①~
日本文学論の講義は
毎週月曜日の3限だった。
ああ、先週もこうして教室の前で待ってたな…
遅れて入ると目立ってしょうがないのに。
それなのにソンジェさんは必ず前から入りたがった。
そして先生の前ですみませんと90度のおじぎをする。
腰を屈めたまま振り返って、ほらって私にも促して。ふたりで頭を下げる羽目になる。
席と席の間の通路は必ず私を先に通した。
そのくせ後ろから手を出して窓際の席を指定して来たりもした。
それにしても遅すぎる…
そう思いながらも少しわくわくする気持ちもある。
ソンジェさんのサポートを始めて一週間…
それまでの生活になかった違和感のようなものを心地よく感じていた。
違和感の最たるものは、ソンジェさんが王子ということ…
でもそれは私の中では何でもないこと。
そのくらいもうすでに私の中でソンジェさんはソンジェさんだった。
それは出会ってすぐも今も変わらない…
知れば知るほどソンジェさんはソンジェさんでしかなかった。
ケイタイが震える。
ソンジェさんからのメール…
開いてすぐに私はある場所へと向かった。
…
吸い寄せられるようにいつもここに来てしまう。
自分が自分でいられる場所…
いったいどのくらいの時間をここで過ごしたんだろう。
日本に来てからのことを思い出すとキミに出会うまでのことはすでにぼんやりかすんでて…
キミの顔とか言葉とかの方がすぐに浮かんだ。
「どうしてそんなにお世話役の人が変わったんですか?」
出会った日のキミからの質問に、告白されて断ると次の日辞めてるんだと答えた。
キミは1.5倍くらいに瞳を開いてパチリと瞬きをすると一旦目を反らして首を傾げた。
思わせぶりなことしたんじゃないかとか
たぶらかしたとか思われたくなくて
好意は持つけど彼女にしたいとは思わなかったっていうか…とか、本当は誰も俺になんて興味がない…とか、
慌てて付け加えたりした。
…ん?
キミとはどうなんだろう?
キミはどうなんだろう?
好きになって
つきあいたい
彼女にしたい
自分の中にある漠然としたそんな今の想いを意識して自分自身に問いかけてみる。
キミにとって俺はきっと
「王子」でも「二番手」でもない…
キミの前では
俺は俺でしかなかった。
ケイタイを取り出す。
彼女の名前にそっと触れて
素早く文字を打った。
「さて俺はどこにいるでしょう?」
送信して画面を閉じる。
セミの鳴き声…
太陽を仰いでベンチに寝転ぶ。
目を瞑ると目の前にあかね色が広かった。
キミの手帳の色と一緒の色だ…
そんなことを考えてうとうとしてると
ふいに影に覆われる。
そっと目を開ける。
そこには超怖い顔をしたキミがいた。
…
気をつけをして、語尾を強めに話す。
それだけで威厳が生まれるハズだった。
ころころと転がされないように足を踏ん張る。
だいたいいつも遅れてるんですからね!とか…
なのに、「さて…」も何もないですよね!とか…
ソンジェさんは自分の横に置いてあった分厚い本を退かしてポンポンとベンチを叩いた。
…絶対に座らない。
③に続く
カウントダウン
入隊から332日目
☆☆☆☆☆☆★
ソンジェ入隊中(2014.8.28~)
ソンジェの今いる所(2014.10.16~)
ソウル警察広報団
[宛先]
서울특별시 종로구 사직로 8길 31
서울지방경찰청
홍보단 김성제
110-798
除隊まで あと307日
ソンジェが明日も
たくさん食べて
たくさん眠れますように♡
성제가 가장 멋지다고 생각합니다.
성제가 가장 피부색이 흰색입니다.
성제가 가장 노래를 잘 부릅니다.
성제가 가장 춤 잘 춥니다.
오늘도 당신이 가장 좋아했어요♡
안녕히 주무세요 ‼︎
☆☆☆☆☆☆★
ソンジェさん^^の今日のインスタ…
よかったね!って言ってあげたくなりました。