恋のはじまりⅠ | S.E.C.R.E.T超新星☆アリスタのブログ

S.E.C.R.E.T超新星☆アリスタのブログ

超新星大好き‼ソンジェ寄り寄りのオールペン、アリスタです。
「私の彼は超新星」のイベントストーリーを小説風にアレンジして記事にまとめてます♪☆ゲーストーリーに基本忠実に…いいカンジに盛ったり妄想が渦巻いたり、アリスタバージョンでお届けしてます\(^o^)/

「こういう事件必ず毎年あるね。」
母が小さい声で言った。

世の中が幸せそうだと
自分がそうじゃないことが際立って落ち着かないんだね…と続ける。

ゴールデンウイークの白昼の通り魔事件は
どこのチャンネルでも大々的に取り上げられていた。

「うん…」

もう出かけないと…

曖昧に相槌をうちながらそそくさと靴を履く。

ゴールデンウイークに楽しい思いをしたことがあるから楽しくないと寂しいんだ…

「じゃあゴールデンウイークに楽しい思い出がないのも悪いことじゃないんだね」
母の背中に声をかける。

言ってはみたものの
反応が気になったけど、
案の定大丈夫みたい。

「しっ!お父さんが起きるじゃない!」
母の全神経は寝返りを打つ父に向けられていた。

もうずっとそう
幸か不幸か


私の声は届かない


……
この人は楽しくないゴールデンウイークとはずっと無縁なんだろうな。

いつも同じ車両で見かける人。

今日はずいぶん向こうにいるおばあさんを連れて来て
自分が座っていた席に座らせている。

この前は急ブレーキに驚いた女の子を
大丈夫だよってとびきりの笑顔で慰めていたっけ。


うつむいてiPhoneをいじったり、窓の外に目をやったり
赤ちゃんをあやしたり


いつのまにか
目で追ってしまって
つい、隣に座ってる友だちの話が上の空になってしまう。

だって彼の口元が珍しいから。
いつも幸せそうに口角が上がっている…
自然な笑顔?
笑顔が自然?

不思議な人…

私にとって
とても不思議な人



……
ちょっと迷ったのは
飛び降りた後だった。

ここはどこの駅なんだろう?
いつも降りる駅とは違う駅で突然君が降りたりするから…
思わず降りてしまった。

名前も知らない
君のことがずっと気になってた。

毎朝同じ車両に乗り合わせる君。
素敵な子だなって目が行った。正直はじめはそれだけだった。

でもある時、気がついた…
抜け殻みたいな顔してること。

目は開いてるけど何も見えてない。
音は入ってるだろうけど何も聞こえてない。

うつろな目をして
ただ電車に揺られている。

座ってる時も
立ってる時も


でも友だちが乗って来ると、全然違う君になる…


笑顔も素敵だけど
僕は遠くで気になってしかたがない。


そんな君が
苦しそうな顔をして
電車を降りたから

僕も降りた…



君になんて声をかけようか。


続く☆