Side O
「んじゃ、おしおきを始めます」
俺ん家のリビングのソファの端と端に向かい合って正座で座り、俺はニノに堂々と宣言した。翔くんにもらった俺の甚平を着たニノが、途端に呆れた顔になる。
「何…すんの」
「さっきも言ったけど、今夜は俺のゆーコトを何でもきくこと。いい?」
俺が真剣な顔で聞くと、ニノは神妙な顔になってうなずく。
「じゃあ、手始めに、今夜はずっと名前で呼ぶこと。いい?」
「いーよ、さとぴ」
「サ ト シ‼︎」
すでに、負けそうになってるな、俺…
ニノがふふっと笑った。
「じゃあ、サトシね。サトシ、次は何する?」
「えっと…たまにはニノからちゅうして」
ずっと言いたかったことを言ってみる。
「えと…俺、から…?」
「うん、ニノから。あと、俺がいいって言うまでやめちゃダメ」
戸惑った表情のニノに満面の笑みで答えると、ニノの頬が赤く染まっていく。
「今?」
眉を寄せて首を傾げるから、どきどきしてしまって、それを隠すように低い声になった。
「うん、今」
ニノは真面目な顔になって、腰を浮かせてソファの上でひざ立ちになった。そのままひざでソファを歩いて、俺に近づく。
俺の肩に両手をおき、ニノが顔を近づけた。顔を少し傾けて、そっと俺の唇に自分の唇を合わせる。戸惑いながら、俺の 唇を自分の 舌で こじ 開けた。伏せられた目元が目に飛び込んできて、胸が騒ぐ。
「っふ」
温かいニノの 舌 が 俺の 口 内で、俺の 舌を探すようにうごめく。俺の 舌を 見つけて、ちゅっと吸い 付き、舌 を 絡めて きた。
肩におかれたニノの手に力が込められる。その手首を両手でそれぞれつかみ、俺の手をすべらせてニノの手と手のひらを合わせた。指を絡ませると、すぐにその小さな可愛い手できゅっと握ってくる。
すげー可愛いから…
もっと、見たくなんだよな…
ニノの、いろんなとこ…
俺はつないだ手を両方ともゆっくりニノの背中に回して、両手首を片手でまとめてつかみ、隠し持っていた古いネクタイをするりとかけた。