グァンスさんはJリーガー
愛想はないけど見た目がすごくいい。
だから初めてお店に来てくれた時に緊張してジャケットにお酒をかけてしまった。
おわびがしたくて
キャバ友(?)のルミに頼んでカズさん(グァンスのチームの先輩です…いかにもそれらしい名前ですけどね)に連れてきてもらう
そうでもしないと
グァンスさんは
絶対に来てくれないから
案の定グァンスさんは
クリーニングしたてのジャケットを受け取るとそのまま帰ろうとした。
カズさん俺はこの辺で。じゃ…って。
こういう賑やかな場所が苦手なようだけど
周りの冷やかしも手伝ってなんとか引き止めることに成功する。
近くのバーにふたりで行くことになった時はおわびができるのはうれしいけど、正直心配だった。
無表情なグァンスさんと何話せばいいんだろうって。
…
でもこれが
私たちのすべてのはじまり。
そのことに気づくのは
まだずいぶん先のことになるのだけれど。
…キャバ嬢のスキルを駆使して誘惑しようとするより、ありのままの私で接する方がグァンスさんには結局よかったようで
バーの日の私は
「おもしろい子」
として記憶に刻まれる。
あっ手が赤ちゃんみたいに小さい子とも記憶されたかも…
自分の手と比べてずいぶん喜んでたから。
バーの日の数日後
カズさんとふたりで来てくれて、私たちはサッカーの話で盛り上がる。
私がサッカーに詳しいことにびっくりしていたけれどとてもうれしそうだった。
グァンスさんは何だか不思議…
サッカーが話題になっている時でさえ自分のことはあまり話さない。
うれしそうに私の話を聞いている。
プロのチームには疎いけどサッカーそのものには興味があるんだなとか
弟想いなんだなとか
私のことをしっかりわかろうとしてくれてるんだって思って
私はとても温かい気持ちになった。
そればかりでなく
なんとグァンスさんは弟の大学に指導に行きたいとか言い出して…
留学先の大学だったからかもしれないけど
信じられない!!
弟にすぐにメールしなきゃとかきゃあきゃあ言って大喜びしていると
ん?
…グァンスさんが私の顔をじっと見つめてる?
「わ、私の顔に何かついてますか?」
「いや弟ひとりのために
ずいぶん喜ぶんだなと思って」
ドキドキするからやめてほしいなあ
②に続く