半分ほど飲み残してあったコーヒーの表面に波紋ができた。
大きなトラックでも通ったのか?
そう思った瞬間、カップがソーサーの上でカタカタ揺れコーヒーがこぼれ始めた。
いつものように14時位からの遅いランチを済ませコーヒーをゆっくりいただくという、勤務時間内で一番まったりできるひととき。
慌てて店を飛び出る人、中腰のまま動けなくなった人、それぞれの行動があった。
そのうち収まるだろうと高をくくっているうちに店内は僕一人。
外から慌てて飛び込んでくる店長らしき人。
「出てください!」
悲鳴のような声で僕に外に出るよう促す。
僕は慌てる素振りも見せず、バッグを持ちグラグラ揺れる店から外に出た。
出た瞬間。
肩をかすめて地面にゴツンと何かが落ちた。
見ると大きなコンクリートの塊。
その時初めて恐怖を感じた。
あと数十センチずれていたら・・・。
東北の人たちの恐怖はそんなものじゃないということは想像に難くない。
あと5時間ほどであれから9年になる。