あの人が舞い始めるのは、いつも、月が高く上がり、夜風が吹き始める頃だと気付いたのは、何度目の夜だろう。
今夜もひらりひらりと軽やかに、ステップを踏むその人を、俺は不安定な足元をこらえながら、城壁の隙間から見つめていた。
軽やかな足さばきは、自分と同じように重力にとらわれているとは思えない。
ぴんと伸ばした長い指先も、ふわりと宙を凪ぐ柔らかそうな髪も、全てが軽やかなのに、夜空の下、城壁に囲まれた城の庭で舞うその人の存在感は不思議と強い輝きを放っていた。
舞うその人のそばには、楽器を鳴らす人が数人いる日もあるし、いない日もある。
来月の誕生祭を祝う準備かもしれないな…
この国では来月、王子の誕生日を祝う祝祭が開かれる。例年、選ばれた舞の名手が舞を披露する習わしなのだ。
キレイな顔してる…
そんで、キレイな瞳…
遠目からでも、アーモンドみたいに形の整った、キレイな瞳がわかった。
ずっと見ていると、いつも、敵国の兵士だということを忘れそうになる。
早くアレを見つけて、帰らなきゃなんないのに…
願わくば、帰る前に、あの人と一度、話してみたい。
どんな声で、言葉を紡ぐんだろう。
ひらりと舞うあの人の近くに行って、
柔らかそうな髪に触れてみたい。
って、敵国の兵士に対して何考えてんだろ…
今日は、長くあの人に見惚れて、夜風が冷たくなってきた。
根城にしてる宿に戻らなきゃ、と城壁から身を離し、振り返った瞬間、俺の眼前に兵士が数人立ちはだかった。
「ここで何をしてる!」
「あ…」
逃げなきゃ、と思ったものの体が動かない。
「お前、その花の文様…西国の者だな」
俺は、胸のあたりに縫われていた花の文様をパッと隠したけれど遅かった。
「西国からの偵察か…捕らえろっ」
抵抗する間も無く、俺は敵国の兵士達の手に落ちた。
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舞うその人のそばには、楽器を鳴らす人が数人いる日もあるし、いない日もある。
しかしいつも、その人が舞い終わる頃には何人かの見回りの兵士が遠巻きに集まり、見惚れているのだった。
来月の誕生祭を祝う準備かもしれないな…
この国では来月、王子の誕生日を祝う祝祭が開かれる。例年、選ばれた舞の名手が舞を披露する習わしなのだ。
キレイな顔してる…
そんで、キレイな瞳…
遠目からでも、アーモンドみたいに形の整った、キレイな瞳がわかった。
ずっと見ていると、いつも、敵国の兵士だということを忘れそうになる。
早くアレを見つけて、帰らなきゃなんないのに…
願わくば、帰る前に、あの人と一度、話してみたい。
どんな声で、言葉を紡ぐんだろう。
ひらりと舞うあの人の近くに行って、
柔らかそうな髪に触れてみたい。
って、敵国の兵士に対して何考えてんだろ…
今日は、長くあの人に見惚れて、夜風が冷たくなってきた。
根城にしてる宿に戻らなきゃ、と城壁から身を離し、振り返った瞬間、俺の眼前に兵士が数人立ちはだかった。
「ここで何をしてる!」
「あ…」
逃げなきゃ、と思ったものの体が動かない。
「お前、その花の文様…西国の者だな」
俺は、胸のあたりに縫われていた花の文様をパッと隠したけれど遅かった。
「西国からの偵察か…捕らえろっ」
抵抗する間も無く、俺は敵国の兵士達の手に落ちた。
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大宮初パロディ(うさぎ絵本除いて)、初ファンタジー?(ジャンルよくわからん…)です(・∀・)
細かく設定とか練るのが苦手なので、ハードは欧風、ソフトは和風、みたいなよくわからん感じになってます(汗)
王子とか出てきます(/ω\)
ま、魔法は使いません( ̄ー ̄;
…のっけから不安を与えるような書きぶりですいません(^_^;)
お話、ちょっと長くなりそうですが、よろしければおつきあいいただけると嬉しいです♪( ´▽`)