Side N
大野さんが、俺をベッドに横たえて見下ろす。にこっと笑ったかと思うと、もう1本ネクタイを取り出して、俺の目を塞いだ。
「大野さん…マジ?」
「マジ」
ふふっと大野さんが笑う気配がする。大野さんが見えなくなって俺は心細くなって、焦った。
「これじゃ、見えないじゃん」
「おしおきだからね」
今日何度目かの同じセリフをつぶやいて、大野さんがぎしっとベッドにのる気配がした。きしむベッドの感触で俺の上に跨って膝立になってるのがわかった。
俺の顔の脇のシーツが沈んで、大野さんの手だと認識したと同時に唇が温かいもので塞がれた。
「んっ…」
見えていない分くっきりと大野さんの唇と 舌 の 感 触 が伝わってきて、体温が急上昇する。
「っふ…お…おのさ…」
「サトシでしょ」
「んっ…サトシ…んん」
見えないまま 舌 を 絡めると、いっそう深く口づけられる。
俺の唇から大野さんの唇が離れたとたん、右の耳元に吐息がかかって、思わずぴくっと反応してしまう。ふふっと笑う気配の後、耳たぶ を 甘 噛 み されて、何度もついばまれた。
見えないから、ちゅ、って音が全部ストレートに頭ん中に響いて…
呼吸が乱れるのが止められない。