③~
ジヒョク君のあいさつは完璧だった。
本当にやさしい人なんだって感激して
涙がでちゃうくらいの日本語のchoice。
なのにお父さんが食い付いて来たのはジヒョク君が
「お父さん」
と呼んだこと…
「君にお父さんと呼ばれる筋合いはない」
そう言い捨てて2階へ上がってしまった。
ジヒョク君の顔、
まともに見れないよぉ。
「お父さんの気持ちもわかるから」
私の背中をやさしくさすりながら、
ジヒョク君は2階へ行きたいとか言う…。
躊躇ってる暇はなかった。ジヒョク君がお母さんに断ってから階段を上がろうとしていたから。
付いていくのがやっと。
「葉子さんと真剣にお付き合いしています。僕にチャンスをください」
そう言って頭をさげるジヒョク君に合わせて
私も慌てて頭をさげて。
…
何ていう言葉を期待していたんだろう。
それではお願いします
なんて言うわけがない。
低く響く
「許さん」という声
やっぱり…
「また来ます」
そういうジヒョク君の声に落胆の色はなかった。
「そんな悲しい顔しないで」
「それだけ葉子のことがかわいいんだよ」
帰り道もずっと私はなぐさめられる側。
前は俺と父さんのこと
葉子が取り持ってくれたでしょ。
今度は俺の番だから…
いつでも俺がついてるから
ほらぁ
そんな顔しないの
ジヒョク君の大きなやさしさに包まれて
ホントに私は幸せものだとうっとり目を瞑る
ふとお父さんのむっつりした顔が浮かんで
思わず手で振り払ってて…
ジヒョク君から
「ど、どうしたの?」
ってびっくりされちゃった。
ああモヤモヤする…
私の家に行って数週間のある日の休日
「なかなか仲良くなれないなあ」
珍しくジヒョク君は
私の膝枕で弱音をはいた。
こまめに電話を入れてくれているようだけど
何度言ってもお父さんは会ってくれないらしい。
…
「そうだ!!コンサートに招待するっていうのはどうかなあ!!」
会えるし(*^^*)
俺がどんな仕事してるかも見てもらえるし(*^^*)
いいことを思い付いたジヒョク君は
ついでのフリして
「大好きだよ」と言った。
「今日まだ言ってなかったから…」
好きが毎日大きくなるんだそう(*^^*)
葉子は?
俺のこと好き?
ーうん(*^^*)
うんじゃわからないよ。
ーだ~い好き(*^^*)
ジヒョク君は
満足げに私の膝に顔を埋めた。
⑤に続く