③～
作ったチョコレートを見た途端涙が溢れ出す。
隣にいるのに感じてしまう距離は、その亀裂が深すぎてもう自分では飛び越えられそうにないほどの遠さで。
ただただ悲しくてたまらなかった。涙が溢れて止まらない。
涙の粒はドロップになるって小さい頃母さんが言ってたっけ
水色と青と透明と…
ポロポロ ポロポロ
それは次第に声も伴って…
わーんわーん
冷蔵庫の前で
子どものように私は泣いた。
あんなにやさしいユナクさんをこんなに怒らせてしまった。
嫌われてしまったらどうしよう。
………
｢どうしたの?｣
…ユナクさん?
ごめんなさい
私ユナクさんにひどいことして
大好きなのに
あんなこともうしないからキライにならないで
｢葉子…｣
ユナクさんが冷たくするから私 悲しくて
｢……ああ!!もう!!!!｣
ユナクさんは床に膝をついてついに私を抱きしめた。
どうして僕はこうなんだろう
こんなに子どもみたいに拗ねて葉子を傷つけて…
本当にごめん!!
自分に怒ってるんだ。
どんなことがあっても大好きな人を傷つけたらダメなのに。
｢大好きな人って私ですか？｣…まだ大好きですか？
他にいないでしょと
ユナクさんは腕の中の私を見つめる。
これで仲直りですね
もっと早くこうしてればよかったね
ユナクさんの腕の中が私の居場所。定位置に収まったままお願いする。
｢どんなにケンカしててもおはようって言ってほしい｣
ごめん!!本当にごめん!!
私の涙を指で拭いながらユナクさんは
おはようって言えなかった自分も打ち消すようにとびきりやさしく
｢おはよう僕の葉子｣
と囁いた。
チョコを渡す。
いろんな表情のユナクチョコ
ケンカした後に作った
大きめハートのごめんねチョコも添えてある。
メッセージカードを読んで
全く同じ気持ちだよ
ずっとずっといっしょにいようねとユナクさんは言った。
お互いの気持ちは分かり合ってるはずなのにね…と
愛おしそうに私を抱きしめて頭をなでる。
ユナクさんの長くて繊細な指が好き。
色白のきめ細かい肌
だけど筋張ったこの大きな手に
ユナクさんは男だって
強く感じてドキドキする…
少し大人になって
お互い相手に寄り添い
仲直りできた
バレンタインの朝
私とユナクさんは
冷蔵庫の前で
チョコレート味のKissをたくさんしました～
⑤(終)に続く☆