出勤してすぐ
昏睡状態の方の安否を聞いたら
生きててくれた

約束通りバナナとゼリーを買って
食堂の冷蔵庫に名前を書いて保管しとること
頑張れ!とは言わず頑張ったと言ったり
手を握りしめて明日と明後日が休みなので
明明後日くるから朝また会おうねと

仲良い子が明日出勤やから
私の携帯番号をメモして何かあったり
死亡した時はメールをお願いしたメモを
事務所の事務員さんに託してきた

今日の夜勤の人は
プロでも人の死に慣れていない人
最期まで共に会ってくれる人で安心

私が手を握りしめて
話しかけると口を動かしたりして
誰が来て誰が話しかけよるか分かっとるんよ

私が完食させたムースタイプの食事が最後
お茶もトロミを多くして飲ませつつ完食

薬も砕かずそのままトロミのお茶で
飲んでくれたんよね

私だけが薬を飲ませられたとか 、、、

今は痰が絡んで吸引してもらいよる
訪看が入ってしてくれるよるけど
明日好きだった坊主頭にするみたい

綺麗にするということは
時間がないのかも知れんけど
最期に完食出来たことが良くて
薬を飲めた事で頑張りよるんかもって

私のオヤジと重なる人なんよ
娘とは絶縁で死んだら教えてと言われてて
誕生日が来たら78歳になる人

本当は逃げ出したいけど
自分の中でトラウマはオヤジの全てやから
生き様も同じその人を最期まで看取るのは
辛すぎる

肺がんのステージ4なのに
点滴すらせず酸素だけで生きとる
ペースメーカーを入れとるからね

酸素を外す事も
ペースメーカーを止める事も殺人になるから
しないけど本人は延命治療を拒否しとる

だから最期まで酸素は外さんけど
口腔ケアをして湿らせる程度にして
私が食べさせたのが最後だったと
言われる度に泣きそうになる

オヤジと重なる人を看取るのは辛いけど
私は誰であっても最期まで寄り添うんやろね

お母さんの手術を知らされてない
お父さんと話したりしても安心させる
おやつやご飯の時も大好きな渋い熱いお茶で
毎回熱いからヤケドに注意!って言ったり
そうすればお父さんは笑ってくれるんよね

明日は誤嚥性肺炎で入院してた
可愛いおばあちゃん80歳が三度目の復活
そんな嬉しい話もあるのにね

オヤジは心筋梗塞で即死やったから
昏睡状態は無いけど絶縁は同じ

住宅に入っててくれたら良かったけど
普通に暮らしてマンションで死亡

その人の娘さんもお父さんが死んだ時に
許せるか許せないか分からんけど
許さんかったら後悔は必ず残る

だからその人には
職員全員 デイサービスの職員全員
家族だからね 、って声をかけて
1人じゃないって言い続けてたら
私を見て優しすぎるんやね 、と言われた

肝が据わっとるタイプやけど
優しすぎるから最期まで寄り添うんや、って
訪看や看護士だけに任せるのも出来る

オムツ交換だけすればいい

私はそうしたくないから せん

何度も部屋に行って手を握って
話しかけたりする時間は大切やない ?

緑さんが私に死を見せんようにしてくれても
私のトラウマは私が消さないかんみたい

イラつく事もある
認知が激しくて何度も下に降りてくる夫婦
帰りたいと言われる度に宥めたりして
連れて帰ると直ぐ下に降りてくる

私と仲良い子が優しいからと
甘えてくる人もいるけどそれに対しても
今は忙しいから無理 と断ったり
ご飯の時は細かくしてあげたりはするけど

いっぱい いっぱいの感情

冷静な私もいて
死亡した時に葬式をするのか
火葬は誰が着いてくのか 、、、とか聞いたり
後悔したくないから危ない時は来るって言って
休みでも関係ないやんか

何でオヤジと重なる人の看取りをするのか

分かっとるんよね
自分のトラウマを壊すこと

オヤジを許せても
私のトラウマは消えてない

上書きされたんよ
一年後に死を知らされた事で

泣きっぱなしの数日
最後の食事とお茶と薬をあげたのが私
その事実がどうしても悲しいやんか

穏やかな顔をして寝とると言われても
私が声をかけると口を動かす姿が辛い

辛いけど大丈夫

人が亡くなる姿を見るのは初めて
それがオヤジと重なる人なのは皮肉でも
良い事なんやろなと思う

寄り添える人間だと知れたことも
人の為に泣く事が出来ることも

きっとトラウマを乗り越える時が来たのも
理由があるんよ

だから最期まで寄り添って
頑張った先に亡くなったとしても
エンジェルケアをした後に綺麗な姿で
棺に入れるように

遺骨になるまで見届ける