先日姫路市で開催された「第1回 日本グランプリ」今回私は、女子パワーリフティング、ベンチプレスのテクニカルコントローラ(TC)を担当させていただきました。
TCのお役は、プラットホームに入場する前の最終コスチュームチェックと、試合のルールでは1分間と言う制限時間がありますから、その為の誘導を行います。


パワーリフティング大会では、一人一人の選手に対し、プラットホームの準備を行います。
その準備が整うまでに、多くの役員が連携し選手入場となります。

先ずは、「版替え」が選手の申告した重量に設定、その後「補助員」が重量、高さ、汚れが無いか等を確認し主審に''bar is loaded''の合図を送ります。そして「主審」が総合的に確認すると事務局に''bar is loaded''の合図を送り、事務局にいる「PC係」がタイマーのセットと同時に「マイク係」から''bar is loaded''と言うアナウンスが掛かります。マイクからのアナウンスの合図を聞いた「TC」が選手をプラットホームへ導くと言うのが連携の流れとなります。

ラック等の準備が整って居たとしても、PCが追いついていない場合もありますから、マイクからのアナウンスがあって初めてTCは選手を送り出せるのです。

その、アナウンスが送られてくるまでに、TCは、先述しました通り、次に出場する選手のコスチュームチェックと、心の中でコッソリ選手の応援をさせて頂いています。

選手の皆さんは、試合当日に向け日々鍛錬されてきたことでしょう。
当日は極限の力を発揮する為に、耳にはイヤホンを付けて集中し話しかけられない為の工夫をされている方、泣いている方、応援で必死な方、試合会場は興奮状態です。中には周りが見えなくなってしまう事もあるかも知れません。

今回私はTCのお役で入場口に立たせて頂いておりましたが、ある興奮状態の選手が(審判の合図はあったものの)マイク放送が行われる前に、私に体当たりし入場しました。また退場する際にも体当たりをされ、次に待つ選手にも当たりそうになりました。
体当たりをしても振り向くわけでもなく、通り過ぎて行きました。

次の試技が始まる前に「放送されてから入場お願いします」と言おうとすると、セコンドがそれを妨げるように大声を張り上げ無視されました。
選手は「目は口ほどに物を言う」と言われるように挑戦的な目を私に向けられてきました。
試技前に集中したい気持ちも分かるし、私の言いたい事も分かっただろうと、それ以上は、心の中で応援する事に徹していましたが、試技が終了するとそのセコンドの方が大声を張り上げながら私に近付くと、声を荒げて怒鳴り始めました。

その声は、大きく響き渡り、あまりにも突然の状況を誰もが理解する事ができず、またその勢いを止められる状態でもありませんでした。
しかし、タイマーは回っています。
今入場されたばかりの選手がこれから試技を行うと言うその瞬間でした。
今試技を行っている選手のセコンドが「試技中なのでやめて下さい」と言っているのが聞こえ、次以降の選手が列を成しているのが見えました。
圧倒されていましたが、自分は今TCである事に気がつきました。
試技をされていた選手は成功されていたようでしたから結果的には良かったものの、試技中もその声が聞こえたようですから、彼女の華やかなシーンも、思い出に残る動画も、非常に不快なものになってしまったことと思います。

試合は自分一人で行っているわけでは有りません。ルールとマナーを守って楽しんで頂ければ幸いです。
今後ともどうぞ宜しくお願いします。