「テロ非難決議を、途中退席した山本太郎はテロリストだ。」

そう思われた方。

採決に、賛成・反対ではなく、退席を選んだ理由、

説明します。

その内容を理解した上でのテロリスト認定をお願いいたします。

まず、非難決議の本文を皆さんはご覧になったでしょうか?


特に問題なかった、そう思われた方もいらっしゃるかも知れません。

確かに、6行目までは、山本太郎も賛同です。

誘拐、殺害が許されることでないのは当然ですから。

決議文



ただ、後段部分に文言の追加と修正、一つの提案を

山本太郎から、議院運営委員会に投げかけいたしました。

今回の決議に対する修正は、基本的には議院運営委員会の理事会派に認められると言うルールで、1議員がモノ申せる立場にないそうですが、

「屈さない」「許さない」など場当たり的な、形だけの決議ではなく、国内でのテロを抑止し、

国外に生きる邦人の安全確保の為にも、信託を受けた議員たちによる覚悟を感じる決議でなければならない、と考え、

最低限の提案を以下の通りいたしました。


①今回の事件の検証。イラク戦争の総括を含む。
②特定の国名の明記を避けた関係各国への謝辞。
③英訳文を同時に用意する事


ザックリと順に説明します。

① 今回の事件に関する細部に渡る検証が政治の場でも必要な事は当然です。

発覚から、犯行映像が出るまでの間、政府の指示は的確であったか?

拘束から殺害まで、関係機関が、どの様なルートに繋ぎ、危機管理の最高責任者がどんな判断をしたのか。

人質の存在を知りながら総選挙まで行った経緯、

人質の生命が危険な状態に置かれる事を鑑みることなく行われた中東訪問と、演説内容などなど。人質の救出のために何がベストの方法であったのかも、検証が必要です。

特定秘密になる可能性に逃げず、説明責任を果たさねばならない事は沢山あります。

そして、今回の事だけでなく、何故イラク戦争にも総括が必要か。

今回、事件を起こしたISが巨大化した背景を考える責任が我が国にもあると考えるからです。

2003年、米国大統領が、

「イラクに大量破壊兵器がある」
「軍事行動をおこす」

と演説し、

その3時間後には、素早く支持を表明した日本政府。

その後、有志連合でイラクを破壊し、解体した後にわかったことは?

「大量破壊兵器は存在しなかった。」

言いがかりを付けて他国に攻め入り、人々の主権を奪い、国を破壊した。

それを支持した日本や諸外国。

しかし、イラクから自衛隊撤退後、今まで10年近く、日本の政治も、社会も、イラク問題にはほとんど目を向けてきませんでした。

僕もその1人です。

イラク国内の治安は悪化の一途をたどり、

シーア派による、スンニ派への民族浄化にも近い、虐殺が日常的に行われていた。

その中から、生まれた存在が、ISだったと聞きます。

スンニ派の住民が暮らすファルージャでは、スンニ派に対する乱暴狼藉を

やめないマリキ政権に対する平和的なデモが行われ、

それが国内各地に拡がり、大規模なデモにまで発展しましたが、

参加者を射殺する武力鎮圧が行われていたと言います。


日本を含む国際社会は、無視を決め込み、メデイアは積極的に取り上げなかった。

今回、2人の邦人が危険な地域に足を踏み入れ起こった事件、と考える

のではなく、「大量破壊兵器がある」と決めつけ、

「大量破壊兵器が見つからなかった」国を破壊し、

放置した結果、その地域の治安が悪化、危険な状態に陥り、

生み出されたISや地域の混乱に関して少なくともイラク戦争から

総括する必要があるのではないでしょうか。


② お世話になりました、とお礼を言う事は大切です。

しかし、特定の国名を挙げての謝辞は今は避けた方が良いと考えます。

この決議文では具体名が上がっているのは、

ヨルダンですが、直接の空爆に踏み込んでいる国でもあります。

現在、武力攻撃を行っている国に対して、謝辞を述べる事は、リスクがあると考えます。

それも国民の信託を受けた国会議員の決議文にそれが記される事は、

有志連合と一体になって、「屈しない」「許さない」と言う話にとらえられないでしょうか?

中東地域で現在、武力による直接攻撃を行っている有志連合国とは一定の距離を置かなければ、
日本国内がテロの標的にされる可能性が高まる、

と考えました。


③ 総理の発言や発信が、英訳のされ方によって、

考えていたよりも強い表現になってしまう、という事を私たちは何度も経験したのが、今回の事件だったのではないでしょうか。

日本の国会議員が揃って出す決議の内容を意訳されてしまわない様に、一言一句、こちらの意図通りの翻訳で、決議内容を英訳する必要性を提案しました。


以上3点を最初に紹介したような形で簡略化し、提案しましたが、
全く反映されませんでした。

より不安定な状態に自ら足を踏み入れる事に発展してしまった我が国に生きる人々、

在外邦人への影響を最小限に食い止める為にも今回の問題提起を含む、

採決途中の退席を選択した次第です。


最後に。

会派として(生活の党と山本太郎となかまたち)、

賛成しているのに、1人だけ退席、これは内部分裂か?と想像力を働かせている方もいらっしゃいますが、御心配なく。

党内でたった1人違う意見や意思表示を許されているのが党議拘束なし、と言う我が党の考え方ですし、小沢一郎代表はじめ会派の方々とは十分協議して決めたことですので。



2015.2.6 『テロ非難決議』を途中退席した理由について





国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長・伊藤和子さんの記事も合わせてお読みください。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/itokazuko/20150131-00042568/