⑦私の彼は王子さま | S.E.C.R.E.T超新星☆アリスタのブログ

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超新星大好き‼ソンジェ寄り寄りのオールペン、アリスタです。
「私の彼は超新星」のイベントストーリーを小説風にアレンジして記事にまとめてます♪☆ゲーストーリーに基本忠実に…いいカンジに盛ったり妄想が渦巻いたり、アリスタバージョンでお届けしてます\(^o^)/

⑥~


待って!
話を聞いて!

背中にソンジェさんの叫ぶ声が聞こえた。


何にも聞かなかったことにして
振り向いて触れればいい…?

あれが最後になるなんて…
すぐに戻ってくるから待っててと
繋いだ手をそっと離した。

その瞬間の私の指先とあなたの指先をスローモーションで思い出す。
でも感触は思い出せなかった。


靴を脱いで走り続ける…
黒のエナメルのパンプスは今日のコーディネートの中でもソンジェさんの一番のお気に入りだった。

左手に持って右手で長いドレスをたくし上げて…

大使館の門まで後少しというところで、ソンジェさんに腕を掴まれて逃げ場を失った。

涙で濡れた私の顔を見てソンジェさんはすごく驚いた顔をした。

お別れはさみしいですけど気をつけて帰ってくださいね。
よかったですソンジェさんが自分の道を見つけられて。
お見合い、頑張ってくださいね。


「…何言ってるの?」


ソンジェさんの小さな声は、私の早口の言葉をさえぎるのには充分で…私は黙って下を向いた。


「まるで永遠に会わないみたいだね」


問い詰めるかんじはなくてソンジェさんの言葉からは、ただ悲しさだけが伝わって来た。

淡々と事実を受け入れようと思えば思うほど、涙がポロポロと溢れた。

「靴…」

「あ…っ!」

ソンジェさんも靴を持って、裸足…

パーティなのにピカピカの靴のなかは裸足のいつものスタイルなんて。

それさえも悲しくなる。

「キミが脱いだから…」




裸足でサンダルが好き

シャツはいつも前を留めない

ひとりになれるベンチが好き

分厚い本を顔にのせて

空を仰いで寝るのが好き




ひとつひとつ忘れていく方法を考えながら…

「永遠に会わないと思います」

目と目を合わせてそう言った。

ソンジェさんの指先が頬に触れる。

涙を拭おうと親指が頬をなぞる前に

顔を背けた。

ここで私が恋心を打ち明けたとしても帰国することは変わらないなら、これ以上増やしたくなかった。

その指先さえもあっという間に私に刻まれてしまう…

消すことができなくて、きっとすごくすごく苦労する…



訣別の言葉になると覚悟をして


「ソンジェさんと私は住む世界が違いすぎましたね。これ以上 あなたの気まぐれに付き合う気力はありません。」


そう言った。








普通の日々に戻った。

ただそれだけだった。

でも出会う前の日常は思ったよりも難しくて、なるべく笑顔でいようと努力する。

ぼんやりした時間を作らないように…

静かな場所に行かないように…



『葉子ちゃん』


ふとした瞬間にその声を思い出しそうになった。

もう聞くことのないやさしい声…

振り向くといつもあなたのあたたかい笑顔があった。

私の中のあなたを0にするにはどうすればいいんだろう?

いつの、どの私を変えていたら
こんなふうにならなかったんだろう?

思い出と後悔に押しつぶされそうになりながら気づけばあのベンチに座ってたりもした。


「まだ、遅くないんじゃない?」


その声はユナクさんだった。





この世の終わりみたいな顔してたから…

だから声をかけたと教えてくれた。

ユナクさんのひとことひとことがうれしくて

ユナクさんと話してるだけでもう会うことはないだろうソンジェさんと繋がれるような気がした。

パーティの日からずっとソンジェさんも同じ顔していたと聞くとそれだけで、これからはもっと笑顔でいられるかもしれないって少しだけ未来が明るく思えた…

未来…

あなたのいない未来はまだ考えられないけど。
あなたの未来に私はいない…



ユナクさんが私の顔を覗き込みながら封筒を差し出す。

ふたりが同じ気持ちだから渡すと…。


ソンジェからだよ…と言われた時から涙が止まらなかった。


航空券と手紙と。


開くと見慣れた文字があった。






⑧完に続く








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