砂漠

Wikiによればイスラエル農業の解説に、

「イスラエルの農業技術は先進的で、国土のほとんどが砂漠または半砂漠で降雨量も少ないといった農業には厳しい環境ながら、食糧のほとんどを自給でき農産物の輸出も行う農業大国である。少ない水資源を有効に活用するため、水のリサイクルに力を入れ、リサイクル率は70%を超えているという。また水の利用効率が高い点滴灌漑を行っている。設備の制御は携帯電話などのモバイル機器からも可能であるという。」
とあります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A8%E3%83%AB

「点滴灌漑」については、
ネタフィムジャパン株式会社さんのホームページに詳しい情報がありました。
http://www.netafim.jp/1539/

また、今回の旅でご一緒のメンバーの一人でもあった滝沢泰平さんは
ご自身の「天下泰平ブログ」2014年4月22日で、
イスラエル農業に関して見事な考察をご披露なさっています。
http://ameblo.jp/pure-tenkataihei/entry-11830384595.html

アラブ人が農業もできない・人も住めないと半ば見放していた砂漠に建国された国家が
イスラエル・・・のはずなのですが、

テルアビブ空港に降り立ち、諸国と何ら変わることのない国際空港の表玄関を出てバス乗車、
車窓に流れる景色にも特に目立ったところはありません。
緑の平野も目について風にそよぐさまは砂漠の国であることを忘れてしまいそうでした。

しかしそれは「砂漠の緑化」という難題に
真っ向から挑んだ結果として得ている「成果」なのでした。

北部ガラリア湖からのパイプライン建設、
これだって気の遠くなるような距離に、
ガラリア湖の標高は海抜マイナス213m、
高きから低きに流れるのが水ですがこれは逆行、
しかも「国土縦断」!です、
生半可なことではありません。

砂漠から緑地へ

これはもと全くの砂漠であった土地が緑地へと変わりつつある途中の姿です。
もとは冒頭の写真と同じ情景であったわけです。

イスラエルパイプライン

国土縦断!のパイプラインルート

塩分混じりの地下水の利用、
生活排水の再利用、
年間降雨量が植物の生育には致命的に少ない砂漠に水を通す、
血の滲むような努力の賜物。

そうなってくると聖書で説かれている、
ダビデがゴリアテを手製の投石器で倒したとき、
「なめらかな石を5個ひろって・・・」の場所で自分の足元に生えていた、
名も知らぬ1本の草さえもはや踏みつけるなんてことすらできなくなってしまいました。

足元の草



さてそこでわが愛する祖国日本。
日本では鳥取砂丘や離れ小島などを除けばどこに行ってもまず水は手に入ります。

水の苦労は砂漠に比べれば格段に低いのに
食料自給率はどんな計算法か詳しくは存じませんが、
惨憺たる有様。

イスラエルは砂漠でありながら「食料輸出国」、
国土面積も人口も日本よりはるかに少ないのにです。
いったいどうなっているんでしょ、これは。

日本食糧自給率


初代イスラエル首相ダビッド・ベン=グリオン氏は生涯を通じ、
「開拓しないと自分の土地にならない」
国家の存亡をかける思いで砂漠の緑地化へあくなき挑戦を続けられました。
首相を退き自ら率先垂範で不毛のネゲヴ砂漠に入植、
ユダヤ人が世界に貢献できる場所として「砂漠」を選び、
人が住め、
作物が収穫できる緑の土地へと変貌させ続けました。
パレスチナのアラブ人の反発をもっとも避けられることだとの思いもあったとのことです。

そしてその信念は実を結びつつあり、
先進の砂漠農法は多くの国々で採用され、
砂漠の民に緑の恵みをもたらし始めています。

「10年前は砂漠だったところが今は緑地・街になっている!」
何度もイスラエルへ足を運ばれ、
生前ベングリオン氏とも知己のあった旅のリーダー赤塚高仁さんが、
心からうれしそうに感慨深げに話されたことが耳に残っています。

旅の途中何度かキブツで食事をいただきました。
ホテルでもそうだったのですが野菜が豊富でした。
メニューは戒律も関係あるのですがそれはまたの機会に。

食事


国を挙げての地産地消、
輸入品はほとんどありません。
まったく見事なものです。



「天上無窮の神勅」日本書紀
葦原千五百秋之瑞穂國、是吾子孫可王之地也。宜爾皇孫、就而治焉。行矣。寶祚之降、當與天壤無窮者矣。

読み下し文:
豊葦原(とよあしはら)の千五百秋(ちいほあき)の瑞穂(みずほ)の國は、是(こ)れ吾(あ)が子孫(うみのこ)の王(きみ)たるべき地(くに)也。宜しく爾皇孫(いましすめみま)、就(ゆ)きて治(しら)せ。行矣(さきくませ)、寶祚(あまつひつぎ)の隆(さか)えまさむこと、当(まさ)に天壤(あめつち)と窮(きわま)り無かるべし。

現代語訳:
日本国は、我が子孫が王たるべき国である。さあ瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)よ、行って、しっかりと治めなさい。恙(つつが)なくお行きなさい。天津日嗣(あまつひつぎ;寶祚=皇位)は、天地と共に永遠に栄えることでしょう。

天孫降臨まさにその時、
天照大御神からこれで国を栄えせしめよと
瓊瓊杵尊が受取ったのが「稲穂」でした。



奇しくも昨日は「昭和の日」、
皇居敷地内には水田があり、
天皇陛下ご自身が田植え・稲刈りをなさいますが、
これは昭和天皇がはじめられたこと。

昨年皇居勤労奉仕団に参加させていただいたときはちょうど新嘗祭の後あたりで、
稲穂や粟から籾を手で脱穀する体験をさせていただきました。
来年の御手植えの時にお使いいただく籾となるとのことで光栄の至りでありました。

明治天皇も赤坂御所で水田をつくられていたそうです。

稲作は日本文化の根源の一つ。
ユダヤ流に言えば「神との約束」、
これを大切に育てれば必ず国は栄え続けるという
「神勅」
の穀物が米なのであります。

戦時中・終戦時に飢えを経験したにも関わらず、
国民の主食である米の減反政策があったなどまさに狂気の沙汰。

玄米は完全栄養食、
味噌汁と一緒に食していれば日本の食料自給率は余裕の100%超過です。
味噌汁は原爆を投下された広島・長崎原爆で生死を分けた命の汁です。

米が余るというなら国家安全保障上万全の備蓄をし
災害等不測の事態に備えていただきたい。
学校給食をパンから米に戻すだけでもかなり自給率はあがるはず。

ごはんをパンに変え、
味噌汁を牛乳に変え、
肉食を過剰に覚えさせ
いつまでも日本の食糧自立をさせない罠に
気付いていながらの既得権益、
はまりっぱなしでいいわけありません。

もちろんさまざまな食の楽しみも否定しませんが、
お米・ご飯にこそ日本の食の自立はある気がします。
海外の皆さんにも日本のおいしいお米をどんどん食べていただきたいものです。

イスラエルの輸出まで行う高い食料自給率、
しかしこれは一方で「敵が多い」ことによる
「国防上の理由」
であることもまた、
まぎれもない真実でありましょう。
であるならば、
日本も国家の行く末を案じるなら
真摯に日本農業の未来に向き合うべきでありましょう。

ひょっとしたら食糧供給能力は、
ミサイルを装備するのと同じくらい安全保障上の威力があるのかもしれません。