2020年12月末に配信終了となった『携帯サイト新耳袋』。
11年間に亘り連載していた短編、『かっぱの妖怪べりまっち』は、第563回で終了となりました。
当時の掲載作を週1編ずつこちらのサイトへ転載しています。
※131~174話まで、43話から登場したオリジナル妖怪たちのエピソード続編となります※
妖怪も欲しがるパワーフード「万力豆」その後の話
以前、河童が相撲をとる前に食べる『万力豆』を紹介した。
茹でて食べればパワー全開、でも、にんげんが食べてもおならが出るばかりだから、みんなに勧められなくて残念だ。
この夏も『万力豆』のタネをかっぱ農園の隅に蒔いた。
日本酒とお塩をたっぷり掛けるとみるみる大きくなり、3日後には収穫可能になる。
ところが数日後、農園に行ってみるとつるは伸びているが肝心の豆が見当たらない。これはどういうことだ?
かっぱは『万力豆』の実を探して天高く伸びたツルを登っていった。
雲の上では、首の長い大入道が次々と『万力豆』をもぎとり、その横で奥さんのろくろ首が豆を茹でている。
無断で取るなんてひどい、かっぱは、茹でたての豆を口に放り込み、大入道の頭だけを抱えて地上へと飛び降りた。遅れて転げ降りてきた大入道の胴体を、かっぱは『万力豆』のパワーで軽々と投げ飛ばした。
大入道は、『万力豆』で豆腐を作り、孫の豆腐小僧に食べさせようと思ったそうだ。喧嘩が弱くて泣き虫の豆腐小僧、果たして『万力豆』豆腐で強くなれたのだろうか。
結果、力は出たけれど、気の弱いところはそのままなのでやっぱり負けて帰って来たそうだ。