BL妄想です
苦手な方はご注意くださいませ
Side N
大野さんの唇から漏れる、囁くような優しい声に、俺が思わず大野さんの背中に腕を回すと、彼は唇を離した。
「あの…ニノ…いい…の?」
大野さんは俺を気遣うように俺の顔を覗き込んだ。
「最優秀賞の男からの意見だけど…もっと…強く…して?」
俺が言うと大野さんは真面目な顔でこくっと頷いて、俺の背中に回した腕で俺をぎゅっと抱 きしめた。
「あと…もっと…いっぱい…深く…して?」
俺が言うと、大野さんは「それは、ダメ…ニノ…」と絞り出すように言いながら、俺の肩口に顔を埋めた。
大野さんの柔らかい髪が首 筋にふれ る。
「おいら、もう、止まんなくなっちゃう…」
苦しげな声が、耳元で聞こえた。俺をもう一度強く抱 きしめてから、大野さんは顔を上げて、俺をまっすぐ見つめた。
「ずっと………好きだったんだもん…ニノのこと…」
ああ…
あなたが作った逃げ道は、
あなたによって塞がれた。
ふたり、逃げ道をゆくのは、終わりだね…
あなたによって塞がれた。
ふたり、逃げ道をゆくのは、終わりだね…
そして、何かの終わりってのはいつも
新しい、別の何かの始まりなんだ。
大野さんは、真剣な表情で俺をじっと見つめ続けていた。
どうしよう…
二宮和也、
大変不覚ですが、
泣きそうだよ…
「…ってか、そっか…練習とか…ごめん…」
俺が唇を引き結んで何も言えないでいると、大野さんは一瞬目を伏せて言った。また、すぐに俺を見つめる。
「ホントは…おいらには、お前とキスした日が本番だったのに…」
「大野さん…俺」
も、好き、と言おうとした瞬間、ぐいっと体を 抱 き寄せられる。視線が交錯したのは一瞬だけだった。大野さんは、眉を寄せて、俺の唇をまた塞ぐ。
『キスシーンは、好きだって伝えるためにある』
さっき大野さんに言った自分の言葉が脳裏に蘇る。
俺は唇を薄く開いて、舌で大野さんの唇にふ れた。すぐにふ れ合うぬれ た熱が、今までいだ いていためらいとか、分別を吹き飛ばすみたいに、全身を甘く痺れさせていく。
「…っふ……んっ……ぁ…」
柔らかい大野さんの赤い熱が、俺のと絡まって、どちらのものかわからない吐息のかすかな音と、くぐもった水音が聞こえた。
「はぁっ…ニノ…」
「お…のさ…」
深く、貪るように口 付けながら、互いの体を手でまさ ぐるようにふれ る。俺をがっしりと抱 く大野さんの腕が、性急に背中をな でた。
ああ…
もう、全部欲しいよ…
大野さんは、俺を抱 いたまま、ゆっくりと俺をベ ッドに沈めた。