのでそちらを読んでみておもしろいと思った方はぜひ。



■その他

渋谷直角「カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生

尾崎かおり「神様がうそをつく。

辻村深月「本日は大安なり

小川洋子「猫を抱いて象と泳ぐ

水野学「センスは知識からはじまる

久石譲「感動をつくれますか?

津田大介「情報の呼吸法

池上彰「おとなの教養―私たちはどこから来て、どこへ行くのか?

梅田望夫「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる

南場智子「不格好経営―チームDeNAの挑戦