ゾンビの親分は板尾係長 『ランド・オブ・ザ・デッド』 | 蝦夷☆オブ・ザ・デッド

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蝦夷の片田舎より分析しない掘り下げない脱力バカレビューをお届け(ホラー多めほぼネタバレ)

進化したゾンビが見られます  

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<あらすじ>
ある日突然、原因不明の奇怪な現象が世界を襲った。
死者が甦り、「生ける屍=ゾンビ」と化し、生きた人間の新鮮な肉を求め徘徊し始めた。
ゾンビに噛まれた者は数時間内に死亡、その後に、同じゾンビとしてよみがえる。
彼らは増殖し、そして「進化」を遂げようとしていた。
そんな世界の中で、一部の裕福な支配階級の人間たちは小都市を作った。
陸には塀で囲いを作り、ゾンビが侵入できないように川に挟まれた地形も利用した。
結果、ひとつの要塞のような小都市が完成した。
その小都市の中心にはフィドラーズ・グリーンと呼ばれる超高層タワーがそびえたっている。
タワー内のペントハウスに住む権力者カウフマンは、事実上、この一帯を統治し、牛耳っていた。
彼やその他の裕福な人間は、ゾンビがはびこる世紀末にも関わらず、金の力を使って思うがままの贅沢な暮らしを満喫していたのである。
権力者カウフマンの命令で、ゾンビが溢れる危険区域から食糧や物資を調達してくるのが、装甲車デッド・リコニング(死の報い)号を駆使する傭兵グループだった。
主なメンバーには、ライリー、彼の右腕チョロ、ライリーの良き理解者チャーリーらがいた。
ライリーは塀のない世界と自由を求め、北へ逃亡する機会を待っていた。それには資金を貯める必要があり、それが目的でこの仕事を請け負っていた。
一方、チョロには、フィドラーズ・グリーンの上流階級へ仲間入りしたいという野望があった。
上流階級の人間が不自由なく暮らす外では、貧しい者たちがひしめき合うように生活していた。
それは最早、一つの貧困社会だった。
ある日、酒場の余興で1人の女性ががゾンビのいる檻に入れられ、酔っ払い連中の見世物になっていた。
ライリーは間一髪のところで彼女を助け、仲間の一員として迎える。
彼女はスラックという名の娼婦だった。
チョロは約3年もの間、権力者カウフマンのために、危険なゾンビ発生区域に飛び込んで働いてきた。
彼は今の生活に心底嫌気がさしていた。そして、ある時、カウフマンに上流階級へ仲間入りを要求する。
しかしカウフマンは、上流階級の仲間入りをするには理事会と資格委員会の承認が必要だと言って断る。
尚も執拗に迫るチョロを疎ましく感じたカウフマンは、遂に彼を「用済み要員」のリストに加えてしまう。
その頃、ゾンビたちにある重大な変化が起きていた。
リーダー格の黒人ゾンビ(ビッグ・ダディ)の行動により、他のゾンビたちも武器を使うことを学習するなど、徐々にではあるが今までに見られなかった進化を遂げ始める。
彼らは遥か遠くに見える巨大な建築物・・・裕福な人間たちが住まう超高層タワーに目を向け、群団をなして、要塞都市へと近づいていく。
デッド・リコニング号に乗る傭兵グループは、最早カウフマンの手下ではなくなったチョロの妨害に対処しながらも、ソンビたちの侵入、攻撃を阻止しなくてはならなかった。
この世界の支配権を握るのは人間か、はたまた、ゾンビか。
壮絶なサバイバル・バトルの火蓋が切って落とされようとしていた・・・

<レビュー>
元祖ゾンビもそうなんですが、ロメロ監督のゾンビはなぜか哀れ、そしてちょっぴりキュートにさえ思えてしまいます。人間のほうが数倍憎たらしいです。
そこに、監督特有の風刺がピリリと効いているような気がします。
さて、おぞましいゾンビのどこがキュートかと言いますと・・・例えば

 

水中から顔を出す姿が・・・

 
「そらお前、かじられるで!」

板尾係長を彷彿とさせてしまうあたりとか。

公開当時、ゾンビ映画の神、
ジョージ・A・ロメロ監督の約20年ぶりの作品と言うことで話題になりました。
ロメロ監督の撮るゾンビ映画は、その当時の社会背景を痛烈に風刺しています。
人間同士の足の引っ張り合い、そして自滅。
人間が滅びるのは自身の欲望によってであり、ゾンビによって滅ぼされるものではありません。
また、この作品のゾンビは、「ただ食べるという本能のみで動いてズルズル歩き、頭を破壊すると死滅する」という定義を少々・・・いやかなり打ち破っています。
インフルが年々強化されていくように、ゾンビも進化しています。
もう、トボトボ歩いて頭ドカーン!と撃たれてバタッと倒れるゾンビではありません。
なんとリーダー格が現れゾンビたちを引率、そして仲間同士で若干の意思疎通ができ、経験から学習し、道具も使えるのです。
しかし、そんな中にもゾンビらしい天然ぶりも遺憾なく発揮してくれます。
工事現場でドリルを見つけ、「こりゃいいや・・・フフフ」と得意満面のリーダー格ゾンビ。

 

人間どもが住まうエリアまで持って行って使ってやろうとドリルを手に意気揚揚と歩き出しますが、プラグが抜けてしまい、ドリルは早くも役立たず。
   
「あれっ?さっきまで『ドドド』って言ってたじゃん」と言わんばかりに、地面にドリルの先をコンコン叩きつけて首をかしげるリーダー。
そのへんがとってもキュートで哀愁すら感じさせられます。
DVDにロメロ監督のインタビューやメイキングが収録されているんですが、彼はゾンビたちの演技については特に指導はしておらず、「自由にやってくれたまえ」とのこと。
「だって、ボクが『こんな感じでゾンビの演技をやってくれ』って指導しちゃったら、たくさんいるゾンビの役者さんたちが全員同じような演技をしちゃうでしょ?だから、その人が思うゾンビの演技をして欲しいんだよ」
というようなことを仰っておられました。
人がひとりひとり違うように、ゾンビにだってきっと個性があるんでしょうね(でも、さすがにカールルイスゾンビはいませんでしたけど)。
その辺りに、やはり監督のゾンビに対する溢れんばかりの愛情を感じました。

相変わらずそんな「ゾンビ愛」に溢れた作品ですが、キッチリシッカリ、ゴアシーンはございます。
汚さではフルチ監督のゾンビには到底叶いませんが(フルチさんのゾンビは目から虫ビーム出しちゃってますからね)暗がりでゾンビが黙々とお食事なさるシーンのおぞましさはサンゲリア勝るとも劣らず。
また、非常に斬新なゾンビも登場します。
なんと、首の皮一枚だけで頭がかろうじて繋がっているゾンビ。
登場する時は首なしゾンビのように見えて、人間サイドは「あれ?頭破壊したら死ぬんじゃなかったっけ?」という驚愕の表情を見せます。
ところがどっこい、肝心の頭は実は背中側にぶら下がっており・・・まさに首の皮一枚残して繋がってる!
これを見た時は「ヤラレター!」と思いました。
このシーンは見どころだと思います。私はひっくり返って大笑いしていました。

以下、印象に残ったシーンをいくつか。

たーまやー  
花火ドカーン!!!

ポカーン・・・  
ゾンビポカーン!!!


急げ急げ!   
リーダーを中心に、それぞれの武器を持ちゾンビ結託!

 
左:多分肉屋の親父(今度は人肉を求めています)
右:多分ソフトボール試合中の女性(今度はボールじゃなく人間の頭部を打ちたいらしい)


装甲車   
対ゾンビ戦巨大装甲車


落ちるぅぅ!!!   
男性「おっ落ちるぅぅぅ!」
ゾンビ「バカ!運動オンチ!」


水中ゾンビ   
水中OKゾンビはサンゲリアだけかと思ってました。
サメと格闘するゾンビはサンゲリアだけですが。

ダリオ・アルジェントの愛娘アーシア   
ロメロ監督と元祖ゾンビの頃から関わっている、ダリオ・アルジェントの娘、アーシア。
娼婦スラックを熱演しました。

しかし、それにしてもロメロさん・・・

ゆかいな仲間たち  

・・・しあわせそう。
<超主観的評価>
ストーリー★★★★ スリル★★★ テンポ★★★ バカ★ グロ★★★
総合★★★★