オーストラリアあるある⑦ウサギを飼うと犯罪 | 写真、だいすき

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オーストラリア、ゴールドコースト在住のライター、写真家、研究者ヨウコランスのブログ。長女のミミ(7歳)、双子のナナ&ココ(5歳)と一緒に、びかびかの太陽の下で過ごす毎日。仕事スイッチを切ったゆるーい写メが中心です。
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今日も、無骨なサンドイッチの国でなんとかカワイイお弁当を

シリーズ。

うさぎさんうさぎ


なぜかちょっぴり、でこっぱちになってしまった(笑)






ところで。

私の住んでいるオーストラリアのクイーンズランド州(QLD州)では、

ウサギを飼うことが禁じられています

ないしょでQLD州へウサギを持ち込んだりしたりすると、罰金が

最高でなんと$44,000

おおざっぱに日本円にすると、だいたい440万円くらいです。

ひえー。




なんで?なんで?ウサギって、あんなにかわいいのにって思うでしょ?

むやみやたらに人を襲うわけでもないし。

ねずみみたいに、食べ物を狙って勝手に家屋に巣を作ったりする

わけでもないし。不衛生でもないし。

ウサギから人間に感染する深刻な病原菌なんていうのも

聞いたことがないし。




私も、小さい頃にたくさんのウサギを庭で飼っていたので、

ウサギは大好き

高校時代の友人が、フェイスブックでてろーんと耳のたれたペットの

ウサギくんの写真をアップするたびに、ほわーんと癒されています。





でも。

オーストラリアには、もともとウサギはいなかったのです。

キャプテン・クックがオーストラリアを発見して、その後イギリスの

植民地となってからというもの。イギリス人が食料にしたり、

本国のように狩りを楽しむために、ウサギをこの国へ持ってきて

しまったんですね。

1859年の、最初の移民船にはもうウサギが載せられていた

そうです。*1

そしたら……

ウサギがあっというまに増えてしまって、その生息地は1年間で

100キロずつも拡大していったんですって!

そして1878年には、最初のウサギ禁止法がQLD州で発令されました。





QLD州の内陸にあるダーリン・ダウンズからモートンという地域には、

1886年からラビット・ボード・フェンスという金網の柵がとりつけられて、

ウサギが進入してくるのを防いでいるほど。もちろんこの金網は、

現在もしっかりと利用されています。

その全長は、現在555キロ。

オーストラリア、広いですからね~。

ちなみに、そのうち184キロの区間にはオーストラリア唯一の

ほ乳類プレデター、北半球でいうオオカミ的立場のディンゴという

野犬をよけるためのフェンスもかねて、網が張られています。

このディンゴよけには、さらに「ワイルド・ドッグ・バリア・フェンス」

(ディンゴ・フェンス)なるもう一つのフェンスが別にあり、

全長2,500キロもの距離に張られています。長い~

でもこの距離、実はQLD州内だけでの距離で、さらに

南オーストラリア州までずずーっと伸びているこのフェンスの

本当の全長は、なんと5,614キロ

オーストラリアでフェンスって言うと規模が違いすぎる~~(笑)





ちょっと話はそれますが、オーストラリアの原住民アボリジニへの

迫害の歴史を描いた『ラビット・プルーフ・フェンス(2002)』

という豪映画にもこのフェンスが重要な役割で出てくるので、もし

興味のある方がいれば、見てみてくださいね。オーストラリアでは

「子どもの頃に学校でこの映画を見させられた」という若者も多い、

アボリジニ問題をとりあげた名作です。

こちらのフェンスは、西オーストラリア州のもの。





ウサギが、なぜそんなに悪者扱いされているかというと。

まず、農作物を荒らすから。

そして、オーストラリア固有の生態系(特に植物)に多大な

影響を与えるから。

ウサギにとって天敵がほぼまったくいないオーストラリアでは、

特に温暖なQLD州という環境で、あっという間に増えてしまうのです。

その規模は、日本の感覚ではちょっと信じられないほど。

これだけ厳しく取り締まっていても、毎年$600ミリオン~$1ビリオン

(約600億円~1000億円)もの害獣対策予算のほとんどが毎年

ウサギ駆除に使われているほどなのだそうです。*2






だから、どうしてもウサギを飼いたい場合には、

州政府の許可がいります。

先日、うちの子たちの幼稚園にマジシャンが来たそうですが、

ちゃんとシルクハットからウサギを出したそうですよ(笑)

そういう人はちゃんと許可を取って、政府のガイドラインに沿って

ウサギをきちんと管理しなくてはいけません。

マジシャンなのに、ぜんぜん夢がないけど~笑





かわゆいウサギちゃんですが。

オーストラリアでは、残念ながら害獣として扱われて

しまうことも多いのです泣く

でも、お隣のニューサウスウェールズ州ではウサギの

取り締まりがないので、州境にはウサギ持ち込み禁止の

看板が立っているそうです。

もし州境にあるゴールドコーストのクーランガッタ空港などへ

行く機会があったら、ぜひその看板を探してみてくださいね~





金額から見て、これは数年前の画像みたい。







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*1:Fact sheet: History of Barrier fences in Queensland, Biosecurity Queensland, http://www.daff.qld.gov.au/__data/assets/pdf_file/0017/91223/IPA-History-Barrier-Fence-PA25.pdf

*2:Rabbit (Oryctolagus cuniculus), Department of Agriculture, Fisheries and Forestry, Queensland Government, http://www.daff.qld.gov.au/plants/weeds-pest-animals-ants/pest-animals/a-z-listing-of-pest-animals/photo-guide-to-pest-animals/rabbit