⑥~
東京に帰って私は早速、仕事の整理をして
フリーのウェブデザイナーになった。
そして初雪の降る季節には大好きな人の住む韓国へと拠点を移した。
あの時…
東京に帰る日の朝
ふたりの愛の象徴=ハイビスカスのもとに
ソンジェさんから呼び出された。
「昨日のこと冗談だって思ってるんじゃないかと思って」
さすがに冗談とは思ってないけど…
だからどうしたいのかは私の気持ちだけでは何ひとつ決められなくて。
「ソンジェさんのことだから、なんちゃってだったりして」
タイムリミットは迫っていた。
緊張とは反対の言葉がなぜか口をついて出ててしまう。
「葉子ちゃんが思ってるほど俺、余裕ないよ。
けっこう本気で焦ってる」
いつも自分のペースを崩さないソンジェさんが必死で私を引きとめようとしてくれていた。
あと少ししたら、休暇を終えてソンジェさんも
ここを離れるという。
ハイビスカスはちゃんと愛情を受け継ぐ準備ができてるからねって
あそこ見てって株分けの鉢植えを指さして…
ただ次の言葉を待つ。
曖昧な関係のままでの
お別れはいやだからと
私とハイビスカスの前にソンジェさんは跪いた。
「近い将来、俺のお嫁さんになってくれますか?」
「はい」
笑顔を弾けさせたソンジェさんは、
お母さんから受け継いだという指輪を私の左手の薬指にはめる。
俺のものっていうしるし(*^^*)って言いながら。
「今すぐにはムリかもしれないけど」
そう前置きをしてソンジェさんはもう一度深呼吸をした。
俺の故郷の韓国に来てくれますか?
はい(*^^*)
…もう何の迷いもなかった。
この夏私は運命の人と出会いました!!って
胸をはって大きな声で叫びたい。無敵の気分。
ソンジェさんの大きな手のひらが私の頬を包んだ。
見つめ合う分だけ躊躇って
唇はあっという間に
長く深く重なる。
誓いのKiss…
私たちは一年後
結婚式を挙げた。
ラストシーンは沖縄
思い出の運命のコンドミニアムで
ふたりの夏休みを楽しんでいる。
やっぱりここにいた~って、
ハイビスカスの前の私の隣にソンジェさんはピッタリ座る。
すぐに世界一やさしいKiss
一回離れて
幸せだね~って言って
もう一度
ソンジェさんは
Kissの続きをした。
完